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【番外編】地政学的リスクの緩和に向けた次世代型サステナブルプラスチック包装

今回は「時事問題の解説」の番外編として、「TOKYO PACK 2026」(開催日:2026年10月14日-16日、会場:東京ビックサイト)の出展ポスターを紹介します。

今の時代に求められている包装とはどのようなものでしょうか。その時代時代でこれを決めているのは私達人間であることから、これからも時代とともに変わっていくことと思われます。昨今、世界的な地政学的リスクが現実化したこともあり、資源を持たない日本等の国々では、プラスチックの原料の安定確保に尽力しております。本発表では、私達の地政学的リスクの緩和に向けた次世代型サステナブルプラスチック包装への取り組みをポスターでご紹介します。

【関連資料】「TOKYO PACK 2026」ポスター発表資料
地政学的リスクの緩和に向けた次世代型サステナブルプラスチック包装

皆さんご存じのように、2026年2月に火蓋を切ったアメリカ・イスラエルのイランへの攻撃から石油利用の地政学的リスクが現実のものとなりました。それ以前の2022年2月から継続しているロシアのウクライナ侵攻問題や2020年に発生した新型コロナウイルス感染症問題等において、物流・人流が止まることを経験し、資源・材料の安全保障の重要性が再認識させられています。

それ以前からプラスチック製品は、先進国ではリサイクルによる循環利用を進めており、経済性を取り入れたサーキュラーエコノミーへの移行を目指しています。しかし完全な循環利用ができていないことからバージンプラスチックは必要不可欠であります。国際的な温暖化対策から石油が座礁資産化してきていたこともあり、既存のプラスチックをバイオマス原料から化学合成する取り組みが加速していました。

私たちは、これとは別の流れとして、石油ではない天然資源をそのまま包装材料に活用する研究に取り組んでいます。古くから天然高分子である多糖のセルロースが、セロハンやレーヨンとして工業利用されてきていますが、セルロース以外に工業材料として使用できる多糖が本当にないのかどうか、包装材料への応用を念頭においた探索研究を進めてきています。天然資源を、陸上バイオマス(グリーンカーボン)、海洋バイオマス(ブルーカーボン)、非可食資源の3つに分類し、特にガスバリア性の研究を進めております。密封用途ではヒートシールに代わる熱エネルギーを用いない多糖向けシール方法も研究しています。

多糖の特徴の1つは、コンポスト化処理が可能であるということです。ガスバリア性が必要な密封包装だけでなく、日常生活で考えてみましても、ファストフード、キッチンカー、コンビニエンスストアのホットスナック、スーパーマーケットのお惣菜やバラ売り野菜等、密封しない包装用途にも展開できます。各自治体でプラスチック製容器包装(プラマーク)製品の回収日とともに、新しい識別マークを定めて「コンポスト化処理製品の回収日」を設けることも可能ではないでしょうか。

日本では、家庭ごみの約3割を厨芥類が占めており、食品ロスの多さが際立っております。厨芥類、すなわち生ごみもコンポスト化処理できます。そのため、一般の方々にも分かりやすく「生ごみの回収日」として一緒に集めるようにすれば、家庭からでる食品ロスとなるものをうまく活かす対策にもなります。もちろんこの前提条件として、日本でもコンポスト化処理の普及が必須となります。

次世代型サステナブルプラスチック包装の1つの姿として、私たちが提案する「コンポスト化処理の循環を加えた天然多糖包装を用いたサーキュラーエコノミー」の活動は、ポスターのイラストのイメージです。このためには社会システムや消費者行動等も一緒に議論していく必要があり、大学、民間企業や行政の方々だけでなく、一般の方々の協力が必要不可欠です。

私たちと一緒に活動してみてもよいかなと思われましたら、代表者の永井一清(ながい かずきよ)の電子メール「nagai@meiji.ac.jp」にご連絡ください。


出展ポスターでご紹介した私たちの研究成果は、下記のURLからもご覧いただけます。オープンアクセス論文(OA)は、無料でダウンロードできます。


1. (OA)Y. Uchimuro, T. Hori, R. Miyamoto, and K. Nagai, Permeability of oxygen and carbon dioxide in dried and water-swollen compostable chitin and chitosan self-standing membranes, Journal of Packaging Science & Technology, 34, 249 (2025).
https://doi.org/10.69282/spstj.34.4_249
2. (OA)H. Takachi, T. Hori, S. Amakawa, and K. Nagai, Permeability, diffusivity, and solubility of dried gases in alginic acid, sodium alginate, and ammonium alginate self-standing membranes, Journal of Packaging Science & Technology, 33, 311 (2024).
https://doi.org/10.69282/spstj.33.5_311l
3. (OA)R. Nishida, N. Hirota, and K. Nagai, Anti-cluster behavior and its mechanism during water vapor sorption in chitin and chitosan membranes, Carbohydrate Polymer Technologies and Applications, 5, 100312 (2023).
https://doi.org/10.1016/j.carpta.2023.100312
4. (OA)N. Hirota and K. Nagai, Helical structures and water vapor sorption properties of carrageenan membranes derived from red algae, Carbohydrate Polymer Technologies and Applications, 3, 100200 (2022).
https://doi.org/10.1016/j.carpta.2022.100200
5. H. Nguyen, M. Hsiao, K. Nagai, and H. Lin, Suppressed crystallization and enhanced gas permeability in thin films of cellulose acetate blends, Polymer, 205, 122790 (2020).
https://doi.org/10.1016/j.polymer.2020.122790
6. (OA)N. Shimanuki, M. Imai, and K. Nagai, Effects of counter cations on the water vapor sorption properties of alginic acid and alginates, Journal of Applied Polymer Science, 137, 49326 (2020).
https://doi.org/10.1002/app.49326
7. H. Nguyen, M. Wang, M.-Y. Hsiao, K. Nagai, Y. Ding, and H. Lin, Suppression of crystallization in thin films of cellulose diacetate and its effect on CO2/CH4 separation properties, Journal of Membrane Science, 586, 7 (2019).
https://doi.org/10.1016/j.memsci.2019.05.039
8. N. Shimanuki and K. Nagai, Effects of substituents on water vapor sorption in liquid–water soluble polysaccharides, Journal of Applied Polymer Science, 136, 48223 (2019).
https://doi.org/10.1002/app.48223

(TOKYO PACK 2026の説明メンバー:五十音順)
大学院生:相生朋輝、阿佐美諒汰、阿部結妃、井山未来、上原菜々果、大西黎、田村亮太、長嶋隆平、西田麻人、古川光彩、村上綾、山口遼
4年生:荒木洸平、井原音寿、大澤優奈、田中康喜、田中莉緒、野本琉生、林沙織、山崎祐輝、渡邊将人

(2026年10月13日アップロード)