メイン>講義紹介>学部3年>数学と計算機演習2
記事作成日: 2006年2月22日
●授業の概要・目的
微分方程式は解析学の最も重要なテーマであると言えるが,幾何学とも関係が深く,また数学以外の他の諸科学にも広範な応用を持つ。この講義は偏微分方程式論への入門を目的とする。偏微分方程式の代表的な三つの型(放物型,楕円型,双曲型)から,それぞれ典型的なケースを取り上げ,その性質を調べる。そのために必要となる解析手法や概念についても,将来への発展を見越した形で解説する。理解の助けとなるような様々な話をするが,幹となるのは,方法としてはFourierの方法,最大値原理,エネルギー保存則で,問題としては適切性である。
●授業内容
[第1回] 1次元波動方程式の初期値問題 1次元波動方程式の初期値問題について,ダランベールの公式と解の一意存在定理,依存領域と影響領域の概念を説明する。 [第2,3回] 高次元空間での波動方程式の初期値問題 デュアメルの原理,フーリエ変換を用いた形式解の導出,2次元3次元空間における解の公式,ホイヘンスの原理を説明する。 [第4回] 1次元波動方程式の初期値境界値問題,エネルギー保存則 1次元波動方程式の初期値境界値問題の解の一意性定理とエネルギー保存則を説明する。 [第5回] 熱方程式の導出と初期値境界値問題 フーリエの熱伝導の法則を紹介し,熱伝導方程式を導出する。ディリクレ境界条件,ノイマン境界条件などの基礎的な用語を説明する。 [第6回] 適切性の概念,熱方程式の最大値原理 古典解を定義し,Hadamardの意味での適切性 (存在,一意性,データに関する連続性) の概念を説明する。一意性と連続性を証明するのに用いられる,熱方程式の最大値原理を説明し,証明を与える。 [第7,8回] フーリエの方法による熱方程式の解の構成 フーリエの変数分離法を用いて熱方程式の初期値境界値問題の形式解を導出する。また適当な条件下で形式解が実際に解であることを証明する。ワイエルシュトラスの M 判定法を用いて級数が一様収束することを示すことで,項別微分が可能なことや,解の連続性,初期条件を満たすことなどを証明する。 [第9回] フーリエの方法とスペクトル分解,解の漸近挙動 なぜフーリエの方法で解が得られるのか,背後にひそむ数理 (対称な固有値問題の解の性質,固有関数系の完全性,時間発展問題の解の常微分方程式との類似性) を説明する。また時刻→無限大の極限で解が定常解に指数関数的に収束することを示す。 [第10回] ラプラス方程式,ポアソン方程式と最大値原理 ラプラス方程式,ポアソン方程式を紹介し,最大値原理を証明し,系として境界値問題の解の一意性を示す。 [第11回]円盤におけるラプラス方程式の境界値問題 フーリエの方法でラプラス方程式のディリクレ境界値問題の形式解を求める。ポアソン積分で書き直し,それが解であることを証明する。 [第12,13回] 基本解,変分法,ディリクレの原理 一般の領域における解の存在証明について説明する。
●履修の注意点
演習問題を出題し,解答をレポートとして提出させる(期間中3回)。
●教科書
使用しない。代わりに講義ノートをWWWページで公開する。
●参考書
「数理物理に現われる偏微分方程式I,II」,藤田宏他,岩波書店 「偏微分方程式論」,ペトロフスキー,東京図書 「熱・波動と微分方程式」,俣野博・神保道夫,岩波書店
●成績評価の方法
期間中3回のレポートは点数化して期末試験の点と加算する(レポート30%,試験70%)。期末試験では講義した全範囲から偏りなく出題する。点数から成績への換算は大学の基準に従う(合格は60%以上)。
●その他
「多変数の微分積分学1」,「多変数の微分積分学2」,「微分方程式1」,「実解析1」を履修していることが望まれる。 研究室: 数学第13研究室 (生田第二校舎6号館7階6716B号室) ホームページ: ~mk/lecture/ouyoukaiseki2/ オフィスアワー: 授業中に学生と相談して決める。
代数学3
代数学3演習
代数学4
代数学4演習
実解析1
実解析2
実解析2演習
幾何学1
幾何学1演習
幾何学2
幾何学2演習
微分方程式1
微分方程式1演習
微分方程式2
数学と計算機演習2
計算数理1
計算数理1演習
離散数学1
離散数学2
学部1年
学部2年
学部3年
学部4年
理工学研究科総合講義C
大学院課題研究
大学院集中講義
|