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現代芸術Ⅰ2013・春学期 金2 三田 433教室 【サブタイトル】芸術の理論と作品 【授業科目の内容】 この授業では、文化や芸術を理解するために必要となる基本概念を学習する。具体的には、まず、20歳代の日本人になじみ深いと思われる映画、音楽、アニメ、漫画等の作品を取り上げ、作品の社会的背景を分析するのに有用な概念を抽出し、解説する。次に、それらの概念による作品分析の実践例として、具体的な作品を取り上げ、作品の背後にある暗黙知的なソースコードを分析する。筆者の専門は京劇(中国の伝統演劇の一つ)であるので、京劇についても言及する。授業では、インターネットやDVD等の視聴覚教材も利用する。 【教科書】 無し。 【参考書】 『漢文力』加藤徹著 中公文庫 ISBN:978-4-12-204902-4 『京劇--「政治の国」の俳優群像』加藤徹著 中央公論新社 ISBN:4-12-003224-8 『梅蘭芳 世界を虜にした男』加藤徹著 ビジネス社 ISBN:978-4-8284-1486-7 『中国古典からの発想 ──漢文・京劇・中国人』加藤徹著 中央公論新社 ISBN:978-4-12-004148-8 |
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現代芸術Ⅱ 2013・秋学期 金2 三田 433教室 【サブタイトル】芸術における伝統と現代 【授業科目の内容】 この授業では、音楽や演劇、映画などの作品を取り上げ、それぞれの作品の背後にある世界観や設計思想を分析し、現代の作品への影響と継承関係を考察する。具体的には、日本の能楽や歌舞伎、寄席芸能、中国の京劇、西洋の古典劇などを紹介したうえで、それらの作品の根底にある暗黙知的なコードを解説し、それらが現代の作品にもアレンジされている様態を明らかにする。授業では、インターネットやDVD等の視聴覚教材も利用する。 【教科書】 無し 【参考書】 『怪の漢文力』加藤徹著 中公文庫 ISBN:978-4-12-205383 『中国古典からの発想 ──漢文・京劇・中国人』加藤徹著 中央公論新社 ISBN:978-4-12-004148-8 『漢文の素養 ――誰が日本文化をつくったのか?』加藤徹著 光文社新書 ISBN: 4334033423 『中国古典のスターたち』加藤徹著 NHK出版 ISBN:978-4149107820 『本当は危ない『論語』』加藤徹著 NHK出版新書 ISBN:978-4140883419 『絵でよむ漢文』加藤徹著 朝日出版社 ISBN:978-4-255-00539-3 |
「うつくし」や | 単純に「美しい」ではない。古語「愛(うつく)し」「厳(いつく)し」「現(うつ)し・顕(うつ)し」等のイメージも重なっている。 |
「障子の穴」の | 障子に穴があいているような、わびしい住居。定命(じょうみょう)の人間や生き物など「mortal」たちが住む「此岸」の象徴。 死ぬかもしれない病気にかかるのは、平凡な日常生活に突如「穴」があくようなものである。 |
「天の川」 | 「穴」の向こうには、星や神仏などの「immortal」たちが住む永劫の「彼岸」が広がっている。 |
りぞく【離俗】 俳諧用語。蕪村は門弟召波の《春泥句集》(1777)に寄せた序文の中で, 〈俳諧は俗語を用ひて俗を離るるを尚ぶ。俗を離れて俗を用ゆ。離俗の法最もかたし〉としるしている。 俳諧に用いられる言葉は,ことさらにあらたまった雅語のようなものではなく,だれもが日常に使う平易な俗語でなければならず, しかも俗から離れなければならないという。これは蕪村の俳諧の基本的な態度,方法をあらわすものである。 俗と離俗と同時におこなおうとすることは,芭蕉の〈高く悟りて俗に帰るべし〉につながるものであろうが,蕪村の場合,俗に〈帰る〉よりも,俗から〈離れる〉ことが強調されている。 |
引 用 文 | ――当時、「ジョーは死んだのか」という論争まで起こりました。ちばさんの中でも定まっていなかったのでしょうか。 ちば そういうことは全然考えていなかったですね。ただ自分の力を出し切って、持てるエネルギーのすべてを使い尽くして、真っ白に、抜け殻のようになっているという、そう考えながら描いたシーンですね。ある時たまたまテレビで見たのですが、上野正彦さんという監察医があの絵を見て、「生きているか死んでいるか」と訊かれて、「こういう微笑みや、肘で身体を支える姿勢は、死んでいたらできないから、この人は生きている」と断言してくれて、「ああ、そうだったのか。やっぱり生きているのか」とホッとした記憶があります。 |
出 典 | 月刊『新潮45』2013年10月号、ちばてつや「あしたのジョーは生きている」(インタビュー)、聞き手・里中高志、p.149-p.150より引用 |
加 藤 注 |
〇ちばてつや(1939-)漫画家。「あしたのジョー」の作画担当。梶原一騎の原作のラストにあきたらず、原作者や担当編集者と話した末、主人公が真っ白になってリングサイドに座っている絵、という後に伝説化したラストを創作した。 〇上野正彦(1929-)法医学者、医事評論家。著書多数。『死体の嘘 世田谷一家殺人事件から『あしたのジョー』まで』(アスキー, 2001.10)など |
アルチュール・ランボーの詩「母音」(中原中也訳) Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青、母音たち、 おまへたちの穏密な誕生をいつの日か私は語らう。 A、眩(まば)ゆいやうな蠅たちの毛むくぢやらの黒い胸衣(むなぎ)は むごたらしい悪臭の周囲を飛びまはる、暗い入江。(以下略) |
一色型色覚 | monochromacy | 全色盲。「白黒」 |
二色型色覚 | dichromacy | 部分色盲。赤緑色盲、青黄色盲、・・・。霊長類を除く哺乳類 |
三色型色覚 | trichromacy | ヒトの大部分。「カラー」「三原色」 |
四色型色覚 | tetrachromacy | 鳥類、有袋類。ごく一部のヒトの女性 |
谷行(15世紀) | エヴァンゲリオン(20世紀) | |
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通過儀礼 Initiation | 稚児→山伏 | 人類補完計画、「おめでとう」 |
母胎回帰 | 入山、谷(女性器の象徴)への投げ込み | L.C.L、エヴァの秘密 |
示現 | 役行者、伎楽鬼神 | 使徒、エヴァ |
愛 | 衆生一子 | |
機械仕掛けの神 Deus ex machina | 葛城の女神 | アヤナミレイ+リリス |
『品梅記』(彙文堂書店(京都)、大正八年九月十五日発行) 「梅蘭芳」天鵲 pp109-110 より引用。【 】内は筆者(加藤徹)注。原文の旧字体は新字体に改めた。 (引用開始) 蘭芳先生==私はあなたを目下世界の有する尤も貴重なるものゝ一に数ふるに憚りません、あなたの来游を国際的に有意義なりとか何とか六ヶ敷いことを言つたり、劇場の前へ日支親善などゝ云ふ套話【原文ルビ「タオホワー」】の看板を掲げたり、又大阪では開幕前にあなたの紹介と共に日支親善を提唱したりするとぼけ者があつたりしましたのはあなたの様な藝術家は却て気にもお留めにならぬかも知れませぬが私共の様に藝術を創造する力はなく只少し藝術を鑑賞し得る程度のもには【原文ママ。「程度のものには」の誤植か】悪感を催さずには居らせませんでした、学問藝術までをそんなに国際的に解釈せねばならぬとは不思議でなりません、併し貴国の様に文化の進んだ国でも尚日貨抵制とか日人駆逐とか八ヶ間敷いことを仰しやつて国恥記念日に梅郎上臺して日人の玩游に供する勿れなどゝ、己れの国の有する誇るべき国際関係などを超越したる立派な藝術を、自ら玩弄品迄引下げ様となさる方もお有りの様です、国を更へて生れたなれば親善抵制と名前を更へて活動をする人達でがなありませう少くも【原文ママ。「少なくとも」の意か】藝術感受性に欠乏して居る点丈けは大丈夫共通して居る様です。 (引用終了) 上記の原文の表記を、現代人に読みやすいように直すと、以下のようになる。 蘭芳先生==私は、あなたを目下世界の有するもっとも貴重なるものの一つに数うるに、はばかりません。あなたの来遊を「国際的に有意義なり」とか何とかむつかしいことを言ったり、劇場の前へ「日支親善」【日中友好、の意】などという套話【原文ルビ「タオホワー」】の看板を掲げたり、また大阪では開幕前にあなたの紹介とともに日支親善を提唱したりするとぼけ者があったりしましたのは、あなたのような芸術家はかえって気にもお留めにならぬかもしれませぬが、私どものように、芸術を創造する力はなくただ少し芸術を鑑賞し得る程度の者には、悪感を催さずにはいらせませんでした。学問芸術までをそんなに国際的に解釈せねばならぬとは、不思議でなりません。しかし、貴国のように文化の進んだ国でもなお「日貨抵制」【日本製品を買うな】とか「日人駆逐」【日本人を追い出せ】とか、やかましいことをおっしゃって、「国恥記念日に梅郎上台して日人の玩遊に供するなかれ」【中国の国恥記念日の前後に梅蘭芳が日本に行き京劇を公演するのを、やめさせろ、の意。国恥記念日は、1915年5月9日、中華民国が日本の対華二十一箇条要求の承認を強要された恥辱を忘れぬため、中国人が作った記念日】などと、おのれの国の有する誇るべき国際関係などを超越したる立派な芸術を、みずから玩弄品まで引下げようとなさる方もおありのようです。国をかえて生まれたなれば、「親善」「抵制」と名前を更へて活動をする人達でがなありましょう。少くも、芸術感受性に欠乏している点だけは、大丈夫【間違いなく、の意】、共通しているようです。 |
地の表にある一塊の土だっても、 かつては輝く日の面(おも)、星の額(ひたい)であったろう。 袖(そで)の上の埃(ほこり)を払うにも静かにしよう、 それとても花の乙女(おとめ)の変え姿よ。 [青空文庫・ルバイヤート・(58)] |
デチューン detune 【機械工学】機械・機器の用途にあわせて、意図的に一部の性能を低下させることで過剰性能(オーバースペック)を適正化し、耐久性や安全性、使い勝手など総合的な性能の向上を図ること。 (例)慶應義塾大学矢上台講義教室棟ロビーに展示されている「ハ9-II乙」(川崎九八式八〇〇馬力発動機、液冷V型12気筒)は、本来は航空機用のエンジンだが、550hpにデチューンして五式中戦車のエンジンとしても流用された。 【音楽】楽音のチューニングを意図的にずらすことで、音に豊かな厚みを持たせること。 (例) DTMにおける和音の周波数の設定 アイルランドの伝統音楽(アイリッシュ・ミュージック)におけるチューニング アコーディオンのリードのウェット・チューニング 坂本九の「上を向いて歩こう」 |
古拙な|〔洗練されていないが趣のある〕quaintly rustic; 〔荒けずりの美しさがある〕having a rough(-hewn) beauty プログレッシブ和英中辞典(第3版) |