拾玉[金蜀](しゅうぎょくしょく)Shi-yu-zhuo これから見ていただくのは、拾玉[金蜀]、「宝石のブレスレットを拾う」という芝居です。 京劇の俳優は、四種類の芸をマスターしていなければならない、と言われています。四種類の芸とは、うた、せりふ、しぐさ、たちまわり、の四つです。この「宝石のブレスレットを拾う」という芝居は、俳優のしぐさが一番大きな比重をしめる芝居です。 舞台は中国のとある農村。登場人物はたった三人です。主人公は、若く美しい娘・孫玉[女交](そん・ぎょくこう)。彼女は自分の家で、針仕事をしたり、庭のニワトリたちの世話をしたり、家事をしていました。するとそこへ傅朋(ふ・ほう)という名の若い青年が通りかかります。青年は、娘を見てひとめぼれ。そこで青年は、二人が言葉をかわすきっかけをつくるため、わざと、宝石のプレスレットを地面のうえに落とします。娘はそのブレスレットを拾いあげ、その青年と最初の言葉をかわします。 ところが、ふたりのあいだの一部始終を、隣の家のおばさんが、しっかりのぞいて見ていました。 芝居の前半は、若いふたりの男女の恋のかけひき、芝居の後半は、若い娘をからかう隣のおばさんの軽妙な身のこなしが、この御芝居の見どころです。しぐさが中心の御芝居なので、言葉があまりわからなくても、十分お楽しみいただけます。そのため、京劇の海外公演でもよく上演される人気演目となっています。 それではどうぞ、御楽しみください。 |
京劇研究会による日本語・中国語版の上演(2010.3) YouTubeにアップした動画(無料)。 |