HOME > 授業教材集 > このページ

担当・加藤徹 

ペイガニズムの逆襲

最初の公開2012-5-25 最新の更新2012-5-29

キリスト教以前のヨーロッパの記憶
以下「借りぐらしのアリエッティ」公式HPの中の「プロダクションノート」http://www.karigurashi.jp/film_p_note.htmlより引用。
(引用開始)
ファンタジーとケルト音楽 Production Note.3
 ファンタジーにはなぜケルト音楽が合うのでしょう。それはファンタジーがケルト文化をベースにしたもの、つまりローマからもたらされた キリスト教とは違った先住民族たちの伝承や説話をもとにしたものが多いからだと言えます。この映画の原作が生まれたイギリスがファンタ ジーが盛んな国であるのも、もともとケルト系の民族が住んでいた土地であり、ケルト文化が根付いていることが所以だと思われます。 小 人というファンタジックな存在は、キリスト教的な世界観とは相容れないものです。キリスト教では、神と人間以外の知的存在は認めて いないからなのです。キリスト教が根底に流れる物語の場合、オルガンやコーラスをベースにした教会音楽や、グレゴリオ聖歌などがよく 合います。反対にキリスト教的世界観ではない物語、小人が登場するような物語の場合は、ローマ人やゲルマン人ではない、ヨーロッパと いう土地に“土着”していたケルト人の音楽が相応しく感じられるのではないでしょうか。そう考えると、「借りぐらしのアリエッティ」の 音楽をケルトミュージシャンであるセシルさんにお願いしたのは、全く自然なことなのだと思います。
(引用終わり)

古代ヤマト民族の世界観
cf.習合、シンクレティズム(syncretism)、本地垂迹説、反本地垂迹説、権現、修験道、…
ペイガニズムとは?
ペイガニズム(英: Paganism、仏: Paganisme:パガニスム、羅: Paganismus)
「アブラハムの宗教」=ユダヤ教・キリスト教・イスラム教に対する概念。侮蔑的ニュアンスを含む。
paganの語源はラテン語の「田舎者」。

cf.日本の「天神地祇」 全国的な支配層の神「天つ神」vs地方的な被征服民の神「国つ神」

「高等宗教」的なものペイガニズム的なもの
メジャー majorマイナー minor
宗教 religion崇拝 cult(※現代では「怪しい新興宗教」の意)
「高等宗教」「世界宗教」
仏教、キリスト教、…
土俗信仰、自然崇拝、「邪教」「異教」…
唯一神、天、仏、天父神…蕃神(蛮神)、地母神、妖怪、妖精…
哲学性、神学、形式知呪術性、魔法、暗黙知
普遍的、グローバル
多国籍性、普遍神、…
局所的、ローカル
血筋、祖霊、…
世界音楽:賛美歌,雅楽.…エスニシティ
エスニック音楽,
大伝統、経典、…小伝統、口承、…
外来土着
知識階層・支配層「まつろわぬ民」・先住民・被支配層
ハイカルチャー、メインカルチャー「基層文化」、サブカルチャー

「高等宗教」に吸収された「異教」の神々
cf.ペルーの先住民族インディへナの伝統的な祭り「コンドルの祭」 アンデスの神コンドルvs征服者スペイン人の牛(闘牛) コンドルは飛んでいく(El Cóndor Pasa)

ペイガニズム的な世界観を打ち出した映画作品(フィクション)
「田舎」「まつろわぬ民」「隠れ信仰」「魔法」「エスニック(音楽)」の要素
「ペイガニズム映画」とは言いにくいもの。

HOME > 授業教材集 > このページ