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現代中国学部
中国・アジアへの鋭い洞察力がこれからの時代を生きる鍵。
現代中国学部長 教授 砂山 幸雄
(略) 本学部では、中国語に加えて現代中国の政治・経済・歴史・社会・文化などを総合的に学修し、現地・現場でのアクティブ・ラーニングを通じて成長を促します。学びの舞台は中国大陸にとどまらず、台湾・香港・東南アジアの華人社会を含むアジア中国語圏です。躍動するこの地域の活力を、皆さんの生きる力に役立ててください。(引用終了)
力抜山兮気蓋世 時不利兮騅不逝 騅不逝兮可奈何 虞兮虞兮奈若何 力拔山兮气盖世 时不利兮骓不逝 骓不逝兮可奈何 虞兮虞兮奈若何(中国の簡体字) lì bá shān xī qì gài shì / shí bù lì xī zhuī bù shì / zhuī bù shì xī kě nài hé / yú xī yú xī nài ruò hé |
漢兵已略地 四面楚歌声 君王意気尽 賎妾何聊生 汉兵已略地 四面楚歌声 君王意气尽 贱妾何聊生(中国の簡体字) hàn bīng yǐ lüè dì / sì miàn chǔ gē shēngì / jūn wáng yì qì jìn / jiàn qiè hé liáo shēng |
男の女を猟するのではない。女の男を猟するのである。――シヨウは「人と超人と」の中にこの事実を戯曲化した。しかしこれを戯曲化したものは必しもシヨウにはじまるのではない。わたしは 「 ○『戯考』(ぎこう)・・・詳細は松浦恆雄「民国初年における『戯考』の文化的位置」(https://ci.nii.ac.jp/naid/110007587109)参照。 ○虹霓関・・・演目名。梅蘭芳は前半では東方氏(とうほうし)を、後半では紅線(剣侠仙女)を演じた。 ○金蓮・・・董金蓮(とうきんれん)。 ○桂英・・・穆桂英(ぼくけいえい)、参考 「京劇「楊門女将2017」解説 ○金定・・・劉金定(りゅうきんてい)。 ○梨花・・・樊梨花(はんりか)、参考 新潮劇院・京劇「樊江関」(はんこうかん) |
(二)戦闘ヒロインのコード 古来、男まさりの活躍をする戦闘ヒロインの物語は、世界各地で好まれてきた。 今日の日本の戦闘ヒロインが「リボンの騎士」「風の谷のナウシカ」「美少女戦士セーラームーン」など「戦闘美少女」ばかりである理由は、日本の若者世代の精神構造と無関係ではない(注2)。 京劇の戦闘ヒロインには、木蘭や荀灌娘のような「戦闘美少女」だけでなく、白素貞や穆桂英のような「戦闘既婚婦人」もいる(京劇で、日本にはないタイプの戦闘既婚婦人というキャラクターが活躍する理由は、京劇コードの一つ「宗族社会のコード」にある、と筆者は考えるが、これについての分析は別の機会に譲る)。 戦闘ヒロインの物語には、世界共通の不文律がある。それは、女性特有の生理的ハンディキャップを描いてはならぬ、という「生理描写抑制のコード」である。 物語のなかの戦闘ヒロインは、生理とは無縁である。敵のほうも、ヒロインの戦闘能力が低下するその日をねらって攻撃をしかける、という陰湿な作戦は取らない。ジャンヌ・ダルクの物語でも、アメリカ映画「チャーリーズ・エンジェルズ」「キル・ビル」などでも、生理描写抑制のコードは厳密に守られ、観客もそれに何の疑問ももたない。 中国でも、小説など文字文芸の物語に登場する戦闘ヒロインは、このコードに縛られる。 しかし、語り物や演劇など、口承文学的な物語の世界では、生理描写抑制のコードは、大胆に破られる。 京劇「背子破奇陣」(楊家将)のヒロイン穆桂英は、妊婦でありながら鎧兜に身を固め、陣中で子を産み、その子を背負って敵兵を蹴散らす。京劇「南界関」のヒロイン徐金花も、子どもを背負いつつ、趙匡胤(後の宋の太祖)の軍と戦う。京劇「白蛇伝」のヒロイン白素貞は、つわりに苦しみつつ、臨月の身で天兵天将と大立ち回りを繰り広げる。 京劇コードの一つ「戦闘ヒロインへの観客の同情をかきたてるため、積極的に生理的ハンデを描くべし」という暗黙の不文律は、ジャパニメーションやハリウッド映画も顔負けの、大胆な発想である。 |
自分の備忘用です。京劇関連の授業のために作った教材サイトのURLのQRコードです。 https://t.co/YaJCDKkYf1 pic.twitter.com/CdyIsk9h4U
— 加藤徹(KATO Toru) (@katotoru1963) June 25, 2022