![]() |
○授業は令和3年5月18日火曜と6月1日火曜の14:45−16:15に、ZOOMを使ったオンライン授業を行います。 「リアルタイム+オンデマンド(リアルタイムの様子を収録しその動画を期間限定で配信)」で行います。 ZOOMのURLは別途、愛知大学を通じて学生のみなさんにお知らせします。 ○授業当日、学生は、パソコンから上記のZOOMのURLをたどって参加してください。その際、
○リアルタイム授業は、ZOOMのクラウドレコーディング機能を使用して録画し、リアタルタイム授業に参加できなかった学生や、WiFiの不調などトラブルのあった学生があとで録画を見られるようにします。録画ビデオが外部に流出しないよう万全を期しますが、万一の場合を考え、個人情報保護のため、ビデオからご自身の名前や顔を特定されないようご注意ください。 ○出席確認については、リアルタイムで参加した学生も、あとでオンデマンドで録画を見た学生も、 授業後にリアクション・ペーパーをオンラインで提出してくださることで、一律に出席したと見なします。 ★第2回目(2021年6月1日)のリアクション・ペーパーには、 京劇について印象に残ったこと、感想など を書いて(文量は100字から300字ていどを目安)提出してください。 ★レポート 「京劇をヒントとして考えたこと」というテーマで、自分で書籍やネットなどで調べて書いてください。 日本語か中国語で書いてください。 字数は600字から800字を目安としてください。 提出方法や締め切りは、愛知大学からの連絡にしたがってください。 |
(二)戦闘ヒロインのコード 古来、男まさりの活躍をする戦闘ヒロインの物語は、世界各地で好まれてきた。 今日の日本の戦闘ヒロインが「リボンの騎士」「風の谷のナウシカ」「美少女戦士セーラームーン」など「戦闘美少女」ばかりである理由は、日本の若者世代の精神構造と無関係ではない(注2)。 京劇の戦闘ヒロインには、木蘭や荀灌娘のような「戦闘美少女」だけでなく、白素貞や穆桂英のような「戦闘既婚婦人」もいる(京劇で、日本にはないタイプの戦闘既婚婦人というキャラクターが活躍する理由は、京劇コードの一つ「宗族社会のコード」にある、と筆者は考えるが、これについての分析は別の機会に譲る)。 戦闘ヒロインの物語には、世界共通の不文律がある。それは、女性特有の生理的ハンディキャップを描いてはならぬ、という「生理描写抑制のコード」である。 物語のなかの戦闘ヒロインは、生理とは無縁である。敵のほうも、ヒロインの戦闘能力が低下するその日をねらって攻撃をしかける、という陰湿な作戦は取らない。ジャンヌ・ダルクの物語でも、アメリカ映画「チャーリーズ・エンジェルズ」「キル・ビル」などでも、生理描写抑制のコードは厳密に守られ、観客もそれに何の疑問ももたない。 中国でも、小説など文字文芸の物語に登場する戦闘ヒロインは、このコードに縛られる。 しかし、語り物や演劇など、口承文学的な物語の世界では、生理描写抑制のコードは、大胆に破られる。 京劇「背子破奇陣」(楊家将)のヒロイン穆桂英は、妊婦でありながら鎧兜に身を固め、陣中で子を産み、その子を背負って敵兵を蹴散らす。京劇「南界関」のヒロイン徐金花も、子どもを背負いつつ、趙匡胤(後の宋の太祖)の軍と戦う。京劇「白蛇伝」のヒロイン白素貞は、つわりに苦しみつつ、臨月の身で天兵天将と大立ち回りを繰り広げる。 京劇コードの一つ「戦闘ヒロインへの観客の同情をかきたてるため、積極的に生理的ハンデを描くべし」という暗黙の不文律は、ジャパニメーションやハリウッド映画も顔負けの、大胆な発想である。 |