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ゼミナール1・2(ver.2.2 2010.4.2)

雑誌会

週に一度、担当者が自分の研究テーマに関連した学術論文(英文)をパワーポイントを用いて紹介(発表15分+質疑応答5分)。前後期あわせて一人3回発表。

・3週間前までに読みたい論文3編を持参し、長島と打ち合わせをして発表論文を決定。
・参考文献はできる限り収集し、重要なものには目を通す。
・下記項目を記載したアブストラクト(400字以内)を作成し、発表前々日までにゼミ長に提出。ゼミ長は前日までに参加者全員に配布。発表者は、参加人数分、紹介論文をコピーし、当日配布。

*提出遅れ及び未提出は減点対象となるので注意。
*英文翻訳ソフトの使用は絶対に認めません。おかしな日本語になるのですぐに分かります。

アブストラクト記載項目:
・ 第X回雑誌会・年月日・発表者名
・ 論文のタイトル
・ 論文の著者
・ 掲載雑誌名、巻号、掲載年、ページ
・ 発表の概要(400字)

*みんなに分かりやすく、興味を持ってもらえるように工夫をしましょう。

*メモを見ながらの発表は禁止します。メモ(原稿)を読み上げるだけの発表は、聞いている側にとって一番しんどくつまらなく感じます。自分の頭に情報を詰め込んで、自分の言葉で語りかけるように発表してください。
発表については、パワポの作成要領でも説明します。

面白い論文を探す

関連する論文をいくつも探し出して、アブストラクト(論文トップに書かれているエッセンスの部分)と図と結論をざっと読みながら一番面白そうな論文を見つけ出してください。良い発表、つまり、みんなが興味を持つ発表の前提には良い論文探しが重要なファクターとなります。

ここで、検索ソフト(電子図書館)で論文を探す場合と、図書館でジャーナルを手にとって、ページをめくりながら探す場合についてお話しておきます。
検索ソフトはとても便利なツールです。例えば、氷の形の研究をやる人は、「ice」、 「pattern formation(形態形成)」と入力するでしょう。そうすると、世界中のこれまで発表された論文が数多くヒットします。結晶の形に興味があるなら、きれな結晶の写真がたくさん載っている論文に目を引かれるでしょう。少しでも興味を持ったら、アブストや図などにも目を通してください。
さらに、その論文の参考文献(Reference:論文の最後にリストがあります)をもとに、それより過去の関連論文を手に入れることができます。そういう意味では、できる限り最新の論文を手に入れれば、最近のものから初期の論文まで手に入れやすくなります。もちろん、初めに興味を持った論文が1950年のものでもかまいません。しかし、参考文献には、1950年より古い論文しか載っていません。そこで、その論文からもう1つか2つキーワードを見つけ出して、より新しい論文を探します。あるいは、その著者名を順番に入れて検索すれば、その研究者が退職するまでに書いたより新しい論文も見つかります。こんな感じで、関連論文や頻繁に現れる著者、所属、ジャーナル名を把握していってください。

次に、図書館でジャーナルを手にして探すメリットを話します。パソコンがあるのになんでいまさらと思うかもしれませんが、とても重要です。例えば、物理ジャーナルであるPhysical Reviewのコーナーへ行きます。最新のものから一冊ずつ手にとりページをめくるうちに、「ice」、 「pattern formation(形態形成)」では決してヒットしなかったであろう論文にも触れることができます。もしかしたら、金属の結晶の形の研究論文であったり、結晶ではないものを扱った研究だが美しいパターンの形成を扱っている場合もあります。

私が修士1年のとき、氷の研究を始めて最初に図書館で目を引かれた論文は、容器の中の油を空気を吹き込んでいかにして効率よく押し出すかというものでした。吹き込まれて進んでいく空気の形は、実に様々に変化します。雪の結晶のようなものもあるし、指状のものもありました。これはサッフマンテーラーフィンガーといって、地中の石油をいかにしてすべて効率よく回収するかという問題から生まれた研究です。
結局、私はこの指状に進む空気の形の研究から一方向凝固法という指状結晶の研究にたどり着きました。一見めんどくさい遠回りに思えることの中にも重要なヒントが隠されているのです。

PCでの論文検索と図書館でジャーナールを手に取って探す、この両者をバランスよく利用してください。

1本の論文を読むとは:

1回目はどにかく全訳
2回目は文章の流れ、意味を汲み取りながら読む。ここで、単語の訳の選択が間違っていないか前後の文脈から判断しなければいけません。ひとつの単語にはいくつも意味があるし、専門用語としての訳語もあるので注意すること。
3回目:分かりにくい部分は必ず参考文献にも目を通す。1本の論文を読むとは、参考文献も含めて5本、10本、目を通すことです。
最後に、要約して全体の大きな流れをつかみましょう。1回目には意味を理解できなかったことも徐々に理解が深まります。

減点事項

・ 欠席: 0点 (当日、面接や他大入試日等と重なり、やむをえない場合は、事前に指導教官に報告し、日程変更の了解を取ること)。予定が過ぎてからの報告は減点します。
・ 当日までに準備ができず延期した場合:1週遅れごとに減点
・ アブストラクトの未提出: 減点

卒業研究1・2(ver.2.2 2010.4.2)

研究報告書・個別面接(2010年度よりMBOに基づく日誌提出もあわせて実施)

下記項目をA4サイズで2~3枚にまとめ、ワードファイルを教員に提出し、個別面接を受けること。
・ タイトル (研究題目・氏名・年月日)
・ 今月の作業内容(文献調査、実験手法の検討・改良、結果と考察等)
・ 問題点(どのような問題が生じたか、これが次のステージへと飛躍するための重要な目標です。問題点・失敗したことをきちんと文字化して把握しましょう。)
・対処法(上記の問題に対して、どんな工夫により対処するか、そのアイデアをできるだけたくさん考えてください。そのときに、素過程を思い浮かべ、また、実験の準備段階までさかのぼり、その実験結果に多様性を生み出す、すべてのパラメータを記してください。パラメータとは、実験温度や溶液の濃度という結果に現れる変数もあれば、溶液を作成してからセルに注入するまでの時間や気泡が入ってしまった、新規に作成したセルか何度も使ったセルかなど、些細なことも含めてすべてです。あらゆることが、実験に影響することを肝に銘じてください。)
・来月の目標・計画(大幅な装置の改良、部品の購入の必要があればここで提案すること。このときに、理化学機器のカタログには好都合な部品がある場合もあります。暇なときにカタログを1ページづつめくり、必ず目を通しておいてください。使えるものはどんどん利用しましょう。)

失敗から学ぶということ

とても大切なことです。初めはどうせ思い通りのデータは得られません。実験に失敗します。そんな失敗データを簡単に捨ててしまわないでください。卒論として意味のあるデータを取り急ぐあまり、次の実験、次の実験と先を急いではいけません。失敗実験からも学べることはたくさんあります。なぜなら「結晶成長という物理現象が目の前で起きた」ことには変わりないのですから。必ず、毎回の実験ごとに結果を眺めて素過程や実験手順を踏まえて考察してください。次の実験をもっとうまくやるためのヒントが必ず得られます。

また、失敗と思った実験は、実は失敗なのではなく、予想もしない新発見の種が隠されている場合もあります。期待通りの結果でないと思っても、失敗と決め付けてデータを捨ててしまってはいけないもう1つの理由です。必ずじっくりとデータを眺めて素過程や変数を元に考察してください。

実験→映像を見る→解析する→考えてヒントを得る→次の実験→
○必ずこのループをさせること。

×実験、実験、実験、実験、あとでまとめて映像を見る、解析する。これではだめ。

知識やヒントを整理すること

4月の初めにプレ実験報告会を行いますが、パワーポイントには、背景、目的、実験方法、結果、考察、結論という筋書きが示されます。教員との議論から得られた知識をただ漠然と記憶していてはいけません。メモを取るだけでは不十分な場合もあります。ヒントを受け取る君たちがそのヒントをどの程度の重要性で受け取るか、または受け取ったあとにきちんと整理して頭の引き出しに保存できるかが、聞き流してしまわないためにとても重要なことです。つまり、いつでも気が向いたときに思い出せて思考を開始できるように整理されている必要があります。
このときに、手に入れたヒントが、実験に対することなのか、背景に対することなのか、パワポの該当箇所に注意書きを追加していきましょう。背景から結論までのどこかに収まるはずです。情報は様々なプロセスでどんどん手に入ります。頭が飽和してしまわないためには、得られたヒントを整理することが重要です。


研究報告会

4月、7月、10月、11月、12月、1月、2月に行なう。発表はパワーポイントを使用し、発表15分+質疑応答5分。

発表概要の作成要領

一週間前までに、以下の項目を含むレジュメ(A4用紙1枚)を作成し、教員の添削を受け、修正後、発表者全員分を冊子として、前日までに配布。

・タイトル (研究題目・所属・氏名)
・イントロダクション(研究の背景・目的)
・手法
・結果
・考察
・結論
・参考文献
*必要に応じて図表を入れてよい。

発表方法については、パワーポイント作成要領を参考にすること。

減点事項

・欠席:0点 (当日、面接や他大入試日等と重なり、やむをえない場合は、前日までに指導教官に報告し、日程変更の了解を取ること)
・当日までに準備ができず延期した場合:1週遅れごとに減点
・報告書・発表概要の未提出:減点