関連講義(ver.2.2 2010.4.2)

結晶成長学特論 

前期火曜日1限 担当者:長島和茂

この大学院講義については、研究に関連するため、先取り履修するしないに関わらず聴講すること。

授業の概要・目的
本講義では気相成長・溶液成長・融液成長を通して結晶成長の考察にとり基礎となる考え方を述べる。具体的には相平衡、結晶の核形成理論、完全結晶と準完全結晶の成長機構、界面の荒さと結晶成長、平衡形と成長形、結晶成長のコンピュータシミュレーション等について論じる。現象の理解を促すため、演習やデモ実験、ビデオ紹介を行なう。

授業内容
結晶成長のアウトライン(身近な結晶、結晶構造、ミラー指数、成長の駆動力)
核の生成(ギブストムソン効果、核生成の自由エネルギー、核生成頻度)
結晶の成長機構(ヘルツクヌーセンの式、ウィルソンフレンケルの式、二次元核生成による成長、らせん転位によるスパイラル成長)
結晶の平衡形(ウルフの定理)
結晶の成長形(晶相変化、晶壁変化、成長界面での形態不安定)

教科書:
「結晶は生きている」黒田登志雄著 サイエンス社

参考書:
「結晶成長」斎藤幸夫著、裳華房
「Statistical Physics of Crystal Growth」Yukio Saito, World Scientific

成績の評価基準:
期末テスト(100%)

履修の注意点:
熱力学・統計力学1を履修済み、もしくは同等の知識を有することを前提とする。

勉強の仕方

教科書は知識を体系立ててかかれたものです。自分が研究する結晶の種類や方法、または直面している実験上の困難により、教科書の重要な場所(なんども読み直したり、別の本を探して同じ項目を読んでみるなどこだわるべきポイント)は異なります。教科書には残念ながら失敗談、うまく行かなかった研究の話やあなたが扱うテーマそのものは書かれていません。つまり、自分の研究を意識しながら勉強する必要があります。これにより、勉強は、頭への情報のインプットという作業から、自分の役に立つツールとしての情報へと磨きをかけることができます。このように、常に自分目線、自分の軸足をもとに、教科書を眺めてください。研究にもどんどん役立ちますよ。