私たちの身の回りには、陸上から宇宙まで、多種多様で多数の人や物が絶え間なく移動しています。例えば、陸上では人はもちろんのこと、自転車、自動車、電車など、皆さんに馴染みのある様々な交通手段があります。海上ではタンカーや漁船をはじめとする船舶、空では航空機だけでなくドローン、そして近未来には空飛ぶクルマが往来する予定です。更に、もう少し高い視点から見ると、人工衛星が地球の周りを周回しています。 このように、移動を伴う人や物を移動体と呼びます。もし、移動体が自由に航行していると、交通渋滞や交通事故が起こってしまいます。特に、各移動体が自己や周りの移動体・障害物の位置を把握していないと、非常に危険です。移動体が安全・安心に航行するためには、それぞれが自らの位置を正確に推定する技術や、交通全体を監視する管制のような機能によって移動体の位置を正確に推定する技術が重要となります。 本研究室では、このような様々な交通を安全・安心に運航するために必要なセンシング技術の研究を進めています。例えば、レーダーから送信した電波の反射を計測することにより、移動体の位置を計測したり、逆に移動体から発信される電波を受信して、その情報から移動体の位置を推定する技術があります。更に、Global Navigation Satellite System(GNSS)により、衛星からの電波を受信することによって自らの位置を推定する技術の研究も進めています。更に、カメラ画像による航法にも力を入れており、画像から移動体を検出し、その情報から移動体の位置を推定しています。 なお、航法(英語: Navigation)とは、船舶や航空機、自動車、宇宙機などの移動体において、出発地から経由地、目的地までの航行を導く方法を意味します。