主対象学年 | 対象学部 | 課目名 | 時間帯・教室 |
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1・2年生 | 法学部 国際日本学部 |
自由講座(後期) 国際研究科目・東アジア芸術論B |
2012年度後期 火曜6限 和泉・4番大教室 |
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京劇研究会公演「イエスマン ノーマン」 詳しくは[イエスマン ノーマンの頁]
YouTube再生リストhttp://www.youtube.com/view_play_list?p=494946504A7D4D17 |
●授業の概要・目的 ≪授業の到達目標及びテーマ≫ キーワード:エスニシティ,社会階層,呪術,東アジア,表象芸術 演劇とは,人間を材料として人間を描く社会的芸術である。舞古演劇のみならず,人形劇,映画,テレビドラマ,アニメなども,広義の演劇である。 演劇の上演形式や,作品のテーマや内容は,その時代や社会の特徴を反映している。例えば,西洋の演劇はギリシャ・ローマ以来の伝統で「演説」と密接な関係をもつが,東洋の演劇は歌舞伎であれ京劇であれそのセリフは「演説」と関係ない。また演劇の起源は宗教儀礼にあり,現代の演劇にも人間の深層心理をゆさぶる呪術的な演出の名残が残っている。演劇は決して特殊な芸術ではなく,現代に生きる人間は誰でも「子供らしさ」「女らしさ」「男らしさ」「大人らしさ」を演ずることを社会から要求されており,この意味で,演劇的センスは有用な教養である。 ≪授業の概要≫ この授業では,広義の演劇作品(映画,ドラマ,アニメ等も含む)を取り上げ,それらを通して人間と社会の深層を考察する。ビデオ等の映像資料も随時使用する。 |
●授業内容 人文科学,社会科学,自然科学のそれぞれの視点から,私たちの身近にある演劇文化を分析する。 ![]() 第2回:コメディーとホラー 第3回:類感呪術と感染呪術 第4回:演劇と社会階層 第5回:モチーフ・インデックス 第6回:タブーとコード 第7回:舞台空間と招霊板の類似性 第8回:声と呪術 第9回:ブレヒトと東洋演劇(1) 第10回:ブレヒトと東洋演劇(2) 第11回:モンティ・パイソンの世界 第12回:日本アニメはなぜ人気があるのか 第13回:京劇の世界 第14回:明治大学と演劇 第15回:まとめ *講義内容は必要に応じて変更することがあります。 |
●履修の注意点 広義の演劇作品を鑑賞するかたわら,朗読術や発声法の練習も随時行うので,食事を充分に取ってから授業に参加すること。 |
●教科書 無し(プリント等を随時配布) |
●参考書 加藤徹『京劇』中央公論新社 2002年 加藤徹『怪力乱神』中央公論新社 2007年 |
●成績評価の方法 出席状況,授業参加,期末レポート提出などを総合して成績評価を行う。 |
レポートについて (1)提出日と提出場所について 【提出期間】2013年1月15日火曜日〜1月22日火曜日 【提出場所】和泉・第1校舎1階の事務室に提出すること。 法学部生は法学部の窓口に、国際日本学部生は国際日本学部の窓口に、その他の学部の受講者は自分の所属学部の窓口に提出すること。 (2)内容・テーマについて 次の(a)(b)(c)のうち一つ選んで作成してください。
(3)書式について
レポートの用紙は自分で用意してください。サイズはなるべくA4でお願いします。複数枚の場合は、バラバラにならぬよう、のりづけしてください(クリップ等ははずれやすいので不可)。 ワープロでの作成を歓迎しますが、手書きでも構いません。 誤字・脱字・読みづらい字などは減点の対象となります。 表紙の有無(表紙は不要です)、縦書き・横書きの選択など、レイアウトは自由とします。ただし、採点の便宜上、必ず以下の項目を明示してお書き下さい。 【要 旨】40字以上120字以内で、簡潔に記述してください。 【本 文】自由にお書き下さい。 【参考文献等】少なくとも一点以上挙げてください。ウェブサイトを参照した場合はURL等を明記してください。 以下、具体例を示します。
(4)その他の委細は、授業時に教室で説明します。 質問等があれば、授業終了後に教壇の私のところまで来てください。 以 上 |
All the world's a stage, And all the men and women merely players: They have their exits and their entrances; And one man in his time plays many parts, His acts being seven ages. At first the infant, Mewling and puking in the nurse's arms. And then the whining school-boy, with his satchel And shining morning face, creeping like snail Unwillingly to school. And then the lover, Sighing like furnace, with a woeful ballad Made to his mistress' eyebrow. Then a soldier, Full of strange oaths and bearded like the pard, Jealous in honour, sudden and quick in quarrel, Seeking the bubble reputation Even in the cannon's mouth. And then the justice, In fair round belly with good capon lined, With eyes severe and beard of formal cut, Full of wise saws and modern instances; And so he plays his part. The sixth age shifts Into the lean and slipper'd pantaloon, With spectacles on nose and pouch on side, His youthful hose, well saved, a world too wide For his shrunk shank; and his big manly voice, Turning again toward childish treble, pipes And whistles in his sound. Last scene of all, That ends this strange eventful history, Is second childishness and mere oblivion, Sans teeth, sans eyes, sans taste, sans everything. |
(坪内逍遥・訳)人間世界は悉く舞台です、 さうしてすべての男女が俳優です。 めいめいが出たり入ったりして、 一人で幾役をも務める、 一生は先づ七幕が定(きま)りです。 初めは誰しも赤ん坊で、 乳母(ばアや)の手に抱かれて、おぎゃァおぎゃァといって、涎を垂らす。 その次は鼻を鳴らして泣く小学生徒。 鞄をぶらさげて、 起きて洗ったばかりのてらてら顔をして、 いやいや学校へと過牛(でんでんむし)のやうに歩く。 その次は情人(こひびと)。 火炉(いろり)よろしくの溜息をして、 其意中の女の眉附か何かを讃(ほ)めちぎった哀れな小唄を口ずさむ。 それから、軍人(いくさにん)。 奇態な猛烈な誓言が口を衝いて出る、 口髭は豹よろしくで。 おッそろしく体面を気にして、喧嘩ッ早いこと此上なし、 水泡(あぶく)のやうな名誉の為にでも、 随分、大砲の筒口へ向って行く。 その次が裁判官。 賄賂の閹鶏(ケーポン)のお庇で、 肚は布袋よろしくだが、 目附は閻魔大王、型にはめて刈り込んだ髭、 いろんな格言をも知ってゐれば普通の裁判事例は何でも心得てゐて、 其役目をも務める。 第六となると、痩せこけた、 上草履でとぼとぼあるきの道外(どうけ)爺さんに変る。 鼻には眼鏡、腰には巾着、 丹念に保存したものの、若い時分の筒袴(だんぶくろ)は、 其衰へた脛には、滅法界もなく太過ぎる。 さうして太かった男らしい声も 今は子供声へ逆戻りして、細々と口笛のやう。 とどのつまりの、此変(おつ)な、複雑な劇(しばゐ)の大詰は、 第二の小児と変って、一切空に帰するのです。 すなはち、無しづくし、歯なし、目なし、 味覚なし、何(なンに)もなし。 |
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谷行(15世紀) | エヴァンゲリオン(20世紀) | |
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通過儀礼 Initiation | 稚児→山伏 | 人類補完計画、「おめでとう」 |
母胎回帰 | 入山、谷(女性器の象徴)への投げ込み | L.C.L、エヴァの秘密 |
示現 | 役行者、伎楽鬼神 | 使徒、エヴァ |
愛 | 衆生一子 | |
機械仕掛けの神 Deus ex machina | 葛城の女神 | アヤナミレイ+リリス |
大伝統 great tradition | ←→ | 小伝統 little tradition |
ハイカルチャー | ←→ | ポピュラーカルチャー、ポップカルチャー、マスカルチャー |
メインカルチャー | ←→ | サブカルチャー、ストリートカルチャー |
古代〜19世紀 | 前近代 | 舞台演劇 | 時間芸術、再生芸術、… |
20世紀 | 複製技術時代 | 舞台・映画・テレビ | 「複製技術時代の芸術(Das Kunstwerk im Zeitalter seiner technischen Reproduzierbarkeit)」、大衆消費社会、大量生産、… |
21世紀 | デジタル時代 | 舞台・映画・テレビ・ネット | インターネット、オンデマンド、ユビキタス、ボーダーレス、… |
参考[YouTube 動画リスト ビンクスの酒 カバー] |
京劇(中国の伝統舞台演劇) | エヴァンゲリオン(一連のアニメ作品) | |
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ジャンル | 総合芸術 | メディアミックス |
風格 | 写意>写実、虚実皮膜 「不像不成戯、真像不是芸」(それらしくなきゃ芝居じゃない、そのまんまだったら芸じゃない) | 2次元〜2.5次元 画力、声優の演技力(少年の声を女優が演ずる、等) | 世界観 | 三教(儒仏道)、天地人 「天地大舞台、舞台小天地」 | 聖書、宇宙・地上・海・地底、 人類補完計画、第18使徒 |
現実世界(3次元)への違和感 | 清朝時代の漢民族は、辮髪も満洲風の服飾文化も内心では嫌った。 京劇作品中の漢民族は無敵。 | 宮崎駿(?)「日本人は、日本人の顔が嫌い」 エヴァの作中の日本は超大国? |
二次的上演 | 票友、票房、票戯、清唱 | コスプレ、カラオケ |
二次創作 | 票房や茶館での談話 | ファンフィクション、同人誌、コミケ |
追体験 | 日常、歴史、非日常 | 日常、未来、精神世界 |
キャラクター | 臉譜(れんぷ。隈取り)、衣装 | 髪の色、コスチューム |
改作 | 「演変」、違う結末をもつ複数の作品の共存 | 「並行世界」、パラレルワールド、TV版→「旧劇」→「新劇」 |
ノイズ | 京劇的要素以外の夾雑物が少ない。無駄な演技や、大道具がない。 | アニメ作画者が描き込む情報がすべて。実写のような情報ノイズはない。 |
創作態度 | 「戯要三分生」(芝居は三割の未完成を残せ) 「名家無専師」(名人は一人の師匠にこだわらない) 「守成法而不拘於成法、脱成法而不背乎成法」(型は守れ。だが型にはまるな。型破りになれ。だが型知らずになるな) | 「気持ち悪い」(旧劇のラスト) 庵野秀明監督「僕のようなアニメや漫画をばかり見てきた世代は、パッと浮かんだことにだいたいいつも元ネタがあり、時に嫌になる」 |