当研究室で創製したアパタイト単結晶ファイバーなどを出発原料として、細孔構造を精密制御したリン酸カルシウム多孔質セラミックスの開発を進めています。これらの多孔質セラミックスは、出発原料のリン酸カルシウムファイバーの化学組成を任意に制御できるため、生体内で安定な人工骨から吸収置換されるものまで、用途に合わせて任意に作りこむことが可能です。また、ファイバー状のリン酸カルシウムを出発原料に利用しているため、形成される気孔のほとんどが開放気孔であり、さらに気孔構造の精密制御が可能であるという利点があります。
これらの多孔質セラミックスを実験動物の骨組織に埋め込むと、その気孔内に新生骨が容易に侵入してきますので、骨伝導性があります。また、大型動物(ブタ)の「筋内」にこの多孔質セラミックスを埋め込むと、その気孔内に骨組織を形成します。筋内は本来骨を形成しない部位ですので、ここで観察された骨形成は「骨誘導」であり、このセラミックスが優れた骨形成能を有することがわかります
なお、この研究プロジェクトは、明治大学国際バイオリソースインスティテュート(代表:農学部 教授 長嶋比呂志先生)」のサブプロジェクトの一つとして推進しています。
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