読み方 | 例 | |
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活字的 | ボーカロイド | |
毛筆的 | 楷書的 | ニュースのアナウンサー |
行書的 | ドラマや映画の俳優・声優 | |
草書的 | 京劇や能、詩吟など、伝統的な朗誦 | |
徽宗の草書千字文と、 明治16年刊・高等小学習字本 巻菱潭・書「三体千字文」より |
漢詩 | 平仄、平水韻 | 「中原」の自然言語を意識して作られた人工言語 |
京劇の歌詞 | 中州韻、十三轍 | |
中国語の詩 | その時代の口語の発音 | (人工言語の影響を受けた)自然言語 |
加納喜光『数の漢字の起源辞典』(東京堂出版、2016年)p38-p39より引用 漢字は中国のものである、朝鮮と日本の漢字は借りものである、などといった差別意識は持つべきではない。漢字は外来の言語であるから廃止すべきであるという偏狭な国粋主義も捨てた方がよい。 筆者は漢字の位置をこう考えている。漢字は紀元前に生まれた古典漢語の表記体系である。これが周辺国に伝わり、古典漢語の音形、字形、意味が甚だしく変容しないうちに、各国語に組み込まれた。朝鮮が最も古く、日本はそれに次ぐ。中国では音形、字形、意味とも変容が甚だしく、現代語からの距離が大きい。したがって朝鮮語、日本語における漢字は古典漢語の直系の子孫である。違いを強調しすぎた嫌いもあるが、少なくとも漢字は朝鮮、日本、中国では等距離にあると言ってさしつかえない。 |
卓犖高標挙彩霞 | タクラク コウヒョウ サイカあがる |
英才況又玉無瑕 | エイサイ いわんやまたギョクにきずなきをや |
登科蚤折三秋桂 | カにのぼり つとにおる サンシュウのかつら |
随使遙浮八月槎 | つかいにしたがい はるかにうかぶ ハチゲツのいかだ |
筆下談論通地脈 | ヒッカのダンロンはチミャクにツウじ |
胸中妙思吐天葩 | キョウチュウのミョウシはテンパをはく |
相逢何恨方言異 | あいあう なんぞうらみん ホウゲンのことなるを |
四海斯文自一家 | シカイのシブンはおのずからイッカなり |
清簟楼台絳帳垂 | セイタンのロウダイ、コウチョウたる。 |
城南大路匝胡児 | ジョウナンのおおじにコジめぐる。 |
王風委地求諸野 | オウフウはチにすてられ、これをヤにもとむれば、 |
礼楽衣冠尽在斯 | レイガクとイカンとは、ことごとくここにあり。 |
十四日(甲戌),朝陰,風。中前所二十七里,民人曹姓家午餐,膏水河四十五里,旗下張姓家宿。中前所城南門外,以自簟構二層屋,架設倡戲於前,觀者雲屯,有兩人裝以女子紅粧,其雲髻粉白,少不毫髮之殊,手持柄扇一把,凟而搖之,其聲作豔唱,其聲嫋嫋,雖不知為何語,而濃臉倩笑,蓮步輕盈,百般情態,眩人視瞻,此真以聲音笑貌為者也。翻然入絳帳中,又有白髮二老人,聯臂而出,其髮白者,亦假面也,一
𤥢
闊袖、團領、頭帽、腰帶,一應我國朝士之服,跪揖進退,皆中節奏,大抵胡兒見我國朝服之人,則必曰倡氏云者,蓋以此也,此等戲皆演椑史奇書,以一回所錄,作一場戲,戲訖而輒換以他面,故知者猶可摸捉名物,而不知者不解其何樣趣味,況我國人,則又不識其言語酬酌之妙處乎? 路傍有關帝廟,此亦大剎,又有所謂虫聖廟,意其享西陵氏、馬頭娘之類也。
清簟樓臺絳帳垂,城南大路匝胡兒,王風委地求諸野,禮樂衣冠盡在斯。 |
司馬遷『史記』項羽本紀より | ||
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【原漢文】 項王軍壁垓下。兵少食尽。漢軍及諸侯兵囲之数重。 夜聞漢軍四面皆楚歌、項王乃大驚曰「漢皆已得楚乎? 是何楚人之多也!」。 項王則夜起、飲帳中。有美人名虞、常幸従。駿馬名騅、常騎之。 於是、項王乃悲歌慨、自為詩曰「 力抜山兮気蓋世、 時不利兮騅不逝。 騅不逝兮可奈何、 虞兮虞兮奈若何?」。 歌数闋、美人和之。項王泣数行下、左右皆泣、莫能仰視。 於是項王乃上馬騎、麾下壮士騎従者八百余人、直夜潰囲南出、馳走。平明、漢軍乃覚之、令騎将潅嬰以五千騎追之。 |
【書き下し文】 項王の軍、垓下に壁す。兵少なく食尽く。漢軍及び諸侯の兵、之を囲むこと数重なり。 夜、漢軍の四面に皆楚歌するを聞き、項王乃ち大いに驚きて曰く「漢、皆已に楚を得たるか。是れ何ぞ楚人の多きや」と。 項王、則ち夜起ちて帳中に飲す。美人有り、名は虞、常に幸せられて従ふ。駿馬あり、名は騅、常に之に騎す。 是に於て、項王乃ち悲歌慷慨し、自ら詩を為りて曰く、「 力、山を抜き、気、世を蓋ふ。 時、利あらずして騅逝かず。 騅の逝かざる、奈何とすべき。 虞や虞や若を奈何せん」と。 歌ふこと数闋。美人、之に和す。項王、泣数行下る。左右皆泣き、能く仰ぎ視るもの莫し。 是に於て項王乃ち上馬して騎す。麾下の壮士、騎従する者八百余人。直ちに夜、囲みを潰して南に出でて馳走す。平明、漢軍乃ち之を覚り、騎将灌嬰をして五千騎を以て之を追はしむ。 |
【読みかた】 コウオウのグン、ガイカにヘキす。ヘイスクなくショクツく。カングンオヨびショコウのヘイ、コレをカコむことスウチョウなり。 ヨル、カングンのシメンにミナソカするをキき、コウオウスナワちオオいにオドロきてイワく「カン、ミナスデにソをエたるか。コれナンぞソヒトのオオきや」と。 コウオウ、スナワちヨルタちてチョウチュウにインす。ビジンアり、ナはグ、ツネにコウせられてシタガう。シュンメアり、ナはスイ、ツネにコレにキす。 ココにオイて、コウオウスナワちヒカコウガイし、ミズカらシをツクりてイワく、 「チカラ、ヤマをヌき、キ、ヨをオオう。トキ、リあらずしてスイユかず。スイのユかざる、イカンとすべき。グやグや、ナンジをイカンせん」と。 ウタうことスウケツ、ビジンコレにワす。コウオウ、ナンダスウギョウクダる。サユウミナナき、ヨくアオぎミるものナし。 ココにオイてコウオウ、スナワちジョウバしてキす。キカのソウシ、キジュウするモノハッピャクヨニン。タダちにヨル、カコみをカイしてミナミにイでてチソウす。ヘイメイ、カングンスナワちコレをサトり、キショウカンエイをしてゴセンキをモッてコレをオわしむ。 |
唱戯 | 京劇など | 以字行腔 | 言葉のアクセントや抑揚にあわせてメロディーやリズムを微調整する。五線譜では表記不可能な「こぶし」や「声のかすれ」も重要な意味をもつ。日本の謡曲や詩吟、演歌に近い。 |
唱歌 | 歌劇など | 以腔行字 | メロディーとリズムは楽譜どおりである。五線譜など楽譜からはずれすぎるのはよくないとされる。オペラのアリアなどに近い。 |
力抜山兮気蓋世 | li ba shan xi qi gai shi | りー ばー シゃん しー ちー がい シー |
時不利兮騅不逝 | shi bu li xi zhui bu shi | シー ぶー りー しー ぢゅい ぶー シー |
騅不逝兮可奈何 | zhui bu shi xi ko nai ho | ぢゅい ぶー シー しー こ ない ほー |
虞兮虞兮奈若何 | yu xi yu xu nai ruo ho | ゆぃ しー ゆぃ しー ない る゛(濁音)お ほー |
漢兵已に地を略し | カンペイすでにチをリャクし |
四方 楚歌の声 | シホウ ソカのこえ |
大王の意気尽く | ダイオウのイキ つく |
賎妾何ぞ生を聊んぜん | センショウ なんぞセイをやすんぜん |
漢兵已略地 | han bing yi lyuo di | はん びん いー りゅお でぃー |
四面楚歌声 | si mian cu ge sheng | すー みぇん つー がー シぇん |
君王意気尽 | jun wang yi qi zin | じゅん わん いー ちー ずぃーん |
賎妾何聊生 | zien cie ho liao sheng | ずぃえん つぃえ ほー りゃお シぇーん |