〇相澤守・矢崎成俊・金子弘昌・坂元孝志・深澤倫子・本田みちよ・榊原潤
生体に接して利用される材料をバイオマテリアルと呼ぶが、これまでは動物実験を含む膨大な実験により開発されてきた。このシーズでは、計算科学をバイオマテリアルの機能設計に積極的に導入して、機能発現の本質を見極め、より効率的な材料創製プロセスを提案できる研究母体を構築する。
〇相澤守・田原一邦・小原学・楠瀬博明・小椋厚志
自然界は「異方性」にあふれている。例えば、竹は典型的な異方性構造を持ち、縦方向と横方向ではその強度が全く異なる。当該シーズでは、研究対象にはこだわらず、「異方性」に着目して、その異方性とその特異構造によって発現する物性や機能制御について精査し、その学理を理解するための研究母体を構築する。
〇相澤守・渡邉友亮・岩瀬顕秀・鎌田慎・中別府修・吉村英恭
一般的に、物質や材料の機能はマクロレベルで発現しているが、その成因はミクロ領域での構造が大きく関与している。例えば、人工骨として使用されているアパタイトに積極的に欠陥を導入すると骨形成能が高くなる。当該シーズでは、「欠陥構造」に着目し、欠陥構造とそれによって発現する物性や機能制御について精査し、その学理を理解するための研究母体を構築する。
〇小野弓絵・嶋田総太郎・川南剛・井上全人・富澤徹弥・小林正人
脳活動は意思や情動などを測る尺度として有効だが,従来の脳機能計測は大型の装置を必要とするためにその活用が制限されていた。このシーズでは,ウェアラブルデバイスを用いた脳機能計測により一般的な生活空間(リアルワールド)における脳活動の評価を推進し,実社会における多様な課題(ヘルスケア,教育,コミュニケーション,住空間評価等)を解決する技術要素を開発するための研究母体を構築する。
〇加藤徳剛・梶原利一・相澤守
治療と診断の融合技術をセラノスティクスという。セラノスティクスために薬剤などを内包した微粒子が、細胞や組織へ送達されるためには、細胞膜や血管の内壁などの生体の壁を越えることが求められる。現在、エンドサイトーシスを利用して上皮細胞内に微粒子を送達する仕組みが着々と明らかになってきている。膜透過ペプチドを利用して、微粒子の細胞内送達の高効率化を目指す。こうした技術は,血液脳関門の作用のため困難とされる脳への物質送達にも有用となる。血管を構成している細胞のトランスサイトーシスを利用した脳への微粒子送達技術を開発し、単離脳を使った実証実験を行うことを目指す。
〇岩瀬顕秀・楠瀬博明・安井幸夫・我田元・渡邉友亮
光触媒反応では,半導体光触媒中に光生成した電子および正孔をいかに効率良く反応に使えるかが重要である。大半の電子と正孔は再結合して消滅してしまうため,光生成した電子と正孔の分離が鍵となるが,この分離には光触媒の誘電特性が関わっている可能性が指摘されている。そこで,能動的に結晶を制御し,誘電特性と光触媒特性との相関について理解を深め,新しい光機能性材料設計指針の確立を目指す。
〇永井一清・小山明男・川南剛・樋山恭助・光永威彦・橋本健二・鈴木隆行・宮部賢志・松田匠未・WG内の方々・WG外の方々
サーキュラーエコノミー(循環経済)を支えるグリーンテクノロジーを基盤としたサステナブルシティを実現するための理工学部内での母体組織として立ち上げ、本学他学部の教員とも協働し、賛同者の英知を融合させて国内外へ展開しています。最初のステップとしてサーキュラーエコノミーとグリーンテクノロジーの観点から始めましたが、コロナ禍プラスSDGs開始から5年経ったこともあり、そもそもサステナブルとは何か、コロナ収束後の社会で求められることは何かなどの点検も必要と考え、見直しとしてのネオSDGsや2030年以降のポストSDGsの議論も始めています。難しく考えがちなときもありますが、まずは「こんな社会になったらいいな」、「こんな社会で生活したい」を自分たちで描くことが重要と考え、適時柔軟に目指す方向を軌道修正していく方針で進めています。もちろん学内だけで実現できるわけではないので、国内外で興味のある方々と協力していきたく思い、もしご興味がありましたらお声がけください。
小林健一・立川真樹・渡邉友亮・〇矢崎成俊
ガラスコップの中に,着火したろうそくを立て,コップの外から,大きな声で叫ぶと,ろうそくの火が潰れて消えるというマジックのような遊びがある.大声を出し,空気やガラスを振動させることによって,なぜろうそくの火が変形し,なぜ酸素が無くして火を消すことができるのか.この実験は誰でもできるが,消える理由を的確に答えるのは存外難しい.工学や理学の観点から多角的なアプローチで,この現象を解明していきたい.また,火を制御できれば,防災(消火)に寄与する道筋も見えてくることにも期待できる.このように,真面目に遊びを研究する,という姿勢を子供たちに向けて発信することにより,身近な遊びを考える科学振興の立場からも推進していく予定である.
小原学・川南剛・平野太一・〇矢崎成俊
磁性流体は一見ただの黒いインクの流体に見えるが,磁石を近づけると, 大きく変形し,果物のドリアンのような突起である「つの」が連なって形成される.この動きは,重力場での流体の運動に見慣れている普通の目からみると,直観から外れた不思議な現象にみえる.これは磁場の影響の現れであり,いわば可視化されたといってもよい.しかし,その原理は,磁場における粘性流体の変形運動を解析しなければならず,一筋縄ではいかない.一方,磁石を近づけると「つの」がいくつも生成されるという界面の不安定現象は,見方を変えるとある種のトリガーにもなる.この観点から,磁性流体を利用して,例えば,冷却面上に生成された氷層を剥離させ,氷スラリーを生成するという工学的な応用もなされている.磁性流体は,その原理の解明も面白い研究対象であると同時に,磁場をかけると急激な変形がなされるという意味で工学的な応用にも期待がもてる.また,純粋に磁石をくっつけたり離したりして,変形や模様の変化を楽しむこともでき,誰もが楽しめる玩具でもある.真剣に遊び,楽しみながら研究する姿勢を,子供や若者に向けた勉強の楽しさにつなげ,理学工学の面白さを伝えていきたい.
〇田原一邦・野口裕・金子弘昌・相澤守
効率的なエネルギー利用や物質変換はSDGsの目標7と9にもあり,人類社会の持続的な発展に欠かすことのできない主題です.この主題の実現の一助として,本シーズでは,有機分子を中心とした無機物も含む物質を,ナノからマイクロスケールに至る(局所)構造や配向を自在に操る基礎技術(アーキテクトニクス)を開発し,その組成と構造や配向に起因する機能性を評価することを目的とします.得られる学術的な新知見に基づき創出される材料を使った高効率光電子デバイスや物質変換への応用を模索し,エネルギー利用やその他の産業の新たな技術基盤とすることを最終目標とします.