研究内容 生体防御機能を備えた生命機能マテリアルの創製とその評価

トップページ > 研究内容 > 生体防御機能を備えた生命機能マテリアルの創製とその評価

免疫系に積極的に働きかけるイムノセラミックスの創製と免疫細胞応答性

 「免疫系に積極的に働きかけるイムノセラミックスの創製と免疫細胞応答性」では、がんの免疫細胞療法に適用可能な新しい培養基材の素材開発に取り組んでいる。ここでは、生命機能マテリアルのモデルとして、「ホウ素含有アパタイト(BAp)」および「IP6を表面修飾した水酸アパタイト(IP6-HAp)セラミックス」を利用し、マウス脾臓由来の免疫細胞の応答性を調べている。BApはアパタイト固溶体のひとつの形態であり、溶液中で解離したBO2基が細胞の糖鎖と相互作用して免疫細胞が活性化される。これまでにBApセラミックスと免疫細胞とを共培養すると、T細胞やNK細胞を活性化できることを明らかにしている。また、2014年度にIP6-HApセラミックスの免疫賦活効果に関する特許出願(特願2014-192763)を東京医科歯科大学の永井重徳先生と行なっている。

※図をクリックしていただくと、拡大したものがご覧いただけます。

抗菌性を備えた耐感染性バイオマテリアルの開発

 近年の医療業界では、人工関節などをはじめとするインプラント材が広く普及しているが、それらの使用後の術後感染症は重篤な合併症の1つであり、近年問題となっている。「抗菌性を備えた耐感染性バイオマテリアルの開発」では、IP6のキレート能を利用して、抗菌スペクトルが広く、耐性菌を生じさせないと言われている「銀イオンをチタンやPEEKなどのバイオマテリアル上に固定化する研究を推進している。この研究は、国際医療福祉大学・教授の石井賢先生ならびに慶應義塾大学医学部整形外科学教室・教授の松本守雄先生との共同研究であり、世界で初めてin vivo環境下で抗菌性を発現する抗菌性インプラントの創製に成功している。

※図をクリックしていただくと、拡大したものがご覧いただけます。

化学塞栓療法を指向したバイオセラミックス微小球の創製と抗腫瘍効果

 近年、超高齢社会の到来にともない悪性新生物(がん)による死亡率が年々増加傾向にある。我々は新たな低侵襲ながん治療として血管新生抑制剤をリン酸カルシウム微小球に担持させた薬物送達システムの開発に取り組んでいる。この微小球は「塩添加超音波噴霧熱分解法により合成される。より具体的には、リン酸カルシウム微小球を調製するための試料溶液にフラックス成分である硝酸カリウム(KNO3)を添加して超音波噴霧熱分解を行ない、得られた微小球からフラックス成分を洗浄して除去することにより「表面にナノサイズの気孔が形成された微小球」を合成している。この微小球のドラックデリバリーシステム担体への応用を検討するとともに、血管新生抑制剤を担持させた微小球を担癌ヌードマウスに注入し、優れた抗腫瘍効果が発現することを明らかにしている。この研究は、国際医療福祉大学・教授の江本精先生との共同研究である。

※図をクリックしていただくと、拡大したものがご覧いただけます。
組織再生を促進する生命機能マテリアルの開発と医学応用自家骨に匹敵する骨形成能を備えた生命機能マテリアルの創製とその評価生体防御機能を備えた生命機能マテリアルの創製とその評価
▲ページトップに戻る