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Research研究内容

リズム現象

Rythmic reaction 化学反応も自発的な運動も、時間周期的に異なる状態の間を行ったり来たりする現象(リズム現象または振動現象)を表すことがあります。リズム現象は、例えば心臓の鼓動や神経パルスなど、生物の高度な機能を支える基礎的な現象です。当研究室では、化学反応や自律運動に現れるリズム現象を解析し、数理モデルを通してそのメカニズムを明らかにしています。

化学振動反応:Belouzov-Zhaotinsky (BZ) 反応

chemistry 化学振動反応の代表的な例であるBelousov-Zhabotinsky (BZ) 反応 は臭素の酸化物と有機酸、プロトン、金属触媒の混合溶液で起こる化学反応で、リズムやパターン形成現象が認められます。酸化反応と還元反応が同時に進行しているにもかかわらず、条件によっては酸化状態と還元状態の間を時間周期的に行ったり来たりする、リズム現象が現れます。基本となる化学反応が抽出されており、それを基にして数理モデルが構築されています。数理モデルを解析することで、時間周期的な振動が起きる仕組みが明らかにされています。

【関連動画】

「化学振動反応」

「酸化状態(青)と還元状態(赤)の間を時間周期的に行ったり来たりする様子が色の変化で表されています。

「BZ反応のデモンストレーション」

酸、基質、金属触媒を混合し、BZ反応の溶液を調製する様子をご紹介します。

しょうのう円板の集団に現れるリズム現象(自己駆動粒子のクオラムセンシング)

Autonomous movement#しょうのう円板の自発的な運動において、ある条件下では時間周期的に加速と減速を繰り返すリズム現象(振動運動)が現れます。これまでに、円板の数、水相の広さを変数として、数密度が一定の値よりも大きくなったときに振動運動が現れることを実験で示すことができています。また、数理モデルを構築して解析することで、水相のしょうのう濃度と円板の運動との相互作用によってリズム現象が現れることを明らかにしています。

【関連動画】

しょうのう円板集団の連続運動

多数の小さなしょうのう円板は互いに衝突を避けながらで動き回ります。

しょうのう円板の追いかけっこ

大きい2個のしょうのう円板は追いかけっこします。

しょうのう円板集団の振動運動

しょうのう円板を多数浮かべると振動運動が現れます。

単体のしょうのう円板の振動運動

しょうのう円板を狭い水相に浮かべると、単体でも振動運動が現れます。

【関連論文】
Autonomous movement#
“Dynamical Quorum Sensing in Non-Living Active Matter” [Editor's Choice]
J. Phys. Soc. Jpn. 88, 093002 (2019).
Link to Paper
Autonomous movement#
“Synchronized Intermittent Motion Induced by the Interaction between Camphor Disks”
J. Phys. Soc. Jpn. 84, 034802 (2015).
Link to Paper
Autonomous movement#
「水面滑走する自己駆動粒子のリズム運動」
日本物理学会誌75 (2020).
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Autonomous movement#
“Evolution of Self-Propelled Objects: From the Viewpoint of Nonlinear Science”
Chemistry - A Euro. J. 24, 6308
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化学反応を伴う自律運動に現れる振動現象

chemistryしょうのう円板のように、水面を滑走する自己駆動粒子はその周囲の表面張力に非対称性を生み出して駆動力を得ています。そこで、粒子から展開された分子と化学反応する物質を水相中に用意することで、運動の速さや振る舞いを変えることができます。例えば、ベンゾキノン(BQ)という物質はしょうのうと同じように水の表面張力を下げる固体であるため、その粒は水面を自発的に運動します。ところが、水相にBQを酸化するような物質(例えばアスパラギン酸)を溶かし込んでおくと、BQは酸化されてハイドロキノン(HQ)に変化します。このHQは表面張力をほとんど低下させな いために、粒の駆動力は下がります。そのため、酸化剤の濃度が十分に高い環境下ではBQの粒は駆動力を失って停止したままになります。面白いことに、中間くらいの濃度の時には、BQの粒は運動と停止を周期的に繰り返します。このように、環境に応答して運動様相や運動の速さ、向きなどを変えるようなシステムを開発・研究しています。

【関連動画】

フェナントロリン粒の振動運動

水面に浮かべると一定速度で滑走するフェナントロリン粒を、鉄イオンの水溶液に浮かべると、停止と急激な運動を周期的に繰り返す振動運動が現れます。粒の周りに現れる赤色の物質は鉄イオンとフェナントロリンの錯形成反応で生成されるフェロインです。

【関連論文】
Autonomous movement#
“Self-Propelled Motion of a Coumarin Disk Characteristically Changed in Couple with Hydrolysis on an Aqueous Phase”
J. Phys. Chem. B 123, 4311 (2019).
Link to Paper
Autonomous movement#
"Self-propelled motor driven by a glucose engine"
Chem. Lett. 43, 453-455 (2014).
Link to Paper
Autonomous movement#
"Photo-sensitive self-motion of a Benzoquinone disk"
PCCP 14, 5988 (2012).
Link to Paper
Autonomous movement#
"Self-Motion of a Benzoquinone Disk Coupled with a Redox Reaction"
JPC C 114, 13340 (2010).
Link to Paper
Autonomous movement#
"Experimental and theoretical studies on the self-motion of a phenanthroline disk coupled with complex formation"
PCCP 12, 1557 (2010).
Link to Paper
Autonomous movement#
“Evolution of Self-Propelled Objects: From the Viewpoint of Nonlinear Science”
Chemistry - A Euro. J. 24, 6308
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