Research

Chrono-agriculture TEAM

Chrono-agriculture(時間農学)班には、主に二つの研究テーマがあります。

ナマズ淡水養殖に向けた時間生物学的研究

 この班では、主に日本に生息するマナマズ(Silurus Asotus)を用いた研究を行っています。 マナマズは日本の淡水域に生息する大型の在来肉食魚であり、美味で養殖も容易なため、現在ウナギの代用食として注目されつつあります。

養殖場
ナマズが売られるベトナムの市場【出典

 現在、日本においてはあまり食卓に馴染みのないナマズ類ですが、アジアや大西洋に面する国では食用魚として利用されています。

 ナマズを用いた研究の目標は、給餌時間や環境の影響がナマズ類の成長にどのように作用するか、また、それらを調節することでナマズの養殖効率を向上させることができるかを模索し、その裏付けとしてナマズの行動や成長に時間生物学的な諸機能がどのように関与しているかを探ることです。

 現在はこれに対してナマズの様々な明暗条件や給餌条件のもとで行動パターンを特定することと、体重変化を測定することで成長度を測り、その結果を利用して効率的な給餌条件や明暗条件といった飼育条件の確立を目指しています。

家畜の生産効率向上を目指す時間生物学的研究
黒毛和牛

 現在日本の畜産業では、育種による家畜改良や飼育方法の改善、特色ある家畜の生産が進められています。我々はその中でも飼育方法の改善に着目し、時間生物学的視点から畜産物の生産効率の向上を目指しています。

 脂質代謝についての研究は、生体モデルや培養細胞モデルを用いて広く行われています。近年では、体内の概日時計機構が、脂肪組織や肝臓をはじめとした脂質代謝関連臓器において、脂質の合成・分解・貯蔵などに関わっていることが示唆されています。「夜食べると太る」という言葉を耳にしますが、これは代謝に関する時計遺伝子が夜間に活性化することが原因であると証明されています。我々はこのことを家畜にも応用できると考え、脂質代謝に関連した分子時計に合わせた家畜の給餌時間の調節により、従来の飼料量で質・量ともに従来以上の生産物を得ることを目指しています。

 しかし、時計遺伝子がどのようにして脂質生成と分解を制御しているかは未だ明らかになっていないため、現在は細胞レベルから時計遺伝子と脂質代謝の関係を解明しています。この研究が進むことで、家畜の生産効率・飼料効率の向上による畜産業の発展が見込め、また概日リズムと脂質代謝の関係を解明することは、ヒトのメタボリックシンドロームの研究への貢献にもなると期待しています。

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