トップページへ戻る
最新情報
齋藤メソッド
スタイル研究会
著書
論文
学会発表
おすすめブックリスト
齋藤孝について
ダーウィンの危険な思想 宮沢賢治という身体 教師=身体という技術
「ムカツク」構造 子どもたちはなぜキレるのか スラムダンクを読み返せ!!
身体感覚を取り戻す 「できる人」はどこが... 声に出して読みたい日本語
自然体のつくり方 子どもに伝えたい<三つの力> 三色ボールペンで読む日本語
理想の国語教科書 人間劇場 声に出して読みたい日本語2
会議革命 子どもの日本語をきたえる 読書力
スラムダンクな友情論

『子どもに伝えたい<三つの力>』 齋藤孝 著
(NHKブックス,2001,\970)

生きる力を鍛える
〜コメント力・段取り力・まねる盗む力を鍛える〜

はじめに−なぜ<三つの力>なのか

第一章 「生きる力」とは何か−真の基礎力を求めて

1.身につけるべき基礎力の設定
浮き足立つ日本/抽象的すぎるコンセプト/具体的すぎるコンセプト/クリアな比較が可能な力/基準を共有する/中間項の設定

2.あこがれにあこがれる関係
教えることと学ぶこと/あこがれにあこがれる/あこがれのベクトルとしての教師/子どものあこがれに寄り添う

3.断絶した伝承を取り戻す
失われつつある身体文化/生きる力の基本を取り戻す/個性を育てるために必要なこと/「ゆとりの教育」への不安/ワールドスタンダードだった読み書きそろばん/二一世紀に向けてのヴァージョン・アップ

第二章 <三つの力>1−コメント力(要約力・質問力)

1.要約力
読解力・文章力を超える力/数式がなぜ美しいのか/動きの本質を見極める−「型」の修練/対話・コミュニケーションの基礎となる力/プレゼンテーションを支える要約力/「神保町忍者部隊」/日常生活の中で鍛える

2.質問力
日本人はなぜ質問が苦手か/質問事項をメモしながら話を聞く/アクティブに聞く構え/「海亀スープのゲーム」/「質問力授業」/質問力座標軸

3.コメント力
日本人はなぜコメントできないのか/聞く力を鍛える/「ほめほめ授業」/他人への贈り物としてのコメント/コメント力の達人、孔子

第三章 <三つの力>2−段取り力

社会ではどんな力が求められるのか/ツボを押さえて場を作る/ピッケルと冒険家の段取り力/高橋尚子選手はなぜ金メダルをとれたのか/小出義雄監督の大胆かつ緻密な段取り力/松下幸之助の大胆不敵な段取り力/腰だめでチャレンジする/料理が鍛えた段取り力/落合博満のオレ流段取り力/練習メニューをどう組み立てるのか/労働が鍛えた子どもの段取り力/総合的な学習の中核として/数学の証明問題と職人仕事/国語としての算数/「メモ力」の大切さ/段取り力とまねる力

第四章 <三つの力>3−まねる盗む力

1.技を盗む意識の技化
生きる力の基本/日本の教育が見失ったもの/職人が築いた近代日本/型の効用/システムとしての「型」と暗黙知としての身体/自分を測る

2.マインド・コントロールの技術を見抜く力
自己啓発セミナーの罠/風景の重ね合わせの技法/マインド・コントロールの基本を見抜く/『フルメタル・ジャケット』の人格改造技術を見抜いて列挙する

第五章 存在証明=アイデンティティの教育

1.アイデンティティ概念と教育
教育の基礎概念として/自分探しのウソ/アイデンティティの二つの要件/「アイデンティティ・シート」/経験によって鍛えられるアイデンティティ/「ブックリストの交換(民族大移動授業)」/本を読む技/「偏愛マップの交換」/世界と世界をすり合わせる/存在証明の補助線をひく−デミアンとシンクレール

2.闇を共有する権利
教育は稲作だ/近代管理の象徴−パノプティコン/親の視線から逃れる/闇を共有する/エッセーを読む1−闇を共有する権利/友情の関係性にあこがれる

第六章 クリエイティブな関係・場を作る技
1.レスポンスする身体−冷えた身体を暖める
冷えた身体から動ける身体へ/宮崎駿監督の伝える「生きる力」/冷えていることに気づく/エッセーを読む2−サモアのバスは冷えた身体を暖める/どうレスポンスするのか/「アイコンタクト・プレゼンテーション」目と目をしっかりと合わせる

2.制度・システムをずらす技
クリエイティブな関係が生まれる場/エッセーを読む3−合言葉は、換骨奪胎

3.場を作る段取り力−授業デザイン
活性化した場を作る力/どう授業を作るのか/授業におけるテキストとは/テキストを探す/授業をどう活性化させるのか/思考を刺激する/「授業レシピ」の試み

第七章 「斎藤メソッド」の試み

身体と日本語力を鍛える塾/「名前覚えゲーム」/踏み出していく勇気を育てる/自然体の作り方/丹田呼吸法/「人間知恵の輪」/「ミニ寺子屋」の実験〜国語は体育だ/母国語能力を鍛えるために/日本語力を鍛える読書/自分の中に他者を住まわせる/読書はなぜ大切か/国語教育の誤解/三色ボールペンで星新一を読む/算数を国語としてやる/論理的に説明できるか/日常生活の中野数学的思考/社会を国語としてやる/図化と文章化の往復/生きる力を鍛える

あとがき
「海亀スープのゲーム」質問例

男は海亀スープをその前に飲んだことがありますか。
男は海亀スープの他に何か注文しましたか。
男は海亀スープを飲まなくても自殺しましたか。
男が自殺したのはそのスープを飲んだことが理由ですか。
男はコックですか。
その海亀スープを料理したのは男の家族ですか。
海亀スープを料理した人は男の自殺と関係がありますか。
男が自殺したのはそのスープがコンソメ味だったからですか。
男が自殺したのはそのスープの味と関係がありますか。
#↑この2つの質問には大きな違いがあるのよね。
男は海亀を飼っていたことがありますか。
男が自殺したのは、男の過去の経験と関係がありますか。
男は竜宮城に行ったことがありますか。
男は浦島太郎ですか。
男が海亀スープを注文したのはレストランでですか。
男は海亀スープを飲もうと思ってそのレストランに入ったのですか。
男は海亀スープがあるのを知ってそのレストランに来たのですか。
レストランは海辺にありますか。
男は海亀の産卵を見たことがありますか。
男は一人でそのレストランに来たのですか。
男は結婚していますか。
男の家族は自殺の理由と関係ありますか。
男が自殺したのはそのスープの味に失望したからですか。
あなたは男と同じ理由で自殺しますか。

解答については、こちらに書いてしまうとおもしろくないので、景山民夫『どんな人生にも雨の日はある』を参照してください。