序章 カラダにいま何が起きているのか
2000年のカラダ文化/<中心(芯)感覚の喪失/身体感覚の技化/身体論の流行/ヨーガや禅はなぜ流行ったのか/腰肚文化をどう再生するのか
第一章 腰肚文化と自然体 −立つ・歩く・坐る−
1.自然体で立つ技
自然体は技である/子どもの足に何が起きているのか/どうやって立つのか/かつて日本人はどう立っていたのか/明治人の存在感/帯と腰肚の感覚/肛門とへその感覚/抵抗と自由の感覚/技としての自然体
2.歩くという技
長距離を歩く文化/どうして歩くのか/歩くことがつくる聴く構えと学ぶ構え/歩く民の物語/歩く文化の多様性/消えゆくナンバの「身のこなし」
3.坐の身体感覚 坐るという文化/坐ることの精神性/野田秀樹の『赤鬼』/洗練された禅の坐法/ヨーガの坐法
第二章 失われゆく「からだ言葉」と身体感覚
「からだ言葉」を再評価する
1.練る 強い力で鍛える/作戦を「練る」と「立てる」との違い/柔らかく粘り強くするのが鍛錬/太極拳の働き
2.磨く・研ぐ 砥石で摺って鋭くする/人間をどう磨くのか/技を磨き、感覚を研ぐ/清水宏保の挑戦
3.締める・絞る 力をこめて凝縮させる/骨を締める
4.背負う 背負うことの人間的意義/背負うことのコツを知る/背負われることで生まれるもの/次世代を背負えるか/言葉とともに失われる豊かな身体感覚
第三章 型と技を見直す −身体知の先人−
身体知の巨人−幸田露伴/露伴のスタイル―場と空間の教育力/身体の延長としての道具と物/自分の型を見つけられるか/人を自由にし、活性化させる型/型という機能美/動きをどう無意識かするのか/「限定する」ことの意味/基本をどう維持するのか/本質を凝縮させる/限定の技術/型とは何なのか/技をまねる・盗む/古典の素読という文化/身体知としての教養/技とはなんなのか/自分の得意技をもてるかどうか/型を通して土台をつくる/心技体という基本軸/坐法・息法・心法/ベストな結果を生む感覚を知る/感覚を技化できるか/意識と感覚/動きを見つめられるか/西サモアでの英語教育/反復練習はなぜ必要か/テニス教室での経験/型をつくるプロセス
第四章 息の文化を取り戻す
腰肚文化とは/「息づかい」という技術/息の文化とは/丹田とは/呼吸法との出会い/息を長く緩やかに吐く/日常生活に浸透していた呼吸法/身体的コミュニケーションとしての息/息を溜める/踏ん張るという身体技術/相撲という遊び/他人の息づかいを感じとれるか/上手な指圧とは/能動から受動へ/積極的受動性の試み/呼吸というコツ/勝海舟の眼力/息をどう溜めるのか/「上虚下実」と<みずおち感覚>
第五章 力と形の「自己形成」感覚
力のバランス感覚/場の力学/からだがつくる関係性/身体が拡がるという感覚/骨の響きを聴く/からだの響きを感じとる/ダニの世界/ヒトとしての身体/ゲーテの人間観と世界観/形態学とは/ビルドゥングという思想/精神と物質/イメージと身体/オイリュトミーとは何か/からだの外に中心を感じる/意識を放つ/LETという感覚/ぶらさげの感覚/<身体的自己>
終章 二一世紀の身体へ
癖の技化によるスタイル形成/イチローのスタイル/「身体文化カリキュラム」の試み/六方を踏んでみる/身体感覚をどう伝承するのか/「渾身」という身体感覚/「渾身」の授業/割り箸を割る/幸田文を詠んでみる/昭和の子ども |
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