4. PSIの特性研究

明治大学情報コミュニケーション学部教授
メタ超心理学研究室 石川 幹人

本章では,PSIがもつ性質を明らかにしようとする諸研究を紹介し,議論する。これまで数百の研究が発表されてきたが,PSIの安定した特性として挙げられるものは数少ない。むしろその「とらえにくさ」こそがPSIの特性とも言えよう(5-1)。本章の説明は,研究の多さにくらべ簡単に過ぎるという問題がある。代表的研究のみを端的に述べてあるので,はっきりとした知見が確実に判明しているように読めてしまうだろう。ここには書かれていない相矛盾した多くの研究が,超心理学の分野には存在することを念頭に,読み進んで欲しい。
 まずPSIのスコアが,意欲や動機,期待の高さ,あるいは肯定的信念によって高まる可能性(4-1)を,そして,自発的想像性や外向性,実験環境の心理的快適さによっても高まる可能性(4-2)を,さらには,催眠や瞑想で引き起こされるような変性意識状態によっても高まる可能性(4-3)を述べる。次に発達段階とPSIの関係(4-4)や地磁気とPSIの関係(4-5)を述べる。以上の議論で明確になるのは,PSI自身の特性というよりも,人間はどのようなときにPSIを発揮しやすいかという,PSI現象の発生条件なのかも知れない。そこで角度を変えて,PSIの発揮プロセスは,通常の知覚プロセス(4-6)や認知プロセス(4-7)とどのように関連するのかを議論する。PSIが物理的感覚刺激としてもたらされると考えるのは無理がある(4-6)とか,PSIの学習効果はあまりあがらない(4-7)という点が示されるのに対して,サブリミナル効果や連想記憶などの無意識のプロセスと,PSIが関連しているという強い可能性が示される。最後に,PSIは多くの場合,無意識のうちに働いている(4-8)という研究報告が,実験者効果(4-9)という深刻な問題を提起することを述べる。

第4章の目次
4-1 態度との相関研究
4-2 性格との相関研究
4-3 意識状態との相関研究
4-4 発達との相関研究
4-5 地球物理指標との相関研究
4-6 知覚心理の研究
4-7 認知心理の研究
4-8 無意識のPSI
4-9 実験者効果


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