明治大学農学部農学科 応用昆虫学研究室

研究室内チームと課題

研究室内には研究内容や実験方法に基づく3つのチームが編成されています。2022年1月現在,20名の学生(博士後期課程2名、博士前期課程4名、4年生8名、3年生6名)がそれぞれのチームに所属しており、互いに切磋琢磨しながら日々の研究に取り組んでいます。

生活史特性研究チーム
 多くの害虫は、寄主植物に合わせて生息域を転換したり、迫り来る冬に備えて休眠したりします。こうした生活史特性の解明は、新たな防除技術の開発や発生予察技術の向上に繋げることが出来ます。現在、果樹カメムシ類の休眠条件や年間世代数、寄主植物の探索、温暖化のリスク評価、といった様々な課題に取り組んでいます。また、脱皮・変態を制御する分子機構を解明して新たな制虫剤開発のターゲットにする課題にも取り組んでいます。さらには天敵としての利用が期待される昆虫の大量増殖を目指し、産卵の早期化や斉一化を可能にする飼育条件の解明にも取り組んでいます。


総合的管理技術研究チーム
 近年は食の安全・安心や環境保全に注目が集まっており、害虫防除の分野では殺虫剤以外の技術を導入することが求められています。特に、ヒメハナカメムシ類やカブリダニ類をはじめとする「土着天敵」の利用は生物農薬と比較して低コストであり、環境保全の面からも有用な手段とされています。土着天敵の効果を最大限に活かすためには、彼らの季節消長や種構成を明らかにし、圃場内への誘引・定着技術の開発を行う必要があります。我々は現地圃場や生田キャンパス内の圃場、黒川農場を利用して害虫と天敵の調査を行っており、土着天敵の有効利用法を探っています。また、生物農薬をはじめとする様々な防除資材の開発や有効性の評価、難防除害虫を対象とした殺虫剤の探索や防除効果の検証も行っています。


衛生動物研究チーム
 昆虫の中には人間の健康に深刻な被害を及ぼす種が多くあります。地球の温暖化が喫緊の課題となっている今、これらの衛生動物を適切に管理する方法が求められています。こうした背景もあり、我々はデング熱やマラリア、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、日本脳炎等の疾病に関連する媒介虫や病原微生物の特性解析を行っています。特に、日本にも生息している媒介リスクの高い種を対象として、行動を制御する機構の解析や分布の調査を行っています。また、殺虫剤感受性が低下したメカニズムの解析も行っています。

 


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