ジャンル 世界を知る中野校
【対面+オンラインのハイブリッド】怪談から見る中国の歴史
幽霊や妖怪は中国人の社会と心を映す鏡であった
火曜日 10:40〜12:10 全5回 ・01月07日 〜 02月04日
(日程詳細) 01/07, 01/14, 01/21, 01/28, 02/04
目標
・歴史の真実を知る面白さを学ぶ。
・現代と近未来の問題を歴史をヒントに考える。
・中国社会の特徴を理解することで、日本社会への教訓を得る。
講義概要
「怪談」は、その時代を生きる人々の不安や願望を映す鏡です。日本史では、中世まで怨霊といえば菅原道真とか平家とか貴族以上でした。江戸時代に「妖怪革命」(これは学者が使う学術用語)が起きると、妖怪は歌舞伎や浮世絵など民衆の娯楽の対象となり、また「お岩さん」のように社会的には無名の庶民の女性も怨霊になれるようになりました。その背景には、日本社会の歴史的な進化があります。中国の怪談はおよそ3千年の歴史がありますが、同様に、社会の進化や民衆の意識の変化を反映しています。豊富な図版や映像資料も使いつつ、中国史の予備知識のないかたにもわかりやすく解説します。テキスト・資料は講師が配布します。
参考図書 加藤徹『怪の漢文力』中公文庫 加藤徹『漢文力』中公文庫 岡本綺堂『中国怪奇小説集』cf.青空文庫・作家別作品リスト・岡本綺堂 https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person82.html 他 |
【拡散希望】講座「怪談から見る中国の歴史」by 加藤徹
— 加藤徹(KATO Toru) (@katotoru1963) December 22, 2024
at #早稲田大学エクステンションセンター 中野校 @ext_opencollege
教室+オンライン(見逃し配信つき)
教材はhttps://t.co/SWCKBCFE16
で、第1回(1月7日)は「無鬼論」も紹介します。画像は加藤徹『怪の漢文力』中公文庫からの自己引用。 pic.twitter.com/5lMfl56MXZ
瓦子 がし
中国の宋(そう)代に都市の繁華街の一角で、演劇、歌謡、影絵、講釈、手品、相撲、芸者屋、酒場、料理屋、屋台などが密集した庶民の娯楽場。有名なのは南宋の都の臨安(りんあん)(杭州(こうしゅう))で、城の内外に20余りあった。唐や北宋でも市場や大道、寺院境内で行われ、貴人の邸宅でもこうした娯楽はあったが、都市の隆盛にあわせて発達し、宋・金(きん)・元(げん)ごろから台頭した小説、雑劇、院本(いんぽん)、曲(きょく)など庶民文芸のジャンルを生み出すきっかけとなった。
[斯波義信]
宋 Sòng
中国に960年から1279年まで存在した王朝。1127年(靖康2)の靖康の変によっていったん滅亡したので,それ以前を北宋,以後の南遷して杭州に都した時期を南宋という。
(中略)
商業の発展は,都市の姿を一変させた。従来の都市は政治都市,軍事都市の性格が強く,高い城壁をめぐらし,城内も坊に区切られて,夜間の外出は禁止され,商業は〈市〉区域でのみ許されていた。宋代にはこうした坊市の制がくずれて,自由な都市生活が行えるようになり,都の開封,臨安はかつての長安,洛陽などとは異なって,活気にみちた商業都市,娯楽都市に変わった。
(中略)
また唐代に民謡からおこった詞(填詞,詩余)は宋代に全盛期を迎え,大都会の盛場(瓦子)で演じられた語り物のテキスト(話本)は刊行されて読物となり,後代の口語小説の起源となった。盛場では,このほか人形劇(傀儡(かいらい)),影絵芝居(影戯),雑劇などが盛んに演じられ,とくに雑劇は金代では院本とよばれ,元代の雑劇に発展した。
(下略)
白話小説 (はくわしょうせつ) Bái huà xiǎo shuō
中国の俗語体小説のこと。中国雅文体小説を〈文言(ぶんげん)小説〉というのに対する語。宋代(12世紀)の説話人(講釈師)の講史や説話などの口演台本である話本に発し,徐々に読む小説となっていった。 明代中期(16世紀)に入って,庶民向けの平易な小説として定着し,羅貫中,施耐庵,呉承恩らの小説家が,古くからの講史,語り物を《三国演義》《水滸伝》《西遊記》等のすぐれた長編白話小説にまとめあげるに至った。 これらの長編に対して,17世紀に入り,馮夢竜(ふうぼうりゆう)は《古今小説》(《喩世明言》),《警世通言》《醒世恒言》を著し,凌濛初(りようもうしよ)は《初刻拍案驚奇》《二刻拍案驚奇》を編んだ。 いずれも当代の巷説,情話,奇談,怪異をとりあげ,世間や人生の諸相を反映した短編小説集で,総称して〈三言二拍(さんげんにはく)〉と呼ばれた。
こうした白話小説が日本に及ぼした影響は大きく,はやく17世紀ごろから長崎を通して舶載され,江戸は徂徠門,京は古義堂一門の儒学生の間に白話学(唐話学)のブームをもたらした。岡島冠山,岡白駒(はつく)らの専門家は,通俗本(翻訳)を著刊するかたわら,小説学をも開陳した。 都賀庭鐘(つがていしよう)が翻案小説集《英草紙(はなぶさそうし)》《繁野話(しげしげやわ)》,上田秋成が《雨月物語》を発表するにおよび,白話小説は日本の近世小説のスタイルを一変させ,小説の新しい方途を示唆する重要な小説原典(典拠)となった。 こうして,白話小説に素材や方法を求める傾向は江戸小説〈読本(よみほん)〉のジャンルの成立を促しただけでなく,曲亭馬琴らの長編読本や明治初期小説にまで及んだ。
→小説 執筆者:高田 衛
宝巻 ほうかん bao-juan
中国,講唱文学の一形態。唐代の中期以後,都市の寺院で俗人に向ってする説法 (いわゆる俗講 ) が流行し,それがのちに種々の題材を扱う講談に発達したが,宝巻はその俗講の直系で,仏教の教理,経典,因縁談などを通俗的に解釈した物語を地の文と歌詞を結合させて講唱した。元代頃から流行したと考えられるが,明,清代になって道教などの新興宗教が宣教にこの形式を利用し,さらに民間伝説を宝巻体に改作した『雷峰塔宝巻』『孟姜 (きょう) 女宝巻』などの作品が多く作られた。