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Research研究内容

研究テーマ

Concept01自発的な秩序形成現象は、「自己組織化」や「自己集合」、「散逸構造形成」などと呼ばれ、これまでにも数多くの研究がすすめられてきました。それらの研究の結果として、生命現象にみられる秩序形成現象の一側面の理解は進んだといえます。それでもやはり、無生物と生物の溝は未だに大きく、無生物で形成される秩序構造に「生物らしさ」は認められにくいのが現状です。この溝の原因として、当研究室ではシステムの複雑さや階層性に着目して研究を進めています。
 生物では階層性の高い構造体をうまく構築することで、分子の機能性から巨視的なレベルにおける多様なアクティブ機能を実現することに成功しています。例えば、分子を集積して機能性の高い分子集合体を構築したり、小胞体のように膜を用いて区画を作り、異なる素子を集積することで新たな機能を生み出しています。
 そこで、このような階層性の高い構造に現れる機能を人為的に作り出し、その本質を統一的に理解する理論体系の構築へとつなげていくことを目指しています。このような人為的な実験系を、我々は「モデル実験系」と呼んでいます。階層性の高いモデル実験系を実現するためには、着目している系に加え、その外部環境における現象も同時に考慮することが求められます。


Concept02現在は、自発的に運動するシステム(自己駆動粒子)の集団運動を主なテーマとして研究しています。通常、外部環境はシステムの現象に関わらず一定であると考えます。しかしここでは、システムで起こる現象に応じて外部環境(境界条件)も時々刻々と変化すると考えます。この考え方は、システムで起こる現象と外部環境で起こる現象の時定数が近い値の場合に必要となります。この様な条件において、多数の自己駆動粒子(システム)の集団運動を考えると、自己駆動粒子は周囲の環境を局所的に変化させることになります。この局所的な環境変化が別の自己駆動粒子の境界条件を規定するため、自己駆動粒子は間接的に相互作用することになります。このように相互作用する自己駆動粒子の集団挙動を観察し、動的な階層構造の自己組織化の実現および機構解明を目指しています。
また、化学エネルギーを使って油相中を泳ぐ水滴系の内部に非線形化学反応を導入した系の構築も進めています。これは、微生物の生体内反応に着想を得たもので、内部の化学状態と系の運動様相が相互に影響を与え合うことで階層性の高い系を構築しています。