アメリカ合衆国「1998年デジタル・ミレニアム著作権法」

(仮訳)

(1998/08/03改訂版)

翻訳:夏井高人


これは,アメリカ合衆国の著作権法の一部改正法である「デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act of 1998)」の上院提出法案[S.2037]の上院通過時点のものを大急ぎで仮訳したものです。誤訳もあるかもしれません。また,仮訳文中の文字の着色及び強調などは,夏井がその責任において付したものであり,原文中には存在しないものです。この点,ご注意ください。

なお,この法案のオリジナル・テキストは,

http://thomas.loc.gov/home/c105query.html

でキーワード検索(キーワード:digital copyright)することにより入手することができます。


上院司法委員会提出法案のソフトウェア情報センター(SOFTIC)による仮訳 http://www.softic.or.jp/IR/archive/S_2037_PCS-J.html がありますが,さまざまな理由により,夏井の仮訳における翻訳用語の取捨選択等は,SOFTIC訳におけるそれとは異なっています。是非とも原文を参照されることをお勧めします。


この法案は,上院で法案提出・審理・可決後に下院に送付され,下院で法案提出・審理されていた「1997年デジタル世紀著作権拡張法案」 [H.R.3048]及び「1998年オンライン著作権侵害責任制限法案」 [H.R.3209]と併せて1本の法案とし,さらに幾つかの修正を加えられて,現在,「1998年WIPO著作権条約,実演及び音楽レコード条約インプリメント法」 [H.R. 2281]として審理中です。


第105議会第2セッション

S.2037

1998年5月14日上院通過

 

合衆国法典(United States Code)タイトル17を改正し,WIPO著作権条約 (WIPO Copyright Treaty) 並びにWIPO実演及び音楽レコード条約 (WIPO Performances and Phonograms Treaty) をインプリメントし,オンライン・マテリアルに関する著作権法上の責任を制限することその他の目的の法律 (ACT)

 

 

SEC. 1. SHORT TITLE. 略  称

この法律は,「1998年デジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act of 1998)」として引用することができる。

SEC. 2. TABLE OF CONTENTS. 目  次

Sec. 1. Short title.

Sec. 2. Table of contents.

TITLE I--WIPO TREATIES IMPLEMENTATION

Sec. 101. Short title.

Sec. 102. Technical amendments.

Sec. 103. Copyright protection systems and copyright management information.

Sec. 1201. Circumvention of copyright protection systems

Sec. 1202. Integrity of copyright management information

Sec. 1203. Civil remedies

Sec. 1204. Criminal offenses and penalties

Sec. 1205. Savings Clause

Sec. 104. Conforming amendment.

Sec. 105. Effective date.

TITLE II--INTERNET COPYRIGHT INFRINGEMENT LIABILITY

Sec. 201. Short title.

Sec. 202. Limitations on liability for Internet copyright infringement.

Sec. 512. Liability of service providers for online infringement of copyright

Sec. 203. Conforming amendment.

Sec. 204. Liability of educational institutions for online infringement of copyright .

Sec. 205. Effective date.

TITLE III--COMPUTER MAINTENANCE OR REPAIR

Sec. 301. Limitation on exclusive rights; computer programs.

TITLE IV--EPHEMERAL RECORDINGS; DISTANCE EDUCATION; EXEMPTION FOR LIBRARIES AND ARCHIVES

Sec. 401. Ephemeral recordings.

Sec. 402. Limitations on exclusive rights; distance education.

Sec. 403. Exemption for libraries and archives.

 

TITLE I--WIPO TREATIES IMPLEMENTATION

 

SEC. 101. SHORT TITLE. 略  称

本タイトルは,「1988年WIPO著作権並びに実演及び音楽レコード条約インプリメント法 (WIPO Copyright and Performances and Phonograms Treaties Implementation Act of 1998)」として引用することができる。

SEC. 102. TECHNICAL AMENDMENTS. 技術的改正

(a) 合衆国法典(United States Code)タイトル17の101条は,次のとおり改正される。

(1) 「ベルヌ条約上の著作物」の定義を削除する。

(2) 「ベルヌ条約上の著作物の「第一発行国(country of origin)」」 の定義中の「ベルヌ条約上の著作物の「第一発行国」」を削除し,「for」の最初の文字を大文字にし,「411条においては」の次の「合衆国である」を削除し,「411条においては」の次に「の場合にのみ,著作物は「合衆国の著作物」である」を挿入する。

(3) (1)号(B)内の「ベルヌ条約上の著作物の「第一発行国」」 の定義」に「締約国」を挿入し,「ベルヌ条約に拘束される国家」を削除する。

(4) (1)号(C)内の「ベルヌ条約上の著作物の「第一発行国」」 の定義」に「非締約国」を挿入し,「ベルヌ条約に拘束されない国家」を削除する。

(5) (1)号(D)内の「ベルヌ条約上の著作物の「第一発行国」」 の定義」に「非締約国」を挿入し,「ベルヌ条約に拘束されない国家」を削除する。

(6) (3)号内の「ベルヌ条約上の著作物の「第一発行国」」 の定義」の「411条においては,ベルヌ条約上の他の著作物の「第一発行国」は合衆国ではない」を削除する。

(7) 「固定(fixed)」の定義の後に,「「ジュネーヴ音楽レコード条約」は,1971年10月29日にスイスのジュネーヴで締約された音楽レコードの無権限複製に対して音楽レコードの作者を保護するための条約である。」 を挿入する。

(8) 「including」の定義の後に,「「国際的な合意」は

(1) 万国著作権条約(the Universal Copyright Convention

(2) ジュネーヴ音楽レコード条約(the Geneva Phonograms Convention

(3) ベルヌ条約(the Berne Convention

(4) WTO合意(the WTO Agreement

(5) WIPO著作権条約(the WIPO Copyright Treaty

(6) WIPO実演及び音楽レコード条約(the WIPO Performances and Phonograms Treaty);及び

(7) 合衆国が締約国となっているその他の著作権条約

である。」を挿入する。

(9) 「送信(transmit)」の定義の後に,「「締約国」は,合衆国以外の国(a country)または政府間組織(intergovernmental organization)であって,国際的合意の当事者である。」を挿入する。

(10) 「寡婦(widow)」の定義の後に,「「WIPO著作権条約」は,1996年12月20日にスイスのジュネーヴで締約されたWIPO著作権条約である。」を挿入する。

(11) 「WIPO著作権条約」の定義の後に,「「WIPO実演及び音楽レコード条約」は,1996年12月20日にスイスのジュネーヴで締約されたWIPO実演及び音楽レコード条約である。」を挿入する。

(12) 「賃貸用著作物(work for hire)」の定義の後に,「「WTO合意」は,1994年4月15日になされたWTO(the World Trade Organization)を形成する合意である。「WTO合意」及び「WTOメンバー国」は,ウルグアイ・ラウンド合意法(Uruguay Round Agreements Act)2条に関連する(9)号及び(10)号で規定する用語としての意味を有する。」を挿入する。

(b) 合衆国法典タイトル17の104条は,次のとおり改正される。

(1) (b)項(1)号において,「合衆国も締約国となっている著作権条約の締約国である外国」を削除し,「締約国」を挿入する。

(2) (b)項(2)号において,「万国著作権条約の締約国」を削除し,「締約国」を挿入する。

(3) (b)項(3)号を(b)項(5)号とした上,それをその番号の示す場所に移動し,次のとおりに新たな(b)項(3)号を挿入する。

「(3) 著作物は,締約国において最初に固定された音楽レコードである。」

(4) (b)項(4)号において,「ベルヌ条約上の著作物」を削除し,「建物その他の構造物に組み入れられた絵画の著作物,グラフィックの著作物もしくは彫刻の著作物,または,建物に体言されている建築の著作物,建物もしくは構造物は,合衆国または締約国に所在する。」を削除する。

(5) (b)項(5)号の番号を(b)項(6)号と変更する。

(6) 次の新しい(b)項(7)号を挿入する。

「(7) (2)号においては,締約国でない国で出版後30日以内に合衆国もしくは締約国において出版された著作物は,それぞれ,合衆国または締約国において最初に出版されたものとみなす。」

(7) 次の新しい(d)項を挿入する。

「(d) 音楽レコード条約の効力

(b)項の規定にかかわらず,音楽録音(sound recordings)以外の著作物は,ジュネーブ音楽レコード条約またはWIPO実演及び音楽レコード条約への合衆国の加盟の効力のみによっては,本タイトルに基づく保護を受けることができない。」

(c) 合衆国法典タイトル17の104条A(h)項は,次のとおり改正される。

(1) (1)号において,「(A)ベルヌ条約の加盟国もしくはWTOのメンバー国,または,(B)(g)項に基づく大統領布告に従って」を削除し,次のとおりに挿入する。

「(A) ベルヌ条約の加盟国

(B) WTOのメンバー国

(C) WIPO著作権条約の加盟国

(D) WIPO実演及び音楽レコード条約加盟国;または,

(E)  (g)項に基づく大統領布告に従って」

(2) (3)号は,次のとおりに読み替えて改正される。

「(3) 「有資格国」とは,合衆国以外の次の国を意味する。

(A) ウルグアイ・ラウンド合意法の制定日の後にWTOのメンバー国となった国

(B) 制定の日及びそれ以後に,ベルヌ条約の加盟国となった国

(C) WIPO著作権条約への加盟

(D) WIPO実演及び音楽レコード条約への加盟

(E) 制定日の後に,(g)項に基づく大統領布告に従うことになった国」

(3) (6)号(C)(iii)は,「適格に」の後の「及び」を削除する。

(4) (6)号(D)の末尾において,ピリオドを削除し,「;及び」を挿入する。

(5) 次の新しい(6)号(E)を追加する。

「(E) 著作物の原産国がWIPO実演及び音楽レコード条約への加盟の効果によってのみ有資格国となる場合には,音楽録音(a sound recording)である。」

(6) (8)号(B)(i)において,「多数」の前に「その」を挿入し,「有資格国の」を削除する。そして,

(7) (9)号を削除する。.

(d) 合衆国法典タイトル17の411条は,次のとおり改正される。

(1) (a)項において,「第一発行国が合衆国ではないベルヌ条約上の著作物の著作権の侵害に対する訴訟」を削除し,そして,

(2) (a)項において,「合衆国」の後に,「著作権の侵害に対するいかなる訴訟も」を挿入する。

(e) 合衆国法典タイトル17の507条(a)項は,冒頭に「本タイトルにおいて明示に規定されている場合を除き,」を追加して改正される。

SEC. 103. COPYRIGHT PROTECTION SYSTEMS AND COPYRIGHT MANAGEMENT INFORMATION. 著作権保護システム及び著作権管理情報

合衆国法典(United States Code)タイトル17は,次の新しい章を追加して改正される。

第12章 著作権保護管理システム

条 項

1201 著作権保護システムの迂回

1202 著作権管理情報の完全性

1203 民事救済

1204 罰 則

1205 保護条項

Sec. 1201. Circumvention of copyright protection systems 著作権保護システムの迂回

(a) 技術的保護措置の迂回に関連する侵害

(1) 何人も,本タイトルにより保護される著作物に対するアクセスを効果的にコントロールする技術的保護措置(a technological protection measure)を迂回してはならない。

(2) 何人も,

(A) 本タイトルにより保護される著作物へのアクセスを効果的にコントロールする技術的保護措置を迂回する目的で設計または製造された,

(B) 本タイトルにより保護される著作物へのアクセスを効果的にコントロールする技術的保護措置の迂回以外には商業的重要性を持たない限定された目的のみを有する,または,

(C) 本タイトルにより保護される著作物へのアクセスを効果的にコントロールする技術的保護措置の迂回において使用するための知識を持つ者によって,もしくは,そのような者と提携して行動する者によって販売される

技術,プロダクト,サービス,装置またはコンポーネントの全部もしくは一部を製造し,輸入し,公衆に提示し,提供し,その他の移転をしてはならない。

(3) 本条において用いるときは,

(A) 「技術的保護措置を迂回(circumvent」 するとは,著作権者からの許諾なしに,スクランブル化された著作物を逆スクランブルし,暗号化された著作物を解読し,その他の方法で技術的保護措置を回避し(avoid),バイパスを作り,削除し(remove),無効化し(deactivate),または,駄目にする(impair)ことを意味する。そして,

(B) 著作物へのアクセスを入手するために,この手段が,その通常の操作の過程において,著作権者の許諾を伴う情報,処理もしくは取扱いの適用を要求する場合には,技術的保護措置は,「著作物へのアクセスを効果的にコントロール」している。

(b) その他の違反

(1) 何人も,

(A) 主として,著作物もしくはその一部に対する本タイトルによる著作者の権利を効果的に保護する技術的保護措置によって与えられる保護を迂回する目的で設計または製造された,

(B) 著作物もしくはその一部に対する本タイトルによる著作者の権利を効果的に保護する技術的保護措置の迂回以外には商業的に意味のない限定された目的もしくは利用のみを有する,または,

(C) 著作物もしくはその一部に対する本タイトルによる著作者の権利を効果的に保護する技術的保護措置を迂回する際に使用するための知識を持つ者によって,もしくは,そのような者と提携して行動する者によって販売される

技術,プロダクト,サービス,装置またはコンポーネントの全部もしくは一部を製造し,輸入し,公衆に提示し,提供し,その他の移転をしてはならない。

(2) 本条において用いるときは,

(A)  「技術的保護措置を講じた保護を迂回」するとは,技術的保護措置を回避し,バイパスし,削除し,無効化し,その他の方法で駄目にすることを意味する。そして,

(B) この措置が,その通常の操作の過程において,本タイトルによる著作者の権利が行使されることを排除し,禁止し,その他の方法で制限しているのであれば,技術的保護措置は,「著作者の権利を効果的に保護」している。

(c) 他の権利は影響を受けない

(1) 本条の規定は,フェア・ユースを含め,本タイトルに基づく権利,民事救済,著作権侵害の主張に対する抗弁に何らの影響も与えてはならない。

(2) 本条の規定は,技術,プロダクト,サービス,装置,コンポーネントの全部もしくは一部と関連する著作権侵害に対する代償責任(vicarious)または寄与責任(contributory)を拡張または縮小させてはならない。

(3) 本条は,家電製品,電子通信もしくはコンピュータ製品の設計,その部品及びコンポーネントの設計及び選択について,当該部品,コンポーネント,または,当該部品またはコンポーネントが組み込まれている製品が,(a)項(2)号または(b)項(1)号が規定する禁止に抵触するものでない限り,特定の技術的保護措置への対応を提供することを要求するものではない。

(d) 非営利の図書館,公文書館及び教育機関(nonprofit library, archives, or educational institution)における免除

(1) 著作権の保護を受ける商用の著作物へのアクセスを獲得する非営利の図書館,公文書館または教育機関は,本タイトルに基づいて許容される行為をする目的だけのために,著作物の複製(a copy)を入手するか否かの善意による決定(a good faith determination)をするためだけであれば,(a)項(1)号に違反するものとされてはならない。本号に基づいてアクセスされた著作物の複製は,

(A) 当該善意による決定のために必要な以上に保持してはならない。

(B) 他の目的のために使用してはならない。

(2) (1)号によって可能となる免除は,当該著作物と同一の複製が他の形態では合理的に利用できない場合にのみ,著作物に関して適用される。

(3) 故意に,商業的利益もしくは財産的利益を獲得する目的で,(1)号の規定に違反した非営利の図書館,公文書館または教育機関は,

(A) 初犯の場合には,1203条に基づく民事救済に服さなければならない。

(B) 再犯以降の場合には,1203条に基づく民事救済に服することに加え,(1)号に規定する免除を喪失しなければならない。

(4) 本号は,(a)項(2)号もしくは(b)項に基づく訴訟における抗弁とすることができず,また,本項は,非営利の図書館,公文書館もしくは教育機関に対し,技術的保護措置を迂回するいかなる技術の製造,輸入,公衆への提示,提供,その他の移転を許容するものでもない。

(5) 図書館もしくは公文書館が本項に基づく免除を与えられるためには,当該図書館もしくは公文書館のコレクションが

(A) 公衆に公開されているか,または,

(B) 図書館もしくは公文書館またはその付属施設に属する研究者だけではなく,専門領域における調査に従事する他の者にも利用可能

でなければならない。

(e) 法執行(Law Enforcement)及び諜報活動(Intelligence Activities

本条は,合衆国,州もしくは州政府の公務員,代理人もしくは労働者,または,これらの機関との間の契約によって行動する者の適法な調査活動,防衛活動,または,諜報活動を制限するものではない。

(f) コンピュータ・プログラムの複製を使用する権利を適法に獲得した者は,他のプログラムから独立に作成されたコンピュータ・プログラムの互換性(interoperability)を達成するのに必要なプログラムであって,かつ,迂回行為をする者にとって予め容易に利用できるものとはなっていなかったプログラムの要素を特定もしくは分析する目的の場合においてのみ,(a)項(1)号の規定にかかわらず,本タイトルに基づく侵害行為を構成しないような特定行為及び分析行為である限りにおいて,プログラムの特定部分へのアクセスを効果的にコントロールしている技術的保護措置を迂回することができる。

(g) (a)項(2)項及び(b)項の規定にかかわらず,(f)項に期って意する特定及び分析のための迂回,または,他のプログラムから独立に作成されたコンピュータ・プログラムの互換性を達成する目的に限定された迂回をするための技術的手段を,そのような手段が当該互換性のために必要である場合に,本タイトルに基づく侵害行為を構成しないような特定行為及び分析行為である限りにおいて,開発し使用することができる。

(h) (f)項に基づき許容される行為を通じて入手した情報及び(G)項に基づき許容される手段は,(f)項もしくは(g)項の指す者が,他のプログラムから独立に作成されたコンピュータ・プログラムの互換性を達成する目的にのみ当該情報もしくは手段を提供し,かつ,本タイトルに基づく侵害行為を構成せず,本タイトル以外の適用可能な法に違反しないような行為をするのである限り,他の者にも利用させることができる。

(i) (f)項,(g)項及び(h)項においては,「互換性(interoperability」とは,情報を交換するためのコンピュータ・プログラムの能力,及び,当該プログラムのために,交換された情報を相互的に使用するための能力を意味する。

(j) (a)項をコンポーネントもしくは部分に適用するに際しては,裁判所は,(i)それ自体が本章の規定違反とならず,かつ,(ii)少数者がインターネット上のマテリアルへアクセスすることを阻止する目的のみを持つ技術,プロダクト,サービスまたは装置内へ,意図された現実の組み入れをすることの必要性を考慮することができる。

Sec. 1202. Integrity of copyright management information 著作権管理情報の完全性

(a) 虚偽の著作権管理情報 − 何人も,故意に,侵害行為を誘発させ,これを可能にし,もしくは,隠蔽する目的で,次の行為をしてはならない。

(1) 虚偽の著作権管理情報を提供すること,あるいは,

(2) 虚偽の著作権管理情報を公衆に配付し,または,配付の目的で輸入すること

(b) 著作権管理情報の削除 − 何人も,著作権者または法により権限を与えられることなしに,次の行為をしてはならない。

(1) 故意に,著作権管理情報を削除または改変すること

(2) 著作権者または法により権限を与えられることなしに削除もしくは改変された著作権管理情報であることを知りながら,その著作権管理情報を配付し,または,配付の目的で輸入すること,あるいは,

(3) 著作権者または法により権限を与えられることなしにその著作権管理情報が削除もしくは改変されたものであることを知り,1203条に基づく民事救済に関連して,それが本タイトルに基づく権利侵害行為を誘発し,可能にし,容易にし,もしくは,隠蔽するものであることを認識すべき合理的な根拠を知り,または,その根拠を有しながら,著作物,著作物の複製もしくは音楽レコードを配付し,配付のために輸入し,または,公演すること

(c) 定  義 − 本章で用いるときは,「著作権管理情報 (Copyright Management Information)」は,デジタル形式のものを含め,著作物のコピーもしくは音楽レコードと結合して移転するものとしての,または,著作物の実演もしくは表示としての次のいずれかの情報を意味する。

(1) 著作権表示の中にある情報を含め,タイトルその他の著作物を識別するための情報

(2) 名前その他の著作物の作者を識別するための情報

(3) 著作権表示の中にある情報を含め,名前その他の著作権者を識別するための情報

(4) ラジオ放送局及びテレビ放送局による著作物の公演(public performances)の場合を除き,オーディオ・ビジュアル著作物以外の著作物中に固定された実演の実演家の氏名その他の個人識別情報

(5) ラジオ放送局及びテレビ放送局による著作物の公演(public performances)の場合を除き,オーディオ・ビジュアル著作物以外の著作物中にクレジットされたライター,実演家またはディレクターの氏名その他の個人識別情報

(6) 著作物使用の条件及び期間

(7) 当該情報を参照するための,または,当該情報へリンクするための,番号または記号の識別

(8) 著作権登録のようなその他の情報については,著作権登録が著作権で保護される著作物のユーザに関する情報の提供を要求しない場合を除き,規則によって定めることができる。

(d) 法執行(Law Enforcement)及び諜報活動(Intelligence Activities

本条は,合衆国,州もしくは州政府の公務員,代理人もしくは労働者,または,これらの機関との間の契約によって行動する者の適法な調査活動,防衛活動,または,諜報活動を制限するものではない。

(e) 責任の制限

(1) アナログ送信 − アナログ送信の場合には,ラジオ放送局,テレビ放送局もしくはケーブル・システムのような能力を持つ送信をする者,または,そのような放送局やシステムを計画する者は,次のすべての要件を満たす限り,(b)項の侵害に対する責任を負わない。

(A) 当該侵害を構成する行為を回避することが技術的にできないことであるか,または,その者にとっては資金的に無理と思われることであり,かつ,

(B) その者が当該行為をするに際して,侵害を誘発させ,可能にさせ,容易にし,または,隠蔽する目的を有していなかったこと

(2) デジタル送信

(A) 著作物のあるカテゴリーについての著作権管理情報を配置するためのデジタル送信基準が,ラジオ放送局,テレビ放送局もしくはケーブル・システムと当該放送局もしくはシステムで講演することが予定されている著作物のカテゴリーに属する著作権者の横断的な代表者を含めて任意に合意された基準設定プロセスの中に定められているときは,(e)項(1)号において特定される者は,もし,

(i) その者以外の誰かによる当該情報の配置が当該基準に基づくものではないとしても,

(ii) 当該違反を構成する行為が,侵害行為を誘発させ,可能にし,容易にし,または,隠蔽する目的でなされたのではない

ならば,当該基準によってアドレスされた特定の著作権管理情報に関し,(b)項の違反について責任を負わない。

(B) 著作物のあるカテゴリーについての著作権管理情報を配置することに関して,(A)に適合するようにデジタル送信基準が定められるまでの間は,(e)項(1)号において特定される者は,その行為が侵害行為を誘発させ,可能にし,容易にし,または,隠蔽する目的でなされたのではないならば,もし,

(i) その者による当該情報の送信が,デジタル信号の視覚上または聴覚上の認識可能な劣化をもたらし,または,

(ii) その者による当該情報の送信が,

(I) デジタル信号中の情報の送信に関する政府の適用可能な規則,

(II) 本条の発行日以前に任意の合意基準団体によって採用されたデジタル信号中の情報の送信に関する適用可能な業界基準(industry-wide standard),または,

(III) ラジオ放送局,テレビ放送局もしくはケーブル・システムと当該放送局もしくはシステムで講演することが予定されている著作物のカテゴリーに属する著作権者の横断的な代表者によって任意に合意され,関係者に対し公開されている基準設定プロセスの中で採用されたデジタル信号中の情報の送信に関する適用可能な業界基準(industry-wide standard

と矛盾する

としても,著作権管理情報に関する(b)項の違反について責任を負わない。

Sec. 1203. Civil remedies 民事救済

(a) 民事訴訟(Civil Actions

1201条(a)項または1202条の侵害による被害を受けた者は,当該侵害行為をした者を相手方として,適宜の合衆国連邦地方裁判所(United States district court )において民事訴訟を提起することができる。

(b) 裁判所の権限 (Powers of the Courts) − (a)項に基づく民事訴訟においては,裁判所は,

(1) 合理的と思料する期間内で当該侵害行為を禁止または制限するための暫定的または永久的な差止命令(a temporary and a permanent injunction)を発することができる。

(2) 訴訟係属中はいつでも,被告である加害者が管理・制御する装置もしくはプロダクトであって,それが侵害行為に含まれると裁判所が合理的に疑うことができるものについて,合理的と思料する期間,その押収を命ずることができる。

(3) (c)項に基づいて損害賠償を命ずることができる。

(4) 合衆国 (United States) もしくはその公務員を除き,当事者に対し,訴訟費用の弁償を命ずることができる。

(5) 勝訴当事者のために合理的な範囲内での弁護士費用の支払いを命ずることができる。

(6) 判決の一部として,もしくは,侵害行為の評決の段階で,加害者が管理・制御する装置もしくはプロダクト,または,(2)号の規定によって押収された装置もしくはプロダクトであって,侵害行為に含まれるものについて,民事救済として,その改変または破壊を命ずることができる。

(c) 損害賠償 (Award of Dameges)

(1) 一般規定 − 本章に異なる定めがある場合を除き,1201条または1202条に違反した者は,次のいずれかに対する責任がある。

(A) (2)号に規定するとおりの現実の損害額及び加害者の追加的利益額,または,

(B) (3)号に規定する法定損害額

(2) 現実の損害額 (Actual Damages)

判決期日前に原告が現実の損害額を選択したときは,裁判所は,原告に対し,当該侵害行為の結果として被った現実の損害額,加害者に帰属する利益で現実の損害額の計算に入れられないものについて,損害賠償請求を認めることができる。

(3) 法定損害賠償額 (Statutory Damages)

(A) 判決期日前に原告が現実の損害額ではなく法定損害額を選択したときは,裁判所は,原告に対し,1201条の侵害行為に対する損害賠償額として,迂回行為,装置,プロダクト,コンポーネント,サービスの提供または実演に応じて,200ドル以上2,500ドル以下の範囲内において,裁判所が適切と判断する額の損害賠償請求を認めることができる。

(B) 判決期日前に原告が現実の損害額ではなく法定損害額を選択したときは,裁判所は,原告に対し,1202条の侵害行為に対する損害賠償額として,2,500ドル以上25,000ドル以下の範囲内において,裁判所が適切と判断する額の損害賠償請求を認めることができる。

(4) 再度の侵害行為 (Repeated Violations)

当該加害者が別の機会の同種加害行為による判決期日から3年以内に1201条または1202条の侵害行為をしたものであると裁判所が判断したときは,裁判所は,損害賠償額の3倍を超えない金額の範囲内で,裁判所が適切と判断する額まで,損害賠償金額を増額することができる。

(5) 意図的でない侵害行為 (Innocent Violation)

(A) 一般規定 − 被告が侵害行為となることを認識せず,もしくは,そのように信ずべき合理性を有していなかったことを証明し,裁判所がそのように判断した場合においては,裁判所は,損害賠償額の総額を軽減し,または,免除することができる。

(B) 非営利図書館または教育機関 − 被告が非営利図書館または教育機関の場合には,非営利図書館または教育機関が侵害行為となることを認識せず,もしくは,そのように信ずべき合理性を有していなかったことを証明し,裁判所がそのように判断したときは,裁判所は,損害賠償額の支払を免除しなければならない。

Sec. 1204. Criminal offenses and penalties 罰 則

(a) 一般規定 − 故意に,商業的利益もしくは個人的資産の獲得を目的として,1201条または1202条の規定に違反した者は,

(1) 初犯の場合には,500,000ドル以下の罰金もしくは5年以下の拘禁刑,または,その両方の刑に処する。

(2) 再犯以上の場合には,1,000,000ドル以下の罰金もしくは10年以下の拘禁刑,または,その両方の刑に処する。

(b) 非営利図書館または教育機関における免除

(a)項の規定は,非営利の図書館または教育機関に対しては適用しない。

(c) 制限規定

507条(a)項の規定にかかわらず,原因発生の時から5年以内に公訴手続がとられないときは,本条に基づく公訴手続を執ることができない。

Sec. 1205. Savings Clause 保護条項

本章のいかなる条項といえども,インターネット利用に関連する個人のプライバシーの侵害を禁止する連邦法及び州法の規定を廃止し,制限し,または,抑制するものではなく,また,刑事公判手続及び民事訴訟手続における緩和の抗弁もしくは要件(defense or element of mitigation)を提供するものではない。

SEC. 104. CONFORMING AMENDMENT.

合衆国法典(United States Code)タイトル17の章目次は,その末尾に次のとおり追加して改正される。

「1201」

SEC. 105. EFFECTIVE DATE. 発効日

(a) 一般規定

(b)項の規定に従い,本タイトルによってなされる改正は,本法の成立と同時に発効する。

(b) 一定の国際的合意に関連する改正

(1) 以下は,WIPO著作権条約が合衆国内で発効した時に発効する。

(A) 本タイトルの102条(a)項(8)号による改正による合衆国法典タイトル17の101条に含まれる「国際的合意」の定義の(5)号

(B) 本タイトルの102条(a)項(10)号による改正

(C) 本タイトルの102条(c)項(1)号の改正による合衆国法典タイトル17の104条A(h)項(1)号(C)

(D) 本タイトルの102条(c)項(2)号の改正による合衆国法典タイトル17の104条A(h)項(3)号(C)

(2) 以下は,WIPO実演及び音楽レコード条約が合衆国で発効した時に発効する。

(A) 本タイトルの102条(a)項(8)号による改正による合衆国法典タイトル17の101条に含まれる「国際的合意」の定義の(6)号

(B) 本タイトルの102条(a)項(11)号による改正

(C) 本タイトルの102条(b)項(7)号による改正

(D) 本タイトルの102条(c)項(2)号の改正による合衆国法典タイトル17の104条A(h)項(1)号(D)

(E) 本タイトルの102条(c)項(4)号による改正

(F) 本タイトルの102条(c)項(5)号による改正

 

TITLE II--INTERNET COPYRIGHT INFRINGEMENT LIABILITY

 

SEC. 201. SHORT TITLE. 略  称

本タイトルは,「1998年インターネット著作権侵害責任明確化法 (Internet Copyright Infringement Liability Clarification Act of 1998)」として引用することができる。

SEC. 202. LIMITATIONS ON LIABILITY FOR INTERNET COPYRIGHT INFRINGEMENT. インターネット上の著作権侵害に対する責任の制限

(a) 一般規定

合衆国法典(United States Code)タイトル17の第5章は,次のとおりの511条を新たに追加して改正される。

Sec. 512. Liability of service providers for online infringement of copyright オンラインによる著作権侵害に対するサービス・プロバイダの責任 

(a) デジタル・ネットワーク通信 − サービス・プロバイダは,サービス・プロバイダによってもしくはサービス・プロバイダのために制御もしくは操作されているシステムもしくはネットワークを通じてなされるマテリアルの送信,ルーティング,接続の提供に対する侵害,または,マテリアルの送信,ルーティング,接続の提供の過程でなされる当該マテリアルの中間記憶もしくは一時的記憶に対する侵害について,

(1) サービス・プロバイダ以外の者によって,または,その者の指示によってなされ,

(2) サービス・プロバイダによる当該マテリアルの選択なしに自動的な技術的プロセスを経て実行され,

(3) 他人からの要求に対する自動レスポンスのような場合を除き,サービス・プロバイダが当該マテリアルの受領を選択せず,

(4) サービス・プロバイダによって作成されたマテリアルの複製が,予想される受領者以外の者にとって通常アクセス可能な方法でシステムもしくはネットワーク上に存在せず,かつ,サービス・プロバイダによって作成されたマテリアルの複製が,予想される受領者にとって通常アクセス可能な方法でシステムもしくはネットワーク上に通信のために必要な合理的期間を超えては存在せず,かつ,

(5) マテリアルの内容が変形されないで送信される

ときは,何らの金銭賠償責任も負わず,(i)項に規定する差止命令その他の衡平法上の救済措置を免れる。

(b) システム・キャッシング − サービス・プロバイダは,サービス・プロバイダによってもしくはサービス・プロバイダのために制御もしくは操作されているシステムもしくはネットワーク上のマテリアルの中間的記憶または一時的記憶に対する侵害について,何らの金銭賠償責任も負わず,(i)項に規定する差止命令その他の衡平法上の救済措置を免れる。ただし,以下を条件とする。

(1) 当該マテリアルが,当該サービス・プロバイダ以外の者によってオンラインで利用可能となっており,

(2) 当該マテリアルは,(1)号に示す者の指示によって,その者以外の誰かに対して,当該システムまたはネットワークを介して,送信されており,

(3) (1)号に示す者からのマテリアルに対するアクセスを後に要求する当該システムもしくはネットワーク上のユーザが利用できるようにするために,自動的な技術的プロセス(an automatic technical process)を介して,記憶(storage)がなされること。

さらに,以下を条件とする。

(4) (1)号に示す者から送信がなされたマテリアルの送信方法で,その内容に変化を加えることなしに,当該後のユーザに対し,当該マテリアルが送信されること。

(5) マテリアルを利用可能にするのに用いるシステムまたはネットワークのための業界基準として認められているデータ通信プロトコルに従って,そのマテリアルをオンラインで利用可能にした者から指示された場合における当該マテリアルのリフレッシュ(refreshing),リロード(reloading),その他のアップデート(updating)に関するルールを,当該サービス・プロバイダが遵守していること。ただし,(1)号に示す者が,当該中間記憶を阻止または不法に損傷するために,そのルールを使用していないこと。

(6) 当該サービス・プロバイダが,当該マテリアルに関して,後のユーザが直接に(1)号に示す者から当該マテリアルを入手したとすればその者にとって利用可能になったであろう情報をその者に返す技術の能力への干渉をしないこと。ただし,当該技術が

(A) プロバイダのシステムもしくはネットワークの処理能力に対し,または,マテリアルの即時の記憶に対して重大な影響を与えるものではなく,

(B) 一般に認められている業界企画の通信プロトコルに準拠しており,かつ,

(C) 当該マテリアルが,当該ユーザによって直接に当該の者からアクセスされたとすれば,当該の者にとって利用可能になったであろう情報以外の情報を,プロバイダのシステムまたはネットワークから取り出すものではないこと

を条件とする。

(7) また,

(A) 現在,(1)号に示す者が,当該マテリアルに対するアクセスを条件付けておらず,または,

(B) 当該マテリアルに対するアクセスが,当該の者によって,料金の支払もしくはパスワードその他の情報の提示を基礎とする事前条件のような個別の事前条件で,現在,条件付けられているとしても,サービス・プロバイダは,そのシステムもしくはネットワークのユーザでこれらの条件によって権限を授与され,そして,これらの条件にのみに従う者のためにのみ記憶されたマテリアルの重要部分に対するアクセスを許容していること。かつ,

(8) もし,(1)号に示す者が,著作権者の許諾を得ずにオンラインで利用可能なマテリアルを作成したときは,サービス・プロバイダは,(c)項(3)号に示す侵害の通知に対応すべく,その侵害であると申し立てられているマテリアルを直ちに削除またはアクセス禁止にすること。ただし,そのマテリアルが当初のサイトから既に削除されている場合には,その通知をする者は,当該マテリアルは既に削除またはアクセス禁止になったこと,または,削除またはアクセス禁止を命ぜられたことを確認する文章をその通知の中に含めること。

(c) サービス・プロバイダ上に記憶された情報

(1) 一般規定 − サービス・プロバイダは,サービス・プロバイダによって,もしくは,サービス・プロバイダのために制御もしくは操作されているシステムもしくはネットワーク上にあるマテリアルのユーザの指示でなされた記憶に対する侵害については,もし,そのサービス・プロバイダが

(A)

(i) そのマテリアルまたは行為が侵害となるものだということについての現実的な知識(actual knowledge)を持たず,

(ii) そのような現実的な知識がない場合において,侵害行為がなされていることを示す事実または状況を覚知しておらず,あるいは,

(iii)  そのような知識もしくは覚知を得た場合において,サービス・プロバイダが,そのマテリアルを削除し,または,そのマテリアルに対するアクセスを禁止するための即時の措置を講じており,

(B) サービス・プロバイダが侵害行為を制御する権利及び能力を有している場合において,当該侵害行為に直接に帰することができる金銭的利益を受けておらず,かつ,

(C) (3)号に示す侵害申立の通知があった場合において,侵害である,もしくは,侵害行為の対象であるとの申立がなされたマテリアルを,直ちに削除し,または,アクセス禁止にするという対応をした

のであるならば,何らの金銭賠償責任を負わず,(i)項に規定する差止命令その他の衡平法上の救済措置を免れる。

(2) 指定代理人

本条による責任制限は,サービス・プロバイダが,代理人の氏名,住所,電話番号,電子メールのアドレス,その他著作権登録局が適当と認める連絡情報を,そのウェブサイトを含むサービスを通じて利用可能にすることによって,または,そのような情報を著作権登録局に提供することによって,(3)号に示す侵害者とされる者の通知を受領するための代理人を指定したときに限り,適用することができる。著作権登録局は,インターネットを含め,代理人の現在のディレクトリを,公衆が電子的な形式でもハード・コピーの形式でも閲覧できる状態に維持しなければならない。

(3) 通知の項目

(A) 本項において有効なものであるためには,侵害者とされる者の通知は,サービス・プロバイダが指定した代理人に対する,次の内容を含む書面による通信(written communication)を意味する。

(i) 侵害を受けたと主張する排他的な権利の保有者の代理人として行動する権限を授与された者の実際の署名または電子署名(electronic signature

(ii) 侵害されたと主張する著作権を特定する事項,または,1個の通知によって,1個のオンライン・サイト上の複数の著作物をカバーしようとするときは,そのサイトにある当該著作物を示すリスト

(iii) 侵害されている,または,削除もしくはアクセスが禁止されるべき侵害行為の対象とされていると主張するマテリアルを特定する事項,及び,サービス・プロバイダが,そのマテリアルを位置付けることを許容するために合理的で十分な情報

(iv) 住所,電話番号,及び,もし利用可能ならば,申立人と連絡をとることのできる電子メールのアドレスのような,サービス・プロバイダが申立人と連絡をとるために合理的で十分な情報

(v) 申立人が,著作権保有者,その代理人または法律によって権限を授与されていない方法によって当該マテリアルが使用されていると,善意で信じている(a good faith belief)旨の記述

(vi) 通知の中にある情報は正確であり,かつ,偽証の罰の下に,申立人は侵害を受けたと主張している権利者の権利を執行する権限を有する旨の記述

(B) 著作権者または著作権者の代理人として行動する権限を有する者からの通知であって,(3)号(A)の規定に実質的に適合していないものは,(1)号(A)に基づく基づいて,侵害行為が現れていることを示す事実または状況をサービス・プロバイダが現実の知識または覚知を有しているかどうかの判断においては,これを考慮に入れてはならない。ただし,通知がプロバイダの指定する代理人に届き,かつ,(3)号(A)(ii),(iii)及び(iv)の規定するところを実質的に満足している場合には,(3)号(A)に基づく通知の受領に関して,プロバイダが,直ちに申立人と連絡をとることを試みるか,または,その他の合理的なステップを踏むことを条件とする。

(d) 情報のロケーション・ツール − サービス・プロバイダは,もし,プロバイダが,

(1) そのマテリアルまたは行為が侵害となるものだということについての現実的な知識(actual knowledge)を持たず,そのような現実的な知識がない場合において,侵害行為がなされていることを示す事実または状況を覚知しておらず,

(2) サービス・プロバイダが当該行為を制御する権利及び能力を有している場合において,当該侵害行為に直接に帰することができる金銭的利益を受けておらず,かつ,

(3) (c)項(3)号に示す侵害の通知に応じて,直ちに,レファレンスまたはリンクを削除またはアクセス禁止にした

ときは,ディレクトリ,インデックス,レファレンス,ポインタもしくはハイパーテキスト・リンクを含む情報のロケーション・ツールの使用による侵害行為と主張されているマテリアルまたは行為を含むオンライン・ロケーションに対するユーザの参照(referring)またはリンク付け(inking)をプロバイダが提供したことによる侵害について,何らの金銭賠償責任も負わず,(i)項に規定する差止命令その他の衡平法上の救済措置を免れる。ただし,本号においては,(c)項(3)号(A)(iii)に示す要件は,侵害行為と主張されている削除またはアクセス禁止にされるべきマテリアルまたは行為への参照またはリンクの特定事項,及び,サービス・プロバイダが当該参照またはリンクを許容するのに合理的で十分な情報であるものとする。

(e) 虚偽の表示 − 故意に,

(1) マテリアルまたは行為が侵害行為に当たる旨の,または,

(2)  過失もしくは特定上の誤りによってマテリアルまたは行為が削除もしくは利用禁止となった旨の本条に照らして内容的に虚偽の表示をした者は,そのような虚偽の表示によって被害を受けた者であって,侵害者であるとされた者,著作権者もしくは著作権者から権限を授与された賃借人,または,サービス・プロバイダが,サービス・プロバイダが当該虚偽の表示を信頼して,侵害であるとの申立があったマテリアルもしくは行為を削除またはアクセス禁止としたことの結果として,あるいは,削除したマテリアルの復元もしくはアクセス禁止の終了に際して受けた損害について,訴訟費用及び弁護士費用を含め,賠償する責任を負わなければならない。

(f) 削除または利用禁止とされたマテリアルの復元及びその他の責任の制限

(1) 本項の(2)項に従うことを条件として,マテリアルまたは行為が完全に侵害行為であると断定できるかどうかを考慮することなく,サービス・プロバイダが,善意で,侵害行為であるとして申し立てられたマテリアルまたは行為へのアクセスを不可とし,もしくは,削除することを根拠とし,または,侵害行為が現れていることを示す事実もしくは状況を根拠としては,サービス・プロバイダは,申立人に対し,責任を負うことはない。

(2) サービス・プロバイダによって,または,サービス・プロバイダのために制御または操作されているシステムまたはネットワーク上にあるサービス・プロバイダの加入者の指示によって置かれているマテリアルであって,(c)項(1)号(C)に基づいてなされる通知に従って,サービス・プロバイダにより削除され,または,アクセス禁止とされたものに関しては,サービス・プロバイダが,

(A) マテリアルを削除またはアクセス禁止にしたことを,加入者に対し,直ちに通知するための合理的なステップを踏み,

(B) (3)号に示す返信(a counter notice)に基づき,(c)項(1)号(C)に基づく通知をした者に対し,直ちに,返信の複製を提供し,かつ,その者に対し,10営業日以内に,削除されたマテリアルまたは禁止されたアクセスを復元するであろうことを告知し,かつ,

(C) サービス・プロバイダのシステムまたはネットワーク上のマテリアルに関して侵害行為を行っている加入者に対する禁止命令を申し立てている者から,その旨の(c)項(1)号(C)に基づく最初の通知を受指定代理人が受領している場合を除き,次の返信の受領後10日以上14日以内に,削除したマテリアルまたは禁止したアクセスを復元した

場合には,本項の(1)号を適用してはならない。

(3) 本項において有効なものとするためには,返信(a counter notificationとは,プロバイダの代理人に対する,次の事項を実質的に含む書面による通信(written communication)を意味する。

(A) 加入者の実際の署名または電子署名(electronic signature

(B) 削除またはアクセス禁止されたマテリアルを特定する事項及び削除またはアクセス禁止される以前にあった当該マテリアルのロケーション

(C) 偽証の罰の下に,過失または削除もしくはアクセス禁止されるべきマテリアルの特定誤りの結果としてマテリアルが削除またはアクセス禁止となったと加入者が善意で信じている(a good faith belief)旨の記載

(D) 加入者の氏名,住所,電話番号,並びに,加入者がその住所を有する裁判管轄地区に対応する連邦裁判所の,加入者が合衆国の外にあるときは,サービス・プロバイダを見出し得る裁判管轄地区に対応する連邦裁判所の裁判管轄権に服することに同意する旨の記述,加入者が(c)項(1)号(C)に基づく通知をした者またはその者の代理人からの訴訟手続書類の受領を承諾する旨の記述

(4) サービス・プロバイダが(2)号に応諾しても,サービス・プロバイダは,(c)項(1)号(C)に基づいてなされた通知に特定されているマテリアルに関する著作権侵害について責任を負うことはない。

(g) 直接の侵害者の特定

著作権者または著作権者の代理人として行動する権限を有する者は,

(1) (c)項(3)号(A)に示す通知のコピーと求める命令,及び,

(2) 命令の目的が侵害者とされる者を特定する事項を入手するためであり,本タイトルの目的のためにのみ当該情報を使用することを宣誓の上で宣言し,これらを合衆国地方裁判所の書記官(the clerk of any United States district court)に 

提出することによって,侵害者とされる者を特定する事項を公開するように求める命令の発付を申し立てることができる。

この命令は,通知を受領するサービス・プロバイダに対し,そのサービス・プロバイダが当該情報を提供可能な限りにおいて,通知の中に示されたマテリアルの直接の侵害者を解くって意するために十分な情報を,著作権者もしくは著作権者から権限を授与された者に対して直ちに開示する権限を与え,かる,その義務を負わせる。この命令は,添付されている通知が(c)項(3)号(A)の規定を満足しており,かつ,添付されている宣言が適法に実行されているのであれば,直ちに発付されなければならない。(c)項(3)号(A)に示す通知が添付された命令が受領されたときは,サービス・プロバイダは,他の法律の規定にかかわりなく,かつ,そのサービス・プロバイダが通知に対して応答していると否とを問わず,著作権者または著作権者から権限を授与された者に対し,直ちに,当該命令によって命ぜられた情報を提供しなければならない。

(h) 資格条件

(1) 技術の採用 − 本条により確立される責任制限は,サービス・プロバイダが

(A) 累犯者以上の侵害者であるサービス加入者のサービス終了に関するポリシーを採用し,合理的にインプリメントし,かつ,サービス加入者に対しこれを告知しており,かつ,

(B) 本条に規定する標準的な技術的手段を採用し,かつ,これに違反しない

場合にのみ,適用されなければならない。

(2) 定 義 − 本条においっては,「標準的な技術的手段(standard technical measures」は,著作権者によって,著作権の保護を受ける著作物の特定または保護のために使用されるものであって,

(A) 著作権者とサービス・プロバイダとの大まかな合意に従い,オープンで,フェアで,任意的で,マルチ・インダストリーな標準化プロセスにおいて開発され,

(B) すべての者にとって,合理的かつ無差別の条件で利用可能であり,かつ,

(C) サービス・プロバイダに対して大きな費用負担を課さず,かつ,そのシステムもしくはネットワークに対して大きな負荷を与えないもの

である。

(i) 差止命令 − 本条の適用によって金銭賠償責任に服することのないサービス・プロバイダに対し,502条に基づき,差止命令を適用する場合には,以下のルールを適用しなければならない。

(1) 救済の範囲

(A) (a)項に規定する救済の制限に服する行為以外の行為に関しては,裁判所は,サービス・プロバイダに関し,次の1以上の形式による差止命令の救済のみを認めることができる。

(i) プロバイダのシステムもしくはネットワーク上の特定のオンライン・サイトにある侵害マテリアルまやは行為へのアクセスの提供を禁止する命令

(ii) サービス・プロバイダのシステムまたはネットワークの特定された加入者であって侵害行為をしている者に対し,当該加入者に指定されたアカウントを終了させることによって,その者に対するアクセスの提供を禁止する命令

(iii) 特定のオンライン・ロケーションにあると指定された著作権の保護を受けるマテリアルの侵害を阻止または禁止するために必要だと裁判所が考えるその他の差止命令による救済

(B) もし,サービス・プロバイダが(a)項に示す救済の制限を与えられているときは,裁判所は,次の1以上の形式による差止命令の救済のみを認めることができる。

(i) サービス・プロバイダのシステムまたはネットワークの特定された加入者であって侵害行為をするためにプロバイダのサービスを利用している者に対し,当該加入者に指定されたアカウントを終了させることによって,その者に対するアクセスの提供を禁止する命令

(ii) 指定され,特定された外国のオンライン・ロケーションに対するアクセスをブロックするための指定された合理的なステップを踏むことによって,アクセスの提供を禁止する命令

(2) 考 慮 − 裁判所は,適用可能な法に基づいて差止命令による救済を認める上での適切な基準につき判断するときは,

(A) かかる差止命令が,それだけで,並びに,本項に基づいて同一のサービス・プロバイダに対して発せられた他の差止命令と一緒になって,プロバイダまたはプロバイダのシステムもしくはネットワークの操作に対し大きな負荷を与えるものであるかどうか,

(B) もし,侵害行為に対する阻止または禁止の措置が講じられなかったとするならば,デジタル・ネットワーク環境において著作権者が直面するであろう脅威の大きさ(the magnitude of the harm),

(C) 当該差止命令の実施が技術的に利用可能で効果的なものであるかどうか,そして,侵害行為とならないマテリアルその他のオンライン・ロケーションに対するアクセスに対する妨害とならないかどうか,並びに,

(D) 他のより負荷が少なく比較的効果的な阻止手段または侵害マテリアルに対するアクセス禁止手段が利用可能かどうか

を考慮に入れなければならない。

(3) 通知(notice)及び職権命令(Ex Parte Orders

証拠保全命令,または,サービス・プロバイダの通信ネットワークの操作に実質的な影響を与えることのないその他の命令を除き,本項に基づく差止命令による救済は,サービス・プロバイダに対して通知がなされ,かつ,当該プロバイダが立ち会う機会を与えられるのでなければ,利用することができない。

(j) 定  義

(1)

(A) (a)項において用いるときは,「サービス・プロバイダ(service provider」とは,送受信されるマテリアルの内容を変更することなしに,ユーザによって特定される各ポイント間またはユーザの選択するマテリアルの各ポイント間で,デジタル・オンライン通信をするために,送信(transmission),または,ルーティング(routing)もしくは接続の提供(providing)を行う組織体(entity)を意味する。

(B) 本条の他の項において用いるときは, 「サービス・プロバイダ(service provider」とは,オンラインによるネットワーク・サービスもしくはネットワーク・アクセスの提供者,または,そのための設備のオペレータを意味し,本条で先に規定した組織体を含む。

(2) 本条において用いるときは,「金銭賠償責任(monetary relief」という用語は,損害賠償,訴訟費用,弁護士費用その他の金銭支払を意味する。

(k) 他の抗弁は影響を受けない

本条に基づく責任制限をサービス・プロバイダが受け損なったということは,サービス・プロバイダによって本タイトルに基づいてなされるサービス・プロバイダの行為が侵害行為ではないとの抗弁その他の抗弁についての判断に対して影響を与えてはならない。

(l) プライバシーの保護

本条においては,

(1) (h)項の規定に適合する標準的な技術的手段と矛盾しない範囲内にある場合を除き,サービス・プロバイダが,そのサービスをモニタすること,または,侵害行為を示唆する事実を探索すること,あるいは,

(2) サービス・プロバイダが,法によって禁止されている行為である,マテリアルへのアクセス,マテリアルの削除,マテリアルへのアクセスの阻止をすること

が(a)項ないし(d)項を適用できるようにするための要件であると解釈されてはならない。

(m) 解釈のルール(Rule of Construction

(a)項,(b)項,(c)項及び(d)項は,本条に基づく分析においては,分離された異なる機能を表現することを目的としている。サービス・プロバイダが各項のいずれかの責任制限を与えられるかどうかは,各項の個々の基準にのみに基づかなければならず,かつ,当該サービス・プロバイダが他の項に基づく責任制限を与えられるかどうかの判断に影響を与えてはならない。」

SEC. 203. CONFORMING AMENDMENT.

合衆国法典(United States Code)タイトル17の第5章の目次は,その末尾に次のとおりに追加して改正される。

「512. オンラインによる著作権侵害に対するサービス・プロバイダの責任

SEC. 204. LIABILITY OF EDUCATIONAL INSTITUTIONS FOR ONLINE INFRINGEMENT OF COPYRIGHT. オンラインによる著作権侵害に対する教育機関の責任

(a) 本法の成立後6か月以内に,著作権登録局(the Register of Copyrights)は,著作権者及び非営利教育機関(nonprofit educational institutions)の代表と協議の上,議会に対し,コンピュータ・システムのユーザによる著作権侵害行為に対する(本法による改正後の)合衆国法典(United States Code)タイトル17の512条に規定する意味におけるサービス・プロバイダとしての非営利教育機関の責任に関し,著作権登録局(the Register of Copyrights)が当該責任に関連して適切であると考える何らかの立法(legislation)の勧告を含め,勧告(recommendations)を提出しなければならない。

(b) 勧告(recommendations)の作成に際しては,著作権登録局(the Register of Copyrights)は,次の各事項を考慮しなければならない。

(1) 教職員(faculty),事務職員(administrative employees),学生,大学院生及び非営利教育機関の従業員としての学生による侵害に対する非営利教育機関の直接責任(direct),代償責任(vicarious)及び寄与責任(contributory)に関する現行法規

(2) 非営利教育機関が責任を負うことがあるその他のコンピュータ・システム・ユーザ

(3) 非営利教育機関と学部(faculty)との間の関係における特殊な性格(the unique nature

(4) そのコンピュータ・システムのユーザによる著作権侵害に関連して採用されるべき非営利教育機関のポリシーは,何であるか

(5) 侵害行為となる使用をモニタするために利用可能な手術的手段

(6) 非営利教育機関によるそのコンピュータ・システムのモニタは,何が適切であるか

(7) 著作権侵害により訴えられるべきコンピュータ・システム・ユーザによるアクセスを非営利教育機関が無資格化(disabling)する際に与えられるべき適正手続(due process)は,何か

(8) 非営利教育機関の外部からアクセスされ得るコンピュータ・システム,アクセスされ得ないコンピュータ・システム及びその両方が組み合わされたコンピュータ・システム相互間の区別は,何か

(9) 大学の自由の伝統(the tradition of academic freedom

(10) コンピュータ・システムのユーザによる著作権侵害行為に対するサービス・プロバイダとしての非営利教育機関の責任に関して著作権登録局が適切であると考えるその他の事項

SEC. 205. EFFECTIVE DATE. 発効日

本タイトル及び本タイトルによる改正は,本法の成立の日に発効する。

 

TITLE III--COMPUTER MAINTENANCE OR REPAIR

 

SEC. 301. LIMITATION ON EXCLUSIVE RIGHTS; COMPUTER PROGRAMS. 排他的権利の制限:コンピュータ・プログラム

合衆国法典(United States Code)タイトル17の117条は,次のとおり改正される。

(1) 「〜にかかわらず(Notwithstanding)」を削除し,次のとおり挿入する。

「(a) コピーの保有者によるコピーの追加複製または改作

〜にかかわらず(Notwithstanding)」

(2) 「Any exact」を削除し,次のとおり挿入する。

「(b) 追加複製または改作されたコピーのリース,販売その他の譲渡

Any exact

(3) 次の新しい項を末尾に追加する。

「(c) 機械の保守または修理(Machine Maintenance or Repair

106条の規定にかかわらず,機械の保守または修理だけの目的で,コンピュータ・プログラムの許諾されたコピー(an authorized copy)を適法に含んでいる機械を活性化すること(activation of the machine)の結果として当該コピーが作成される場合であり,かつ,次の各要件を満たすときは,機械の保有者または賃借人が,コンピュータ・プログラムのコピーを作成すること,または,コンピュータ・プログラムのコピーの作成を許諾することは,侵害行為とならない。

(1) 当該新たに作成されたコピーが,他の目的に使用されるものではなく,かつ,保守または修理の後直ちに破棄されるものであり,かつ,

(2) 機械を活動化させるのに必要ではないコンピュータ・プログラムの全部または一部については,機械を活性化すること(activation of the machine)の結果として当該新たなコピーが作成される場合を除いて,そのようなプログラムの全部または一部がアクセスされ,または,使用されないこと

(d) 定義(DEFINITIONS)

本条においては,

(1) 機械の「保守(maintenance」は,オリジナルの仕様(specifications)に従って著作物を作成するための機械の提供すること(servicing)及び当該機械について許諾された仕様を変更することであり,また,

(2) 機械の「修理(repair」は,機械をそのオリジナルの仕様に従った動作状態(the state of working)へ復元すること及び当該機械について許諾された仕様を変更することである。.」

.

TITLE IV--EPHEMERAL RECORDINGS; DISTANCE EDUCATION; EXEMPTION FOR LIBRARIES AND ARCHIVES

 

SEC. 401. EPHEMERAL RECORDINGS. 固定記録物

合衆国法典(United States Code)タイトル17の112条は,次のとおり改正される。

(1) 従前の112条(a)項を112条(a)項(1)号とし,従前の112条(a)項(1)号,(2)号及び(3)号の番号を,それぞれ,112条(a)項(1)号(A),(B)及び(C)とする。

(2) 112条(a)項(1)項中の114条(a)の準用の後に,「または,非予約ベースで(on a nonsubscription basis)デジタル形式のサウンド・レコーディングの実演を放送する連邦通信委員会(Federal Communications Commission)のようなライセンスを受けたラジオ放送局もしくはテレビ放送局である送信組織(transmitting organization)のために」を追加する。

(3) 新たに次のとおりの112条(a)項(2)号を追加する。

「(2) 著作物の実演もしくは表示の公衆送信に関する112条(a)項(1)号に基づいてコピー(copy)または音楽レコード(phonorecord)を作成する権限を有する送信組織(transmitting organization)が,同条の適用のある著作権者が著作物複製防止のための技術的手段を適用しているために当該コピーまたは音楽レコードの作成が妨げられているときは,当該著作権者は,同条所定の意味の範囲内で,当該コピーまたは音楽レコードの作成を許諾するために必要な手段を送信組織に利用させなければならない。.ただし,著作権者がそのようにすることが技術的に可能であり,かつ,経済的に合理的であることを条件とする。また,当該著作権者が,送信組織の業務上の要求に対し,タイムリーな方法でそうすることができないときは,送信組織が,当該複製または音楽レコードを許容するのに必要な行為をすることについて,1201条(a)項(1)号の責任を負うことはない。」

SEC. 402. LIMITATIONS ON EXCLUSIVE RIGHTS; DISTANCE EDUCATION. 排他的権利の制限:遠隔教育

(a) 本法の成立後6か月以内に,著作権登録局(the Register of Copyrights)は,著作権者,非営利教育機関(nonprofit educational institutions)及び非営利図書館(nonprofit libraries and archives)の代表と協議の上,議会に対し,双方向デジタルネットワークを含むデジタル技術を通じて,著作権者の権利とユーザの需要との間の適切なバランスを適切に維持しながら,どのようにして遠隔教育(distance education)を実行するかについての勧告(recommendations)を提出しなければならない。当該勧告は,著作権登録局が上記の諸目的を達成するために適切であると考える何らかの立法(legislation)を含まなければならない。

(b) 勧告(recommendations)の作成に際しては,著作権登録局は,次の各事項を考慮しなければならない。

(1) デジタル・ネットワークを介した遠隔教育について排他的権利の適用除外を設けるべき必要性

(2) 遠隔教育における適用除外に含められるべき著作物のカテゴリー

(3) 遠隔教育における適用除外において利用可能な著作物の部分に関する適切な内容的制限の範囲

(4) 遠隔教育における適用除外の利益を享受すべき者

(5) 遠隔教育における適用除外に基づく遠隔教育マテリアルの受領者として適するとされるべき者

(6) 開発されつつある技術の可能性に照らし,110条(2)号に規定する制限を含め,遠隔教育における適用除外が適格であるための条件として,著作権で保護されているマテリアルへの無権限アクセス(unauthorized access),無権限使用(unauthorized use)または無権限所持(unauthorized retention)に対するセーフガードとしてどのような技術的手段が利用可能であるか,

(7) 双方向デジタルネットワークを通じてなされる遠隔教育において著作権を付与された著作物を使用するための許諾をする権限の範囲は,遠隔教育における適用除外に適しているかどうか(eligibility)を評価して考慮しなければならない。

(8) 双方向デジタルネットワークを通じてなされる遠隔教育に関連するその他の事項は,登録局が適宜考慮する。

SEC. 403. EXEMPTION FOR LIBRARIES AND ARCHIVES. 図書館及び公文書館の免除

合衆国法典(United States Code)タイトル17の108条は,次のとおり改正される。

(1) (a)項において,

(A) 「〜にかかわらず(Notwithstanding)」を削除し, 「他に規定する場合を除き及び〜にかかわらず」を挿入する。

(B)  「著作物の1を超えない数のコピー(copy)または音楽レコード(phonorecord)」の後に「(b)項及び(c)項に規定する場合を除き」を挿入する。

(C) (3)号の「著作権」の後に「本条の規定に基づき複製したコピーまたは音楽レコード上に当該告知(notice)が表示されているとき,または,本条の規定に基づいて複製したコピーまたは音楽レコード上に当該告知が見当たらないときでも,著作物が著作権によって保護されている(the work may be protected by copyright)旨の書き出しで始まる説明文があるときは,」を挿入する。

(2) (b)項において,

(A) 「1のコピーまたは音楽レコード」を削除し,その代わりに「3のコピーまたは音楽レコード」を挿入する。

(B) 「ファクシミリ形式で」を削除する。

(C) 「複製されたコピーまたは音楽レコードが図書館もしくは公文書館のコレクションの中に現存するときは,」を削除し,その代わりに,

「もし,

(1) 複製されたコピーまたは音楽レコードが図書館もしくは公文書館のコレクションの中に現存し,かつ,

(2) デジタル形式で複製された当該コピーまたは音楽レコードがデジタル形式で配付されておらず,かつ,その図書館もしくは公文書館の構外においてはデジタル形式で利用することができないときは,」

を挿入する。

(3) (c)において

(A) 「1のコピーまたは音楽レコード」を削除し,その代わりに「3のコピーまたは音楽レコード」を挿入する。

(B) 「ファクシミリ形式で」を削除する。

(C) 「剽窃された」の後に「剽窃にかかる存在形式が陳腐なものとなっているときは,」を挿入する。

(D) 「もし,図書館もしくは公文書館が,合理的な努力をしても,公正な価格では未使用の公刊物を入手することができないときは,」を削除し,その代わりに,「もし,

(1) 図書館もしくは公文書館が,合理的な努力をしても,公正な価格では未使用の公刊物を入手することができないと判断し,かつ,

(2) 適法に保有する当該複製を図書館または公文書館の構内で使用する場合を除き,デジタル形式で再製されたコピーまたは音楽レコードが,その形式では公衆に利用可能でないときは,」

を挿入する。

(E) 末尾に「本項においては,当該フォーマットで記憶された著作物の認識を支援する機械または装置が既に製造されておらず,または,適正な市場価格ではもはや利用できないときは,そのフォーマットは,陳腐化したものとみなす。」を追加する。

 


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最終更新日:Aug/03/1998

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