第5回 熱抵抗・多層平板・熱通過

熱抵抗

Fig51

厚さLの平板が, 定常状態で両端の温度が T1, T2 のとき, 熱流量は次の様になります。

Eqn1
(1)

熱の流れを電気の流れ(オームの法則)と相似と考えると, 伝熱量は電流,温度差は電位差にそれぞれ対応していると考えられるので,電気回路の抵抗にあたる概念として 熱抵抗(Thermal resistance) R K/W を考えます。

図5-1の様に,熱の流れを電気の流れと等価回路で考えると, 熱抵抗は,式(1) の分母になっています。

Eqn2
(2)
Eqn3
(3)

熱抵抗は,直交座標だけでなく,円筒座標や球座標でも定義でき,次の様になります。

円筒座標系の熱抵抗

Eqn4
(4)

球座標系の熱抵抗

Eqn5
(5)

多層平板

Fig52

次に図5-2に示したように,厚さ,熱伝導率とも異なる平板が熱の伝わる方向に2枚重なっていて 定常状態で両端の温度が T1, T2 のとき, 2枚の平板を横切る熱流は等しく,電気回路の抵抗が直列の場合と同じと考えることができます。 オームの法則において,直列の場合の抵抗値は足し合わせれば良いので, 熱抵抗も同様に考え,熱抵抗を足し合わせたものを用いて,次の様になります。

Eqn6
(6)

熱通過

これまで,熱伝導を考える面の境界条件として,温度を規定して進めてきました。 実際の境界条件としては,対流にさらされる場合が多くみられます。
家の壁面や窓ガラス,機器の筐体(ケース)のように,面が流体(風や流水)にさらされている平板を考えよう。

Fig53

熱流量はどの部分も同じ流れと考えると,次の様になります。

Eqn7
(7)

この式を,ThTc の差について求めると, 次の式のように表せます。

Eqn8
(8)

これより,対流にさらされる側の熱抵抗は,対流熱伝達率から次の様に表せる事がわかります。

Eqn9
(9)

今週の課題

室内側(温度 25℃,熱伝達率 10 W/m2K),外気(温度 0℃,熱伝達率 25 W/m2K)の両面を対流にさらされた厚さ 5.0 mm のガラスの窓(k = 1.0 W/(mK) )を考える。

  1. 室内から外気への損失熱流束を求めよ。
  2. ガラスの厚さを2倍の 10 mm にした場合の損失熱流束を求めよ。
  3. ガラス窓を「厚さ 2.5 mm のガラスの窓」−「厚さ 2.5 mm の空気層(k = 0.025 W/(mK))」−「厚さ 2.5 mmのガラスの窓」 と,間に空気層を含む二重ガラスにした場合の損失熱流束を求めよ。

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2024.05.20 更新