厚さLの平板が, 定常状態で両端の温度が T1, T2 のとき, 熱流量は次の様になります。
熱の流れを電気の流れ(オームの法則)と相似と考えると, 伝熱量は電流,温度差は電位差にそれぞれ対応していると考えられるので,電気回路の抵抗にあたる概念として 熱抵抗(Thermal resistance) R K/W を考えます。
図5-1の様に,熱の流れを電気の流れと等価回路で考えると, 熱抵抗は,式(1) の分母になっています。
熱抵抗は,直交座標だけでなく,円筒座標や球座標でも定義でき,次の様になります。
次に図5-2に示したように,厚さ,熱伝導率とも異なる平板が熱の伝わる方向に2枚重なっていて 定常状態で両端の温度が T1, T2 のとき, 2枚の平板を横切る熱流は等しく,電気回路の抵抗が直列の場合と同じと考えることができます。 オームの法則において,直列の場合の抵抗値は足し合わせれば良いので, 熱抵抗も同様に考え,熱抵抗を足し合わせたものを用いて,次の様になります。
これまで,熱伝導を考える面の境界条件として,温度を規定して進めてきました。
実際の境界条件としては,対流にさらされる場合が多くみられます。
家の壁面や窓ガラス,機器の筐体(ケース)のように,面が流体(風や流水)にさらされている平板を考えよう。
熱流量はどの部分も同じ流れと考えると,次の様になります。
この式を,Th と Tc の差について求めると, 次の式のように表せます。
これより,対流にさらされる側の熱抵抗は,対流熱伝達率から次の様に表せる事がわかります。
室内側(温度 25℃,熱伝達率 10 W/m2K),外気(温度 0℃,熱伝達率 25 W/m2K)の両面を対流にさらされた厚さ 5.0 mm のガラスの窓(k = 1.0 W/(mK) )を考える。
2024.05.20 更新