明清帝国の首都「北京城」(現在の北京市)と、その中心に位置する「紫禁城」(現在の「故宮」)は、儒教の経典『周礼』冬官考工記の「世界首都」のコンセプトを具現化した壮大な城郭都市でした。宇宙の支配者たる天帝は「紫微垣」(真の天頂。北極星のすぐ横)に住み、世界の支配者たる中華皇帝は紫禁城に住む、と昔の中国人は考えました。紫禁城の歴史と魅力を、豊富な図版を使い、予備知識のないかたにもわかりやすく説明します。(講師・記) |
今日も亦中野江漢君につれられ、午頃より雍和宮(ようわきゅう)
一見に出かける。喇嘛寺(らまでら)などに興味も何もなけれど、否、寧ろ喇嘛寺などは大嫌いなれど、
北京名物の一つと言えば、紀行を書かされる必要上、義理にも一見せざる可らず。(このあと、詐欺めいた挿話がある。中略) 天壇。地壇。先農壇。皆大いなる大理石の壇に雑草の萋々(せいせい)と茂れるのみ。 天壇の外の広場に出ずるに、忽(たちま)ち一発の銃声あり。何ぞと問えば、死刑なりと言う。 紫禁城。こは夢魔のみ。夜天よりも厖大なる夢魔のみ。 |
本棚の整理がなかなか進まない。昔、学生時代に愛読した本を、ついつい読んでしまう。鐘ケ江信光(1912年- 2012年)著『中国語のすすめ』講談社現代新書もその一つ。ことばの勉強は「暗記、根気、年期」の3つの「き」が大事、というくだりには、いまも納得。 pic.twitter.com/mW9WL0toko
— 加藤徹(KATO Toru) (@katotoru1963) March 23, 2021
北京と東京、同一縮尺による比較![]() |
「紫禁城の二年間」とあるが、実際は頤和園(いわえん)での話が大半を占める。講談社学術文庫の新刊『西太后に侍して』。とても良い本です?? ただ、巻末の解説が蛇足かも?? pic.twitter.com/tQjA21IsL8
— 加藤徹(KATO Toru) (@katotoru1963) February 3, 2023
世界の大都市圏人口ランキング、2020。世界第1位は日本の首都圏の約3800万。・・・こんなに集中して、大丈夫かな??? ちなみに中国の首都圏は世界第12位。韓国の首都圏は世界第8位。欧米のいわゆる先進国の首都圏の人口はどこも意外と少ないのは、示唆的。https://t.co/6Re4UyvYfg pic.twitter.com/ep6JRtSNtY
— 加藤徹(KATO Toru) (@katotoru1963) March 19, 2021
横光利一(1898-1947)「北京と巴里(覚書)」より。「青空文庫」引用 (前略)北京は消費の街だという。なるほどこの街では生産というものをかつてしたことのない人物が、 代々かかってどれほど人間が消費を出来るものかと、あらゆる智慧を絞って工夫に工夫をこらせた有様が歴然と現れている。 (中略)北京へ行くものは悪徳と戦うつもりで行かない限り、身につけた現世の健康なものはすべて無くなってしまうかもしれぬ。 ここには精神のある美よりも詐術の美を美とする精神がある。 もし疲労と孤独のために難なくこれに襲われたら、恐らく北京ほど美しく見える都会はないだろう。 死体に色づけ客間に置き放したまま嫣然と笑わせたようなこの都会の女性的な壮麗さは、 たしかにどこの国にも類例はあるまい。 (中略)数世代も続いた都を他民族に征服され、またそれが崩れると次の民族が交代するという肉体の死滅して来た累積層 の中には、残るものはこのように頓狂なものばかりかと思って私は茫然とした。かつて有ったに相違ない良いものは、 殆ど演劇だけを残して死んでしまっていて、尨大な駄作ばかりが本尊となりすまし、樹の海がひとり祭壇をめぐっている。 ここで一番人心に感動を与えているものは、今は小唄のような哀れな歌調をもった節廻しだけである。しかし、大衆というものは駄作ほど喜ぶ。駄作が傑作となって永久に残るというこの地の特種な機構は、何かこの北京に限り他国とは比較にならぬ犯罪の深さを物語ってやまぬものがある。 北京に遊ぶ知識人はよく前から、ここは全くパリに似ているというのを私は聞いた。あるフランス人は北京はパリ以上だとも言ったという。(以下略) |