天覇拝山(てんぱはいざん)Tian-ba-bai-shan

 これから見ていただくのは、天覇拝山、黄天覇(こうてんは)が山賊の部下になる、というお芝居です。これは、京劇「坐寨・盗馬」、隠し砦(とりで)の山賊が名馬を盗む、という演目の続きのものがたりです。
 今から三百年前、康熙帝(こうきてい)の時代こと。山賊・竇爾敦(とうじとん)は、十数年前、黄三太(こうさんたい)という豪傑と勝負して負けたことがあり、いまだに黄三太を恨んでいました。竇爾敦は、夜の闇にまぎれてこっそりと山をおり、山のふもとで野営していた梁九公の名馬を盗み出し、そのあとに黄三太の名前を書き残し、彼に罪をなすりつけようとします。
 しかし竇爾敦は知らなかったのですが、黄三太はすでに世を去っていました。そのため、黄三太の息子である黄天覇(こうてんぱ)が尋問を受けます。
 黄天覇は自分の潔白を証明するため、大胆にも竇爾敦のいる砦に乗り込み、いつわって「自分を山賊の仲間にくわえてほしい」と申し出ます。気をゆるした竇爾敦は、自分が盗んできた名馬を黄天覇に見せます。黄天覇は真犯人が竇爾敦であることを確かめたあと、自分は竇爾敦の仇である黄三太の息子であることを名乗ります。ふたりは翌日、どちらの言い分が正しいかを決闘で決めることを約束し、別れたのでした。
 敵の巣窟(そうくつ)に丸腰で乗り込んだ黄天覇と、山賊の頭目・竇爾敦の緊張感あふれるやりとりが見所のお芝居です。それでは京劇「天覇拝山」、どうぞ御楽しみください。

(「坐寨盗馬(ざさいとうば)」の続き。工事中)

(完)


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