| 【内容】 「三国志」を一度も読んだことのない人も、この古典作品の本質を理解できるよう、豊富な映像資料を使いつつ、作品の根底にある中国的な人間観について解説する。今から1800年前の史実を土台にした三国志の物語は、日本でも絶大な人気を博してきた。日本人は漢文としての三国志のほかにも、江戸時代は歌舞伎や浮世絵で、昭和世代は小説で、平成世代はパソコンのシミュレーションゲームで、時代とともに独自の三国志文化を創ってきた。一見、荒唐無稽な現代日本における「三国志」のアレンジも、古典としての「三国志」のポテンシャリティーの発揚に他ならない。 古典としての「三国志」は、日本の古典には該当ジャンルが存在しない「人間観文学」である。「天の時、地の利、人の和」と「知、情、意」という二つをキーワードに、中国の人間観の本質を、わかりやすく論じる。 |
| 0次元 | 点。禅の悟り、等。 |
|---|---|
| 1次元 | 線。言語の線状性(linearity)。文字文芸、ラジオ劇、等。 |
| 2次元(2D) | 平面。絵画、写真、映画、漫画、動画、等。 |
| 2.5次元(2.5D) | 物体の裏側や内部に関する情報がないこと。 サブカルの俗語ではフィギュア、アイドル声優、コスプレ、など。舞台演劇やSLG(シミュレーションゲーム)の本質も2.5D。 |
| 3次元(3D) | 立体、現実界。史跡、彫刻、茶道、等。 |
| 4次元 | 科学的には「ミンコフスキー時空(時間を第4の次元とする)」「空間が4次元あるもの」。俗語では「異次元」「電波系」等。 |
京劇の諸葛孔明
|
神戸市長田区の商店街のコスプレ
|
|
184年 黄巾の乱。 208年 赤壁の戦い。 220年 後漢、滅亡。三国時代の開始。 234年 蜀の諸葛孔明、五丈原で陣没。 239年 邪馬台国の女王・卑弥呼が、魏に遣使。 280年 西晋が中国を再統一。 |
| 漢文の正史『三国志』 | 陳寿(233年-297年)の著。いわゆる「魏志倭人伝」も含む。 |
|---|---|
| 古典小説『三国志演義』 | 14世紀ごろ成立か。作者は羅貫中あるいは施耐庵とも。 |
| アレンジ系(自由訳、翻案) | 吉川英治『三国志』、横山光輝の漫画『三国志』など。 |
(3)ことわざや故事成語の宝庫| 知 | 情 | 意 | |
|---|---|---|---|
| 雅 | 諸葛孔明 | 関羽 | |
| 雅俗共賞 | 劉備 | 趙雲 | |
| 俗 | 張飛 |
| 階層 | 人物の例 | 必要な知恵 |
|---|---|---|
| リーダー | 劉備(玄徳、昭烈帝) | 大戦略(暗黙知、結晶性知能、知性的) |
| スタッフ | 諸葛亮(孔明) | 戦略(形式知、流動性知能、知能的) |
| ライン | 関羽、張飛 | 戦術 |
| フロント | 趙雲 | 戦闘術 |
| フリー | 簡雍 | 技術、ユーモア、その他 |