幾何学セミナー

場所:明治大学生田キャンパス
世話係:吉田尚彦


Last updated 27 November, 2013

12月18日(水)16:30 -- 18:00, 第二校舎A館A205

山本 光 氏 (東大数理)

トーリックカラビヤウ多様体の中のラグランジュ部分多様体の構成とそのフローについて

概要: トーリック(概)カラビヤウ多様体の中に実形とモーメントマップを使ってラグランジュ部分多様体の具体例を構成する.できたラグランジュ部分多様体は必ず(重み付き)ハミルトン安定なラグランジュ部分多様体になり,さらにある条件を満たすと特殊ラグランジュ部分多様体になる.また,これらの具体例を(一般化)平均曲率流で流した場合の動きも具体的に分かる.この構成法はC^nにおいてすでに知られていた様々な具体例のトーリック多様体へのある種の拡張と思える.

参考文献:
  1. R. Harvey and H. B. Lawson, Jr, Calibrated geometries, Acta Math. 148 (1982), 47-157.
  2. Yng-Ing. Lee and Mu-Tao. Wang, Hamiltonian stationary cones and self-similar solutions in higher dimension, Trans. Amer. Math. Soc. 362 (2010), no. 3, 1491-1503.
  3. D. Joyce, Special Lagrangian m-folds in C^m with symmetries, Duke Math. J. 115 (2002), no. 1, 1-51.


11月27日(水)16:30 -- 18:00, 第二校舎A館A205

阿部 拓 氏 (首都大学東京)

重み付きグラスマン軌道体のシューベルトカリキュラス

概要: 本講演では重み付きグラスマン軌道体のシューベルトカルキュラスについて説明する。特に、重み付きシューベルト類の定義、その構造定数について説明する。また、グラスマン多様体のシューベルト類はシューア多項式によって代表されることが知られているが、この結果が重み付きの場合にどのように一般化されるかを説明する。本研究はKAISTの松村朝雄氏との共同研究である。

参考文献:
  1. H. Abe, 重み付きグラスマンのシューベルトカルキュラスと対称多項式, RIMS講究録に収録予定
  2. H. Abe, T. Matsumura, Equivariant cohomology of weighted Grassmannians and weighted Schubert classes, http://arxiv.org/abs/1207.2216


7月11日(木)16:30 -- 18:00, 第二校舎A館A205

安武 和範 氏 (明治大学)

接束の外積がネフである多様体の構造について

概要: 森重文氏によって,接束が豊富である多様体が射影空間に限る(ハーツホーン予想)ことが示されて以降,その一般化が考えられる中で,接束(もしくはその外積束)の正値性は多様体の構造に非常に強い制限が課せられることが分かってきた.例として,接束の 2 階の外積が豊富である多様体は射影空間および非特異 2 次超曲面に限ること(趙-佐藤の定理),接束が数値的非負であるファノ多様体は有理等質空間に限ること(Campana-Peternell予想,4 次元以下で正しい,一般次元では未解決)等があげられる. 本講演では,数値的非負ベクトル束の性質および森理論(特に端射線収縮射の構造)についての基本性質について紹介した後,上記 2 例のさらなる一般化として,接束の外積がネフである多様体の構造についてお話ししたい.特に,小平次元が 0 の場合はアーベル多様体のエタール商に限ること,接束の 2 階の外積が数値的非負であるファノ多様体でピカール数が 2 以上のものは,Campana-Peternell予想を仮定すると,有理等質空間以外には射影空間の 1 点におけるブローアップに限ることの証明を解説する.

参考文献: 講演内容について
  1. Frédéric Campana and Thomas Peternell, On the second exterior power of tangent bundles of threefolds, Compositio Mathematica 83 (1992), no.3, 329-346.
  2. Jean-Pierre Demailly, Thomas Peternell and Michael Schneider, Compact complex manifolds with numerically effective tangent bundles, J. Algebraic Geom. 3 (1994), no.2, 295-345.
  3. Jun-Muk Hwang, Rigidity of rational homogeneous spaces, Proceedings of ICM 2006 Madrid, volume II, 613-626, European Mathematical Society, 2006.
森理論(特に端射線収縮射の構造)について
  1. J. Kollár, 森重文,双有理幾何学,岩波書店,1998.
  2. J. Wisniewski, On contractions of extremal rays on Fano manifolds, J. Reine Angew. Math. 417 (1991), 141-157.


6月6日(木)16:30 -- 18:00, 第二校舎A館A205

笹平 裕史 氏 (名古屋大学)

第一Betti数が1の3次元多様体に沿ったBauer-Furuta不変量の貼り合わせ公式

概要: 第一Betti数が1の3次元多様体に対して, Seiberg-Witten-Floer安定ホモトピー型を定義する。さらにそれを用いてBauer-Furuta不変量の貼り合わせ公式を構成する。

参考文献:
  1. P. B. Kronheimer, C. Manolescu, Periodic Floer pro-spectra from the Seiberg-Witten equations, arXiv:math/0203243v1
  2. C. Manolescu, Seiberg-Witten-Floer stable homotopy type of three-manifolds with b_1=0, Geom. Topol. 7 (2003), 889-932.
  3. C. Manolescu, A gluing theorem for the relative Bauer-Furuta invariants, J. Differential Geom. 76(2007), no.1, 117-153.


5月9日(木)17:00 -- 18:30, 第二校舎A館A205

服部 広大 氏 (東京大学)

Taub-NUT変形の一般化

概要: C^2上のユークリッド計量は,超ケーラー計量の最も簡単な例である.C^2上には,四元数としての代数構造を保つ自然なS^1作用が存在するが,この作用を用いてユークリッド計量を変形し,Taub-NUT計量と呼ばれる非平坦な超ケーラー計量を構成できることが知られている.この描像は,超ケーラー多様体にトーラスが作用する場合に一般化されているが,本講演では,非可換なコンパクトリー群の作用を用いた超ケーラー計量の変形について解説する.

参考文献:
  1. K. Hattori, A generalization of Taub-NUT deformations, arXiv:1301.5424
  2. P. B. Kronheimer, A hyperkahler structure on the cotangent bundle of a complex Lie group, arXiv:math/0409253
  3. H. Nakajima, Instantons on ALE spaces, quiver varieties, and Kac-Moody algebras, Duke Math. J. Volume 76, Number 2 (1994), 365-416.


2012年度の幾何セミナー