- 1. 免疫とは
- 2. 急性運動の影響
- 3. 慢性運動の影響
- 4. コロナウイルスへの影響
1. 免疫とは
免疫は以前では一度かかった病気には再びかからない、またはかかっても軽くすむ仕組みとしてとらえられていましたが、最近では「自己」と「非自己」を認識し、「非自己」である異物を除去する能力であると考えられるようになっています。つまり病原である細菌やウイルスに対する抵抗力だけではなく、がん化や感染により変性した細胞を除去する能力も含みます。免疫系は神経系や内分泌系とともに生体のホメオステイシスを維持しています。このように身体の防衛力の重要な機能ですが、花粉症やアトピーなどのアレルギー、自己免疫疾患、臓器移植の際の拒絶反応のような不都合な反応をおこすこともあります。
免疫にはさまざまな物質が関係しますが、主役は白血球です。白血球には好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞、NK細胞)、単球などがあり、オーケストラのように役割を分担して機能しています。
白血球
好中球:末梢血白血球の50〜60%を占め、貪食作用と活性酸素の殺菌作用によって侵入してきた細菌を破壊します。
好酸球:末梢血白血球の2〜4%を占め、寄生虫などの大きな対象に対して傷害性もつとともにアレルギーの発症や抑制に関与します。
好塩基球:末梢血白血球の約1%を占め、ヒスタミンやヘパリンを含む顆粒を持つためアレルギー反応に関係します。
単球:末梢血白血球の2〜6%を占め、貪食作用を持つ細胞で、血管から組織へ移動し、樹状細胞やマクロファージへ分化します。
リンパ球:末梢血白血球の30〜40%を占め、獲得免疫や細胞性免疫の中心的な役割を果たす。ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞、NK細胞などの分画があります。
ヘルパーT細胞:リンパ球の安静時分画で末梢血リンパ球の約50%を占め、抗原提示細胞により活性化し、キラーT細胞やB細胞を活性化します。
キラーT細胞(CTL):リンパ球の安静時分画で末梢血リンパ球の約30%を占め、ヘルパーT細胞からのサイトカインにより傷害活性を発揮します。
B細胞:リンパ球の安静時分画で末梢血リンパ球の5〜20%を占め、ヘルパーT細胞からの活性化刺激により、抗体産生を行います。
NK細胞:リンパ球の安静時分画で末梢血リンパ球の10〜20%を占め、病原となるウイルスや変異細胞(がん化や感染による)を傷害します。