ICTメディア編集1 2025516 「画像処理:フィルタ処理」 p.3

 

「シャープ化

 

ぼけた画像を鮮明にすること「シャープ化」といいます。

 画像中のあるピクセル(画素)を処理するには,そのカラー値(または明るさの値、輝度値)に、行列の中心の係数をかけます(かけ算を行う)。

次に,中心のピクセルの周囲のピクセルにも行列のそれぞれに対応する係数をかけます。そして算出された結果の和を合計し中心のピクセル値とします。この処理をすべてのピクセルについて行います。

「シャープ化」のフィルタ行列の係数のは 1 になっています。 

はじめに簡単な一次元の配列で考えてみます。 

-1

3

-1

フィルタ行列が上図のような構造を持っていたとします。これを用いて下図のような配列を処理してみます。

.....

f[i-3]

f[i-2]

f[i-1]

f[i]

f[i+1]

f[i+2]

f[i+3]

f[i+4]

.....

.....

100

100

98

90

60

52

50

50

.....

すると

        f[i]に上記のフィルタ行列で処理した場合

            98×(-1)=-98

            90× 3  =270

            60×(-1)=-60

        よって、f[i] = -98+270+(-60) = 112

以下同様に,すべての配列について計算すると 

.....

f[i-3]

f[i-2]

f[i-1]

f[i]

f[i+1]

f[i+2]

f[i+3]

f[i+4]

.....

.....

100

102

104

112

38

46

48

50

.....

 

となります。これらをグラフ化して見てみます。グラフ化の文字をクリックしてください。

 赤が元の値,黄緑がフィルタ行列で処理したものです。上記の処理をすることによって少し尖った曲線が得られますこれが,シャープ化の原理です。

上記の例からもわかるように、ピクセルのカラーの値(あるいは明るさの値、輝度値)の変化が大きい部分が強調されることがわかります。

 

【実 習】

では、実際に下に示す少しぼやけた画像をシャープ化してみましょう。

実習の手順(ユーザ定義フィルタ)については、「実習の手順(Paint Shop Pro版)」をもしくは、「実習の手順(GIMP版)」クリックしてください。

 

(risu3.jpg)

上の画像をコンピュータに取り込んでみてください。


シャープ化のフィルタ例 

 

 シャープ化のフィルタも様々なものが考えられ、またその効果も様々です。例として以下のような2つの2次元のフィルタを考えてみます。

 このフィルタ行列の下にある「除数」とは,フィルタ行列の計算に含まれるピクセルの輝度値の和を割る値です。「バイアス」とは,スケール値を用いた計算結果に加える値です。しかし,このフィルタには必要ありません。

 シャープ化のフィルタ行列は,中心の周囲を負の値で囲っています。これは、中心のピクセルの色と周囲の色とのコントラストを強めることになります。
(A)と(B)を比べてください。(B)の方が(A)よりも鮮明になっていると思います。ぼけが強い場合は、中心のピクセルの4方向(4近傍)より,8方向(8近傍)を用いて処理した方が鮮明になると思います。
このようにフィルタ行列値をいろいろ変えることで,さまざまな効果を生み出すことができます。

 

シャープ化(A)

 
 

0

0

0

0

0

0

0

-1

0

0

0

-1

5

-1

0

0

0

-1

0

0

0

0

0

0

0

除数[1]

バイアス[0]

 

シャープ化(B)

 
 

0

0

0

0

0

0

-1

-1

-1

0

0

-1

9

-1

0

0

-1

-1

-1

0

0

0

0

0

0

除数[1]

バイアス[0]

   

  加藤晋のページへ | ICTメディア編集1 | ぼかし