特色ある研究
物性理論研究室
マクロな量子現象を理論で解き明かす
楠瀬 博明 教授 | |
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1997年 | 博士(理学) 大阪大学 |
1997-2007 | 東北大学大学院理学研究科 助手 |
2001-2003 | スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH) 客員研究員(併任) |
2007-2015 | 愛媛大学大学院理工学研究科 准教授 |
2013-2014 | 東京大学物性研究所 客員准教授(併任) |
2015- | 明治大学理工学部物理学科勤務 |
渦巻き状の磁気秩序(青矢印)の発生に伴って、トロイダルモーメント(赤矢印)が発生する様子。トロイダルモーメントは電気と磁気を結びつける重要な役割を担う。
物質の多様性は、1023個という膨大な数の電子が協調的に運動することで生み出されています。 磁石や超伝導など日頃慣れ親しんだ現象も、多数の電子が織りなす量子力学の神秘が日常に顔を出したものです。 このような多数の電子が創り出す新しい量子現象を探索し、その特性と原理の解明に取り組んでいます。 特に、電子の軌道に着目した現象の開拓が最近の主要研究テーマです。 多数の電子が協調して創り出す現象は、個々の電子の運動とは全く異なる予想もつかないもので、量子多体問題と 呼ばれています。その解明に向けて、素粒子研究で発展した場の量子論の手法、最先端アルゴリズムを応用した 数値シミュレーション、様々な近似理論を柔軟に組み合わせて、物理現象の背後にあるイメージを損なわないように 配慮しながら実験家と協力して理論を構築しています。
Q: 電子の軌道とは何ですか?
A: 物質の中で運動する電子は、ひょうたん型や座布団型などいろいろな形を持っています。
固体中では、これらのひょうたんや座布団が綺麗に並ぶことがあり、その状態に磁場や電場をかけると、
これまで知られていないような変わった応答をすることが分かってきました。
このように、電子軌道の物理にはまだまだ知られていない風変わりな現象が眠っていると考えられています。
現在の研究内容
(1)スピンと軌道の複合秩序を背景とした新しい電磁・光学応答(2)強磁性と超伝導の共存が創り出す磁気超伝導連携ダイナミクス
(3)遍歴・局在の二重性を取り入れた実用的な数値計算法の開拓