光通信工学研究室では、下の3つのテーマを中心として幅広く新しいテーマにチャレンジしています。
研究紹介ビデオが公開されました。
インターネットサービスの爆発的な広がりによって、情報ネットワークを流れるデータ量は増加の一途をたどっています。情報ネットワークのバックボーンを担う光ファイバをより効率的に用いて伝送速度を上げるため、光強度変調に光位相変調を組み合わせた光QAM(quadrature
amplitude modulation)を初めとする多値変復調方式の研究が、現在、活発に行われています。
私達の研究室では、より高速で周波数利用効率の高い変復調方式を目指して研究を進めています。多値度を上げながらも変調器構成を複雑にせず、かつ消費電力の小さい変復調システムが求められています。
光ファイバ通信における高度な多値変調方式を可能としている重要な技術としてディジタル信号処理があげられます。その主な機能として1)復調のために必要なキャリヤ位相を計算的に推定・復元することや、2)偏波変動の吸収や偏波多重の分離、3)変復調時及び光ファイバ伝送中に生じる信号の歪み補償などがあります。しかし、ディジタル信号処理に頼り過ぎると電子回路の負荷が大きくなり消費電力や遅延などの点で不利になるといった面もあります。私達の研究室では、ニューラルネットワークなどの機械学習を用い、光ファイバ通信のための新しいディジタル信号処理アルゴリズムの研究を進めています。
下の図は、ディジタル信号処理を用いた予等化によって、64QAMの波形歪みの補償を行った実験結果です。この実験における信号は、2008年9月から2009年9月までの間、世界最速の64QAMでした。(Y.Kamio,
et al., ECOC2008, Tu.1.D.3)
通信信号にパイロットキャリアや位相共役光といった信号を付加して伝送することによりキャリア位相の回復を容易にしたり、波形歪み特性を改善したりすることができます。私達の研究室では、強度変調パイロットキャリア方式や位相共役ツインSSB方式など、独自の新しい技術を開発し、研究を進めています。
位相共役ツインSSB信号の変調方法。シンプルな強度変調器により実現することが可能です。(R. Nakagawa, et al., OECC2019, TuP4-B9)
ツインSSB信号の新しい受信方式の提案。(M. Nakamura, et al., IEICE Commun. Express, v.8, p.305, 2019.)