研究概要


  1. 強相関電子系の双対性に由来する物性の解明

    量子力学的な粒子である電子は波と粒子の二面性をもっている。 電子間のクーロン相互作用が強い遷移金属、希土類化合物といった系では特徴的なエネルギースケールが小さく、温度・電磁場・圧力のわずかな変化によって、どの側面が現れるかが容易に移り変わる。 この二面性に由来した超伝導や磁性など多彩で特異的な物性現象をミクロな立場から解き明かしている。

  2. 軌道自由度がある系の秩序と揺らぎの基礎理論

    結晶中の電子がもつ軌道の自由度は、従来の磁気・電荷秩序の枠に収まらない未知の秩序を生み出す重要な要素であり、そのような秩序に由来する新しい動的応答や輸送現象の可能性も秘めている。 軌道自由度をもつ系の秩序と揺らぎに関連する基礎的な理論の構築に取り組んでいる。

  3. 実用的数値計算法の探索

    膨大な数の粒子が相互作用する量子系では、複雑な人間関係と同じように容易に解は見つからない。 すべてを計算機に頼る解法は小さな系にしか適用できず、物理のエッセンスも摑みにくい。 エッセンスを残しつつ実用に耐える量子多体系の近似的な数値解法を探索している。


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