主な研究テーマ

◆ ボディエリアネットワーク・センサネットワークのための超広帯域無線通信・測位方式に関する研究

 近年,無線通信を医療や福祉の現場に応用するための研究が盛んに行われています。 その利用例として、屋内にRFIDなどの無線ICタグやカメラを利用したセキュリティセンサを取り付ける施設が急増しています。 しかしながら、無線ICタグを用いたものはタグを持っていない物体の検出が困難であり、また、カメラを用いたものはプライバシーの問題が存在します。 さらに、災害現場やセキュリティ現場等では無線ICタグを持たない人の状態も検出することが要求されます。 そこで,本研究室では非常に広い帯域幅を持ち距離分解能に優れている超広帯域無線(UWB:Ultra Wide Band)をレーダに応用し、無線ICタグを持たない人の状態を検出すること を目標としています。UWB信号は500〔MHz〕以上の帯域幅を持ち、時間幅の非常に短いパルスを用いていることから、レーダに応用することで、距離分解能が高く 高精度な位置推定が可能と考えられます。加えて、UWB信号は広帯域で低出力であるため他システムへの影響が少ないと考えられ、センサネットワークや医療現場においての使用 を考えると非常に理想的な技術です。

◆ 次世代無線ネットワークのための周波数利用法に関する研究
 地上ディジタル放送や携帯電話等のディジタル無線技術が発展していく中で、周波数帯域の確保が問題となっています。 一方で、周波数を割り当てられたシステムの中で周波数帯域を効率よく利用しているとはいえないものも存在します。 そこで、本研究室ではコグニティブ無線と呼ばれる無線技術を用いることにより、時間によって使用されない周波数帯域を認識し、通信を効率よく行う方式に関して 研究を行っています。

◆ 医療情報支援のための無線通信システムに関する研究
 少子高齢化、そして医療従事者の減少に伴い、医療ICT(Information & Communication Technology)という概念が近年生まれました。これはICTを用いて医療従事者及び患者を支援しようという考えです。その中でも本研究室では無線通信を用いた医療情報支援を研究しています。具体例としては心電図測定の無線化が挙げられます。従来は心電図を測定する場合、患者は何本ものケーブルを取り付けられ、ベッド上で長時間の安静が求められていました。ケーブルを無線化すれば、測定中でも自由に動くことができ家に居ながらの測定が可能となるため、患者の時間的・肉体的負担は大きく軽減されるでしょう。しかし、無線の場合、有線では起こらなかった様々な問題が発生します。第一に無線機は体表に設置するため、人体に害が無い無線システムでなくてはいけません。また、人体が動くことにより、うまく電波が送受信できないという現象(フェージング)が起きてしまいます。その様な問題をどうすれば解決できるのかを(新システムの構築や誤り訂正符合化技術を用いて)研究しています。

◆ 高信頼・制御のための無線通信に関する研究
 病院内で患者の負担を減らすため、工場内でロボットが自由に移動できるためになど、今まで有線で情報を伝えていたところを無線に置き換える流れが急速に進んでいます。しかし、無線を利用し病院内で医療情報を送ったり、工場内でロボットを制御する際、それらの情報は確実に送受信される必要があります。本研究室では病院内や工場など、無線環境に対して厳しい制約がある中でも高い信頼性を持って情報を送受信できるような無線システムを目指して研究しています。

◆ MIMO無線通信に関する研究
 MIMO(multiple-input multiple-output)システムは、送信側と受信側で複数のアンテナを持つことにより伝送信号を空間多重することで、使用する周波数帯域を増やすことなく信頼性やスループットを向上させることができるシステムであり、LTEやモバイルWiMAX、そしてIEEE 802.11nやIEEE802.11acといった近年の高速な無線LAN規格で採用されています。本研究室では、通信を行う人・物が移動したり環境自体が時間変化する場合や、マルチホップ中継伝送を行う場合のMIMOシステムに着目し、これらの通信性能を向上させるための研究を行っています。

博士論文テーマ

2016年度卒
● 特異値分解の特徴に着目した時変動チャネルにおけるMIMO通信システムに関する研究(洞井裕介)

2007年度卒
● 超広帯域無線方式における周波数共有技術に関する研究(大野光平)

2006年度卒
● インターネットにおける動的QoSスケジューリングに関する研究(皆川忠相)

修士論文テーマ

2020年度卒
● 干渉波環境および WBAN 環境を想定したPPM-UWB 通信に関する研究(田中健介)
● 上り回線非直交多元接続における機械学習を用いた干渉除去技術選定の検討(山本典瑛)
● 海底チャネルを考慮して電波を用いた海中無線通信に関する研究(横山大騎)

2019年度卒
● 920MHzの分散アンテナシステムを用いた工場用高信頼無線通信(飯塚椋)
● UWB 端末間通信におけるネットワーク形成時の端末発見に関する考察(齋藤豪)
● 将来無線ネットワークに向けた非直交多元接続方式~干渉抑圧技術に対する受信可能電力の実験的検証~(佐藤拓真)
● 920MHz帯屋内低速通信の伝搬および干渉特性に関する研究(鈴木博貴)
● A Study on Location Estimation using Direct Sequence Chirp Signal(Mohammad Mikal bin Amrul Halim Gan)

2018年度卒
● UWB-MIMO伝送を用いた無線ボディエリアネットワークに関する研究(石井君季)
● 無線ボディエリアネットワークにおけるPolar符号の検討(長田謙志郎)
● 協調伝送方式による無線ボディエリアネットワークの信頼性向上に関する研究(小坂達也)
● 無線ボディエリアネットワークの通信路状態を考慮したMACスーパーフレーム構成に関する研究(志塚雅明)

2017年度卒
● 窓関数処理を施したOFDM変調UWB信号の与干渉回避に関する研究(木澤雅和)
● 回線設計解析による無人航空機システムの通信性能評価(白木智之)
● アドホックネットワークにおける端末移動および消費電力を考慮した通信性能評価(傳田渉)
● 無線LANの階層制御によるQoS保証に関する研究(古屋翔大)

2016年度卒
● 相互相関関数を用いたMB-OFDM-UWB信号による電力遅延プロファイル測定の提案と評価(岡本拓也)
● 受信信号の位相変化を用いた歩行速度推定による歩行者支援用ITSの検討(嶋村優眞)
● Performance Study of Relay Nodes in Cooperative Transmission for Wireless Industrial Network(Nur Alyaa)
● MIMO-OFDMマルチホップ中継伝送の通信性能向上に関する研究(安良岡優)

2015年度卒
● 920MHz工場内通信の信頼性向上を想定した協調伝送方式に関する研究
● UWB-IR RAKE受信方式を用いたボディエリアネットワークに関する研究
● Zigbeeと無線LANの共存環境におけるアクセス制御方式に関する研究

2014年度卒
● 920MHz 帯センサネットワーク用無線通信の電波伝播特性
● コグニティブ無線による周波数共用のための信号検出技術の検討
● 無線パケット通信における時間占有率を利用した混雑度推定に関する検討
● UWBレーダを用いた生体情報取得に関する一考察
● 直接拡散方式のパルスデューティー比に関する研究
● 高信頼無線通信のための協調伝送方式—移動する障害物が存在する通信環境での特性評価について—

2013年度卒
● 海中における電磁波利用無線通信に関する研究
● 小型無人航空機間無線リンクの通信性能評価
● フィードバック制御を想定した無線通信システムの研究
● UWBレーダを用いた生体情報の検出に関する研究

2012年度卒
● 超広帯域無線信号による非侵襲呼吸検出手法の研究
● 他通信システムとの干渉回避のためのUWB信号検出の検討
● 超広帯域無線を用いたボディエリアネットワークのMACパラメータ最適化検討
● UWBレーダを用いた屋内人体位置検出に関する研究
● 無線ボディエリアネットワークのパケット伝送におけるMACスーパーフレーム構成の最適化に関する研究
● パケット衝突回避適用に向けたUWB信号検出に関する研究
● WFQを用いたQoS制御に関する研究

2011年度卒
● UWBを用いた測位・無線分散ネットワークに関する研究
● UWB無線分散ネットワークに関する研究
● コグニティブ無線における周波数チャネル選択法に関する研究
● Body Area Networkの伝搬評価と高信頼化のための符号化に関する研究
● UWBレーダによる事前環境推定を用いた人体位置検出に関する研究

2010年度卒
● UWBレーダの人体位置推定における精度向上について

2009年度卒
● 医療生体情報の相関を利用した情報源・通信路統合符号化
● 医療支援無線利用環境における電波伝搬測定と統計モデル構築に関する研究

2008年度卒
● RSSI方式によるセンサネットワークの端末位置推定に関する研究
● 超広帯域信号を用いた屋内環境における人体位置検出に関する研究
● 病院内環境におけるUWBチャネル測定と無線伝送評価に関する研究
● センサネットワークにおける位置推定および情報収集技術に関する研究
● UWB-Raderによる生体情報抽出及び性能評価

2007年度卒
● センサネットワークにおけるRSSI方式を用いた簡易位置推定方法に関する研究
● メッシュ型ネットワークにおけるパケット伝送に関する研究
● コグニティブ無線通信システムにおけるマルチバンド周波数ダウンコンバージョン方式に関する研究
● UWBシステムと他通信システムとの周波数共用に関する研究
● 広帯域拡散信号を用いた長距離低速通信に関する研究

2006年度卒
● UWB伝送路周波数特性補償に関する研究
● UWBを用いた衛星間測距・測位に関する研究
● メッシュネットワークにおけるMAC及びルーティング方式に関する研究
● ソフトウェア無線による周回衛星再生中継に関する研究

2005年度卒
● 周波数領域拡散を用いたMC-SS-MB-OFDM方式の遅延波の影響に関する検討
● センサネットワークにおけるTDoA位置特定法のノード配置評価
● 包絡線検波を用いたUWB方式における被干渉の影響評価
● 屋内伝搬環境におけるUWBの受信特性に関する研究

2004年度卒
● アドホックネットワークにおける動的ウェイト割り当てを用いたメディアアクセス制御方式に関する研究
● ソフトウェア無線方式における周波数オフセット補償に関する研究

2003年度卒
● UWBにおける被干渉の軽減法に関する研究

2002年度卒
● H方式を適用した車々間アドホック通信プロトコルに関する研究
● 低軌道周回衛星システムにおける準同期CDMAに関する研究
● マルチモード・マルチタスクソフトウェア無線通信システムにおけるフレキシブルシンボルタイミング同期法に関する研究
● ウェーブレット変調を用いたUWBに関する研究
● 移動体衛星通信における適応CDMA ALOHA方式に関する研究

2001年度卒
● CDMA-ALOHA方式の特性比較と移動体衛星通信路の状態変化に関する研究

2000年度卒
● 定包絡線信号の復調における受信帯域制限に関する研究
● 参照系列を使用したDBF受信アレーアンテナの較正法
● CDMA-ALOHA方式を適用した移動体衛星通信に関する研究
● GMSK拡散変調の直交同期復調に関する研究
● 直交ウェーブレットを用いた変調方式の特性に関する研究
● マルチビーム低軌道周回衛星CDMAシステムのキャパシティに関する研究