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報告:明治大学現代中国研究所主催「六四30周年シンポジウム」を開催いたしました。

《開催報告》

「六四・天安門事件を考える」
日時:2019年6月1日(土)10:00~17:00(開場9:30)
場所:明治大学 グローバルフロント1階 多目的室

 中国の現執行体制の基礎を形作った天安門事件を世界史レベルにおいて再検討することは、グローバル化した世界の政治・経済システムにおいてますます存在感を増している中国の今後のあり方を考え、習近平体制の今後のゆくえを見定めるための、必要不可欠な前提作業となっている。この公開シンポジウムでは、天安門事件研究の世界的権威であるA・ネイサン氏(コロンビア大学教授)をお招きして基調講演をいただくとともに、日本国内の天安門事件研究の第一人者である矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授)にコメントしていただいた。そのうえで、さらにアメリカからお招きしている天安門事件との関係の深い歴史的証人、王丹氏(華府智庫/対話中国代表)、胡平氏(『北京之春』雑誌社主編)、および張博樹氏(コロンビア大学客員教授)の三人から、その歴史的意義についてそれぞれご報告いただき、広く参加者(延べ250人)とともに議論し、今年30周年目を迎えるこの世界史的事件へのさらなる理解を深めることができた。

プログラムは以下の通りである。

《プログラム》

10:00~10:10 開会挨拶 石井知章
10:10~11:30 基調講演「習近平と天安門の教訓」Andrew J. Nathan(コロンビア大学教授)

〈講演要旨〉
 すべての権力を自らに集中し、党と社会に厳しい規律を課しつつ、習近平は中国共産党指導者が天安門事件の危機から学んだ教訓のもとで行動している。それは第1に、中国共産党は国外の敵と共謀する国内の敵から永久的包囲攻撃の下にある、ということである。第2に、経済改革とはつねに社会的コントロールとイデオロギー的規律の次に行なうべきであり、第3に、もし党自らが内部分割するようなことを許せば、党はそうした敵によって覆されるであろうということである。だが習は、なによりも1989年の危機を生成した根本的ジレンマを解決しなかった。中国がグローバル経済、技術的近代化への関与によって得られる富と権力を追求すればするほど、学生、知識人、および立ち上がりつつある中産階級は、党が人々に強要しているイデオロギー的規律をますます受け入れ難くなっている。さらに、いかなる党内派閥主義の突発的生起をも阻止すべく、巨大な権力を自らに集中し、自らの任期を撤廃することで、習近平は将来の権力後継という危機回避のための前提条件をつくりあげたのである。

11:30~11:40 休憩
11:40~12:00 コメント 矢吹 晋(横浜市立大学名誉教授)
12:00~12:30 質疑応答
(昼休み)
13:30~15:10 六四・天安門からの現地報告
13:30~14:20 報告「六四・天安門事件の歴史的意義」王丹(華府智庫/対話中国代表)
14:20~15:10 報告「『六四』は中国を変え、世界も変えた」胡平(『北京之春』雑誌社主編)
15:10~15:20 休憩
15:20~16:10 総括報告「30年後に『六四』を考える」張博樹(コロンビア大学客員教授)
16:10~17:00 質疑応答(登壇者・フロア)

司会:石井知章(明治大学教授)
通訳:徐行(北海道大学准教授)、及川淳子(中央大学准教授)