2026年度行事報告
第1回例会マンガ『夜明けの図書館』の監修経験と講義での活用
2026年6月20日(土)、明治大学駿河台キャンパスリバティタワー1073教室にて「明治大学図書館情報学研究会2026年度第1回例会」が開催されました。今回は、立教大学兼任講師の吉田倫子先生に、「マンガ『夜明けの図書館』の監修経験と講義での活用」と題してご講演いただきました。このマンガは図書館のレファレンスサービスを題材にしています。参加者は本学司書課程・司書教諭課程の履修生を中心に学生34名、外部聴講者8名の計42名に上りました。本学文学部の齋藤泰則専任教授の開会挨拶の後、吉田先生の講演が行われました。
講演では、まず監修者・協力者として『夜明けの図書館』にどのように関わってきたか、初期・中期・後期の三期に分けてお話がありました。長い連載期間の中で、信頼関係が構築され、チームとしての一体感が高まり、より広く深く協力できるようになったそうです。
初期は、作者の埜納先生と編集者の質問に応えて、レファレンステクニックやサービスなどの説明を行っていました。しかし中期になると、吉田先生からテーマを提案するなど、待ちの姿勢から攻めの姿勢へと変わっていったといいます。後期には、編集チームに「伴走」する気持ちで、寄り添うような関わり方をするようになりました。当時はまだあまり事例のなかったディスレクシアの利用者へのサービスについて描いてもよいものか悩む埜納先生を後押ししたり、内容に踏み込んだ意見を言ったりすることもあったそうです。
続いて、授業で『夜明けの図書館』をどのように活用しているかについて説明がありました。まず、受講生にマンガを読んで感想を書いてもらい、内容のネタバラシをしながら関連するサービスの説明をする、という形で講義を行っているそうです。こうした形式をとることによって、受講生はレファレンスの疑似体験ができます。実際に、受講生からは、「人の感情を交えた図書館の様子は、マンガだからこそ理解できた」といった声が寄せられたそうです。
最後に、吉田先生から「世界にこのマンガを羽ばたかせたい」という今後の展望が語られました。具体的には、2026年7月に国際図書館連盟(IFLA)が韓国・釜山で開催する世界図書館情報会議(WLIC)・年次大会でも『夜明けの図書館』について短い発表をするそうです。
質疑応答では、学生、外部聴講、双方の参加者から多数の質問がありました。吉田先生からは、マンガの話数を挙げながら回答がなされました。参加者は、このマンガには吉田先生の長年の経験が詰まっていることを改めて実感できました。
本講演は、図書館で何ができるのか、レファレンスサービスとは何か、といったことを考え直す大変貴重な機会となりました。吉田先生をはじめ、この講演に関わってくださった全ての方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。
文責:玉川 美咲(明治大学大学院)

第2回例会生成AIを活用した図書館業務の現在と今後―生成AI時代の図書館員に求められるもの―
2026年10月10日(土)、明治大学駿河台キャンパスリバティタワー1073教室にて「明治大学図書館情報学研究会2026年度第2回例会」が開催されました。今回は、新潟大学学術情報部長の高橋菜奈子先生に、「生成AIを活用した図書館業務の現在と今後」と題してご講演いただきました。生成AIの台頭によって図書館の現場で実際に起きていることや、これからの展望をお話いただきました。本講演には、本学司書課程・司書教諭課程の履修学生38名、外部聴講者8名の計46名が参加しました。本学文学部の齋藤泰則専任教授の開会挨拶の後、高橋先生の講演が行われました。
講演では、図書館利用者による生成AIの活用方法を紹介しながら、図書館の現場にどのような影響があるのか、図書館職員は今後、生成AIをどのように役立てていくべきかをお話いただきました。図書館職員、学生、そして図書館利用者にも大変参考になる内容でした。
高橋先生は、まず、生成AIの利用調査の結果や、生成AIの仕組みと特徴など基本的なお話をされました。調査では、仙台大学が行った結果をもとに、利用者の属性を問わず情報収集や論文探索を目的とした利用が多いこと、2025年の時点で既に60%超の学生がレポート作成に生成AIを利用していることなどを紹介されました。
次に、生成AIを使ってレポートが書けるのか、という実験的試行を実際のプロンプトと共に紹介されました。その結果、プロンプトエンジニアリングが重要となることや、先行研究の情報収集では網羅性に課題が残るものの、学術情報の初期探索やテーマの検討には有効であることが分かりました。同時に、利用者には「生成AIによる出力結果を評価する力」が求められていることを教わりました。また、現在では、生成AIを使うことである程度の情報収集が可能となっているため、図書館でのレファレンスにも、これまでとは異なる技術が求められるようになるといいます。具体的には、対話を通して利用者に寄り添うことで伴走する意識を持つことや、利用者への教育的配慮や、学習支援を行うことが挙げられます。このように利用者との関係性を深めたり、図書館職員の人間力を高めたりすることが重要なポイントとなってくることが指摘されました。
最後に、生成AIの台頭により変化する図書館業務と図書館職員の役割についても言及されました。生成AIの機能向上によって、創造性や正確性が求められる業務にも活用が進むことで、図書館職員には生成AIが思いつかないような、さらなる創造性が求められてくるといいます。今後は、生成AIを活用した取り組みを図書館として模索し、サービスの充実を図るのか、利用者ニーズの変化に合わせた問いの設定ができるのかが重要となるとの指摘がなされました。
質疑応答では本学学生を中心に、今後の図書館業務における生成AIの活用例や、図書館の価値や機能の変化について質問がありました。高橋先生は、具体的な図書館の事例やインターネット普及の状況などを引き合いに出しつつ回答されました。参加者は図書館現場での試行錯誤や苦慮する様子について知ることができました。
本講演は、生成AIとの向き合い方や変化する環境下での図書館のありかたを考える上で大変貴重な機会となりました。高橋先生をはじめ、この講演に関わってくださった全ての方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。
文責:菊地 玄椋(明治大学大学院)


