明治大学理工学部物理学科 Department of Phisics, Meiji University

特色ある研究

宇宙物理実験研究室

自ら作った装置で宇宙の謎を明らかに

佐藤 寿紀 専任講師
佐藤 寿紀 専任講師
2013年 首都大学東京(現 東京都立大学) 都市教養学部 都市教養学科 理工学系 物理学コース 卒業
2015年 首都大学東京大学院 理工学研究科 物理学専攻 博士前期課程 修了
2016年 ラトガース大学 (米国) 訪問学生研究員
2016年 - 2018年 日本学術振興会 特別研究員 (DC2)
2018年 首都大学東京大学院 理工学研究科 物理学専攻 博士後期課程 修了
博士(理学) 取得
2012年 - 2018年 JAXA宇宙科学研究所 (連携大学院制度で所属)
2018年 - 2021年 理化学研究所 基礎科学特別研究員
2018年 - 2020年 NASAゴダード宇宙飛行センター 客員研究員
2021年 - 2023年 立教大学 理学部 物理学科 助教
2023年 - 明治大学 理工学部 物理学科 専任講師
横山 大輔
太陽の約10倍以上重い星が起こした超新星爆発の残骸「カシオペア座A」(Credit: NASA)。重い星の死は、中性子星やブラックホールの工場でもあります。

  我々人類は、現在の宇宙でどうやって誕生したのでしょうか?ビックバン直後の生まれたての宇宙には、水素とヘリウム(と少しのリチウム)しか存在していませんでした。つまり、地球や我々人類の身体すらも作ることが出来ない姿で宇宙は誕生しています。そして、現在宇宙に存在する元素のほぼ全ては、星の内部や星が死ぬ時に起こす大爆発「超新星」による核融合反応で供給されてきたと考えられています。約138億年の宇宙年齢の間に、無数の星が生まれ、爆発し、現在の豊かな宇宙を形成しています。我々が取り組む大きな謎の一つは、この「元素の起源」です。物理の力を使って、どのようにして元素が誕生し、このような生命が宿る世界にこの宇宙が進化して来たかを明らかにしていきたいと思っています。
  研究室では観測装置も開発しています。近年では、重力波やニュートリノ、電磁波など、宇宙から様々なシグナルが観測されています。その中で我々が着目するのは「X線」であり、一千万度を超えるような熱く激しい天文現象からの情報が得られます。そして、X線は地球の分厚い大気に吸収されてしまうため、衛星や気球などの飛翔体を用いた観測が必要になります。自分達で開発を進めた機器をロケットで宇宙まで運んで観測までするのは、本当に難しい実験です。世界中の研究者と一致団結して、宇宙を目指しています。

Q: 星が死ぬとはどういうことですか?物理と関係あるのですか?
A: 太陽のような自ら輝く星は、星の内部の核融合反応で自身の重力を支えながら光っています。その核融合でエネルギーを得られなくなった時、星は「死ぬ」と考えられています。太陽もいずれ死ぬため、人類は太陽系には永遠に住むことができません。天体現象の理解には、力学・電磁気学・熱統計力学・量子力学・相対論など、学部で習う様々な物理を組み合わせて挑む必要があります。例えば、巨大な星を支えるために「量子トンネル効果」が必要など、幅広い物理が絡み合っており、とても面白いです。

Q: 研究室ではどんな事をしますか?どんな事が身につきますか?
A: 主には「天体観測データの解析・解釈」「衛星試験データの解析・解釈」「宇宙望遠鏡の作製とその評価」「将来衛星計画の検討」「天体や装置の数値計算・シミュレーション」などを通して、科学成果(学会発表や学術論文)に繋げる事を目指します。研究では、宇宙物理・天文の知識だけでなく、Python/C言語などによるプログラミング・データ解析力、ものづくり力(設計・作製・評価)、プレゼンテーション能力、文章力、英語力など、様々な能力を必要とし、それらを伸ばすことができます。本研究室では、実験・観測・理論の全てに関わるテーマを取り扱い、興味に合わせて何でも挑戦できる研究室を目指しています。

Q: 自分もJAXAやNASAに行けますか?宇宙物理では就職には困りませんか?
A: もちろん、行けます。行くこと自体は簡単ですが、そこで「何をしたいか?」が重要です。JAXAやNASAとの共同研究を通して、いろんな技術・知識を付け、自分が解明したい宇宙の謎に迫って欲しいです。また、宇宙物理分野の学士・修士・博士の様々なキャリアからの企業就職を見てきましたが、不利だと思った事は全くありません。私(佐藤)自身も就職活動経験者ですし、微力ではありますが相談に乗れると思います。また、他大学院も含めた進学や海外進出(進学・留学・滞在研究)も応援したいです。

現在の研究内容

(1)宇宙の天体現象の観測研究
(2)衛星試験データを用いた観測機器の較正試験
(3)将来の宇宙観測のための新しい観測機器・衛星の開発
(4)宇宙観測機器を用いた地上での応用研究


リサーチマップ

個人HP

研究室HP