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明治大学 理工学部 機械工学科 ミクロ熱工学研究室

              since 2010.9.1
             http://www.meiji.ac.jp/~mte_lab

研究紹介Highlight

湿度操作空気清浄法

  
  熱泳動・拡散泳動の原理と粒子輸送速度          粒子除去特性
 大気中には粒子状物質(PM)が浮遊しており,半導体・医薬品などの研究開発・製造においては,異物混入を防ぐために粒子濃度を低減したクリーンルームが使われています.大気中の粒子のほとんどは,周囲気体が自由分子流から連続流へと遷移する粒径数十~数百ナノメートルの領域に分布しています.この領域の粒子は拡散係数・質量が共に小さく,エアフィルタ等の空気清浄機器の除去性能が低下する傾向があります.本研究室では粒径依存の少ない粒子輸送現象である熱泳動と拡散泳動を利用した空気清浄法の開発を目的とし,試料空気を連続的に加熱加湿・冷却除湿する湿度操作空気清浄法の浮遊微粒子除去特性について研究しています.

ナノカロリメトリ


   MEMSカロリメータ            硫酸銅5水和物のTG-DTA
 物質の熱的な応答を利用した材料分析法である熱分析の技術を開発しています.熱分析はあらゆる物質・材料の基本的な分析や研究に利用されていますが,近年では最先端材料や新規医薬品の分野において,わずかな試料に対する熱分析のニーズが高まっています.本研究では,MEMS技術により熱分析に必要な温度センサやヒータを極微小領域に集積した片持ち梁型MEMSカロリメータを開発し,μg~ngレベルの極微量な試料に対する熱分析に成功しました.片持ち梁型構造の共振特性を利用したng質量計測法や高温域での熱分析技術を開発し,温度制御システムの高機能化を図ることで,ナノ熱分析技術の向上を目指しています.

核沸騰熱伝達機構


     沸騰研究用MEMSセンサ           孤立気泡底部の温度変動
 多数の微細温度センサを集積したMEMSセンサを用い,沸騰現象の解明を目的とした研究を行っています.沸騰は優れた熱伝達性を有するため工業的に利用されている一方で,沸騰を構成する素現象は高速で局所的に生じるため従来技術では計測が難しく熱伝達メカニズムには不明な点が残されています.今後の高性能沸騰伝熱面の創製や沸騰熱伝達予測技術の発展には伝熱機構の解明は不可欠となっています.沸騰研究用に開発したMEMSセンサを用いた伝熱面温度の計測では気泡下に形成されるミクロ液膜の蒸発や,ドライアウトなどの伝熱現象を詳細に捉えることができました.現在,計測温度を用いた数値解析を通じて伝熱特性の解明を目指しています。

沸騰気泡周囲の温度場計測

    
           干渉法による沸騰気泡周りの温度場計測
 沸騰は非常に高速かつ複雑であるため,その熱伝達メカニズムには不明な点が残されている.近年,MEMSセンサなどを用いて気泡発生時の壁面熱輸送については詳細に調べられてきているが,沸騰は固気液三相間の伝熱現象であり,液相側の温度情報を取得することは沸騰現象への理解向上へ繋がると考えられる.これまでに,顕微鏡レベルの空間分解能を有する干渉計を用いた液相温度場計測を実施し,現段階では定量的な熱輸送評価には至っていないものの,気泡界面近傍において加熱液の蒸発を示す蒸発温度境界層が世界で初めて可視化された.また,発泡前の加熱液層の状態や気泡離脱時に気泡に随伴する高温流など,巨視的な熱流動状態も得られている
                                     

ミニチャネル内の沸騰熱伝達機構

   

 微細流路内の沸騰現象は,電子機器の冷却や空調などに利用されるヒートポンプ内の蒸発器など,工業的に広く利用されています.沸騰現象は熱伝達性が優れていますが,熱伝達メカニズムに多くの未解明な点が残されており,本研究では,ガラス基板に形成したMEMSセンサとハイスピードカメラを用いた研究を行っています.これまで,低流量低熱流束条件下で,発泡に伴う急激な温度低下,ミクロ液膜の蒸発,ドライアウト,リウェッティング現象が伝熱面表面の温度変化として捉えることに成功し,基板の熱解析を通じて気泡底部のミクロ液膜の形成,蒸発特性を調べることができました.今後,実用的な条件での沸騰熱伝達機構の解明を目指した研究を進めます.
                                     

バイオカロリメトリ

     
 運動や病気の際に体温が上昇するのと同様に,生体細胞もその活動に伴い,微小な熱を発しています.しかし,細胞の発熱レベルはnW~pWレベルと極微小であるため,細胞レベルで議論されることはありません.本研究ではMEMS技術により数百本の温度センサを集積し,計測感度を極限まで高めることで,従来技術では捉えることのできなかった細胞の微小な発熱を計測し,生体活動の詳細な観察を目指しています.これまでに細菌やプランクトンの代謝熱計測を実施し,nWレベルの熱量変化を捉えることに成功しました.将来,更なる高感度化を図り,癌細胞など異常な細胞の早期検出や細胞レベルの薬効試験を通した創薬の迅速化が期待されます.
                                     

SThM(走査型熱顕微鏡)

 
   多機能カンチレバープローブ          CFRPの形状像と熱伝導性像
 原子間力顕微鏡(AFM)とMEMSセンサを組み合わせることで,計測対象の形状と温度や熱伝導性分布をナノメートルオーダーの空間分解能で計測する走査型熱顕微鏡(SThM)の開発に取り組んでいます.MEMS技術で製作したSThM用カンチレバープローブは熱電対やサーモパイル,ヒータなどの熱デバイスを搭載しています.このプローブでは,試料温度分布に対して定性的な観察を行うパッシブモード,正確な温度計測を行うアクティブモード,試料の熱伝導性や電気伝導性を測る物性計測モードが実施可能です.現在,より安定で高精度な計測の実現を目指した研究を行っています.
                                     

金属基板MEMSセンサ

        
              SUS基盤に形成した表面温度センサ
 金属基板を用いたMEMSセンサの可能性を研究しています.一般的には,MEMSセンサの基板にはシリコンやガラスといった機械的強度が弱い脆性材料が用いられますが,金属基板上にMEMSセンサを形成できれば,様々な機械に組み込むことが可能となり,MEMSセンサの応用範囲が格段に拡大できます.これまで,30mm角のステンレス基板へ温度計測用MEMSセンサを製作し,その特性を調べました.基板表面を粗さRa=2nmまで研磨し,薄膜熱電対と薄膜測温抵抗体を形成することができ,温めたセンサ上に常温の水を滴下する実験により,10,000K/s以上の高速な温度変化を捉えられることが示されました.今後は,MEMSセンサを形成した機械要素を機械へ組み込む研究を行います.
                                     

光学インジケータ

    
    マスクレス露光装置で製作したホログラム        再生像
   
     微細加工技術で作ったホログラム         計算された再生像

                                     

準備中


準備中。



                                     

住所

〒214-8571
川崎市多摩区東三田1-1-1
明治大学 理工学部 機械工学科
ミクロ熱工学研究室
(第二校舎4号館4106)

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