研究分担者 |
研究者名
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所属・職 |
研究プロジェクトにおける研究課題 |
当該研究課題の成果が
研究プロジェクトに果たす役割 |
石川日出志
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明治大学文学部・教授 | 日本列島初期農耕社会の地域性/杉原荘介資料の文化資源化 |
サブユニット研究総括/弥生時代の物資・技術・集団 |
加藤友康 |
明治大学大学院文学研究科・特任教授 |
平安時代貴族社会と日記/儀式書史料の文化資源化 |
平安時代の儀礼・都市 |
吉村武彦 |
明治大学文学部・教授 |
奈良時代の文字使用と律令法/令集解・墨書土器のデータベース化 |
支配・統治と文字の使用 |
佐々木憲一 |
明治大学文学部・教授 |
古墳時代の中央と周縁/日本古代学研究の国際化 |
都市・国家支配と地方支配 |
中村大介 |
埼玉大学教養学部・准教授 |
ユーラシアにおける交易網の復元と技術移転/金属器及び玉類の分析と文化資源化 |
東アジアにおける物資と技術の移動 |
山路直充 |
市立市川考古博物館 |
製品への記銘からみた生産と負担/記銘製品としての文字瓦の文化資源化 |
古代の瓦生産と文字 |
本研究の第1テーマでは、【1】 3つのテーマ研究の基礎として、明治大学所蔵の日本古代学研究資料群の研究資源化をはかること、およびこれを核として 【2】 「もの」(物資、技術、経済)の側面から日本古代学の国際的構築をめざす研究基盤を構築する。 【1】 の資料群とは、① 考古遺物・除秘鈔(院政期儀式書・室町期写本)など、② 考古学・民族学・日本律令学の学史上重要な杉原荘介・岡正雄・井上光貞資料および好太王碑初期石灰拓本などの拓本類、③ 明治大学日本古代学研究所の墨書・刻書土器、文字瓦データベースの3種からなる。【2】では、弥生時代から律令期までの考古学的研究を核としながら、歴史学および理化学的研究を総合し、なおかつアジア諸地域の研究者・組織との連携を強化する。
本研究テーマは、上記のように2つの研究分野からなり、このうち 【1】 日本古代学研究資料群の研究資源化に関して、以下の課題を実施する。(【1】については東京大学史料編纂所時代に実績のある加藤友康が主担当となる。)
(1) 上記資料群のデジタル撮影(約34,000カット)を行い、デジタルデータの収集と整理を行う。さまざまな属性をもつ資料群ごとに研究資源化のための最適なメタ・データの付与を検討する。
(2) 日本古代学研究の基盤となるデータベースの構築と管理のためのシステム開発を行う。
(3) アジア圏では中国・韓国・ベトナム、欧米圏ではアメリカ・イタリア・ドイツ・オーストラリア・ベルギー等の研究者を招聘して進めてきた国際的な日本古代学研究の協同体制をさらに発展させるため、データベースの公開とネットワークシステムを介した国際的レベルでの研究資源の共有と研究を推進する双方向活用システムの開発を行う。
また、【2】 「もの」(物資・技術・経済)の側面からの日本古代学研究として次の課題を実施する。
(1) 日本列島初期農耕社会の地域性とその相関関係の解明。
(2) 弥生・古墳時代の中央と周縁との政治・社会・経済的関係の解明。
(3) ユーラシア大陸東部の国家形成期における交易網の復元と技術移転。
(4) 日本列島・アジアの文字瓦からみた生産と負担。
日本列島における初期農耕社会の形成から初期国家形成にいたる過程に関する研究は、20世紀後半に理論的・実践的研究は飛躍的に前進した。しかし、ユーラシア東縁にあたる日本列島では、その過程は地域差が顕著であり、諸地域間の政治・経済社会的関係は一系的に捉えることが難しいことも明らかとなっている。弥生時代~律令期の日本列島内資料の分析を進めるとともに、中国・韓国などアジア諸地域の研究者・組織と連携して解明にあたる。
○平成26年度
【1】 日本古代学研究資料群の研究資源化
(1) 杉原・岡・井上資料の整理・デジタル撮影(約10000カット)。
(2) 除秘鈔・好太王碑拓本の釈文作成。
(3) 出土文字資料データベース(墨書・刻書土器データベースと文字瓦データベースのデータ
追加拡充)。
(4) 目録作成用サーバーの導入とウェブサイトの立ち上げ。
(5) (1)で生成したデジタルデータを研究資源化するために付与するメタ・データの検討と
データベース設計、データベース入力・管理用システムの開発。
【2】 「もの」(物資、技術、経済)の側面から日本古代学の国際的研究基盤構築
(1)杉原・岡資料の考古学・民族学上の歴史的意義(その1): 基礎研究
(2)初期国家形成期におけるアジア世界の社会と地域性(その1): 弥生時代・古墳時代・
律令期
(3)古代東アジアにおける交易・交渉(その1): 青銅器・鉄器・玉類・「漢委奴國王」
金印・文字瓦
(4)日本古代学研究の国際化研究(その1): 欧米における日本古代学研究
*研究方法や運営については3テーマ共同で会議体を組織して、毎年3回協議・点検・評価・改善を行う。
○平成27年度
【1】 日本古代学研究資料群の研究資源化
(1) 杉原・岡・井上資料の資料整理・デジタル撮影(約12000カット)。
(2) 除秘鈔・好太王碑拓本の釈文の作成と修正。
(3) 杉原・岡・井上資料の管理データの作成。
(4) 出土文字資料データベース(墨書・刻書土器データベースと文字瓦データベースのデータ
追加拡充)。
(5) 目録作成用サーバーへのデータ登録、静止画像配信システム構築、入力・管理用システム
検証実験。
【2】 「もの」(物資、技術、経済)の側面から日本古代学の国際的研究基盤構築
(1)杉原・岡資料の考古学・民族学上の歴史的意義(その2): 基礎研究
(2)初期国家形成期におけるアジア世界の社会と地域性(その2): 弥生時代・古墳時代・
律令期
(3)古代東アジアにおける交易・交渉(その2): 青銅器・鉄器・玉類・「漢委奴國王」金印
・文字瓦
(4)日本古代学研究の国際化研究(その2): 欧米における日本古代学研究
○平成28年度
【1】 日本古代学研究資料群の研究資源化
(1) 杉原・岡・井上資料の資料整理・デジタル撮影(約10000カット・予備追加2000カット)
(2) 杉原・岡・井上資料の管理データの作成と目録作成用サーバーへのデータ追加登録。
(3) 除秘鈔・好太王碑拓本の釈文の修正と最終確認
(4) 出土文字資料データベース(墨書・刻書土器データベースと文字瓦データベースのデータ
追加拡充)
(5) 公開用サーバーの導入、公開用・双方向活用のためのデータベース設計とシステムの開発と
暫定公開。
【2】 「もの」(物資、技術、経済)の側面から日本古代学の国際的研究基盤構築
(1)杉原・岡資料の考古学・民族学上の歴史的意義(その3): 基礎研究
(2)初期国家形成期におけるアジア世界の社会と地域性(その3): 弥生時代・古墳時代
・律令期
(3)古代東アジアにおける交易・交渉(その3): 青銅器・鉄器・玉類・銭貨・文字瓦
(4)日本古代学研究の国際化研究(その3): 日本における日本古代学の国際化動向
○平成29年度
【1】 日本古代学研究資料群の研究資源化
(1) 杉原・岡・井上資料の管理データの作成と目録作成用サーバーへのデータ追加登録
(2) 除秘鈔・好太王碑拓本の画像・釈文のサーバーへの登録
(3) 出土文字資料データベース(墨書・刻書土器データベースと文字瓦データベースのデータ
追加拡充)
(4) 公開用・双方向活用システムの実証実験
【2】 「もの」(物資、技術、経済)の側面から日本古代学の国際的研究基盤構築
(1)杉原・岡資料の考古学・民族学上の歴史的意義(その4): 応用研究
(2)初期国家形成期におけるアジア世界の社会と地域性(その4): 弥生時代・古墳時代
・律令期
(3)古代東アジアにおける交易・交渉(その4): 青銅器・鉄器・玉類・銭貨・文字瓦
(4)日本古代学研究の国際化研究(その4): 日本における日本古代学の国際化動向
○平成30年度
【1】 日本古代学研究資料群の研究資源化
(1) 杉原・岡・井上資料の管理データの作成と目録作成用サーバーへのデータ追加登録
(2) 出土文字資料データベース(墨書・刻書土器データベースと文字瓦データベースのデータ
追加拡充)
(3) 公開用・双方向活用システムの全面運用
【2】 「もの」(物資、技術、経済)の側面から日本古代学の国際的研究基盤構築
(1)杉原・岡が果たした考古学・民族学上の役割
(2)初期国家形成期におけるアジア世界の社会と地域性: 総括
(3)日本列島・アジアの文字瓦からみた生産と負担: 総括
(4)古代東アジアにおける交易・交渉: 総括
(5)日本古代学研究の国際化研究: 総括
本プロジェクトは、2004年の古代学研究所設置以来推進してきた、歴史学・文学・考古学・民俗学を横断する複眼的古代学研究に立脚して、新たに3つの研究テーマで構成される「日本古代学研究の世界的拠点形成」を目的とする。
そのなかで本テーマでは、第一に明治大学所蔵日本古代学研究資料群を国際的研究レベルで共有可能な資料群の文化資源化をはかり、第二に弥生時代から律令期にいたる政治・社会・経済変動の探求をアジア・欧米の研究者・組織と連携して推進する。従来この分野の研究は、時代・分野ごとに分けて議論されることが多く、しかも複眼的研究とは言い難い状況にある。それを改善するため、研究資源を国際的レベルで共有するとともに、それに基づく複眼的日本古代学研究を進め、国際的ネットワークを通じて人類共通の文化遺産として活用できるハブ的研究拠点の建設をめざす。またその成果は、日本古代学研究所の紀要・HPを介した情報発信により広く社会に還元する。
なお、学内・学外研究者からなる本プロジェクト評価・検証委員会を組織して、第2・4年度末に外部評価を受ける。
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