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「第3回 逆を向く階段」への補足

補足1.最後の車の色が変るトリックについて

この立体は、後ろに鏡を置いたとき階段のむきが逆になりますが、それに加えてそばにある車の色が赤から緑に変っています。これは、直接みた姿と鏡の中では、別の車を見ているからです。階段のある立体は、実際には水平な平面に描かれた絵ですが、その絵は、机の上に直接置いてあるのではありません。机から少し浮かせてあります。一方、車は机の面に直接置いてあります。そのため、見る方向によって、車は絵の面の裏側に隠れます。実際には、車は赤と緑の2個置かれています。でも、二つの方向から見たとき、一方が絵の裏側に隠れます。そのため、鏡の中で色が変ったように感じるという視覚効果が生まれています。(これは、目の錯覚ではなくて、単なるトリックです。)

補足2.「逆を向く階段」を自分でも作ってみたい方へ

今回の最初に紹介した立体は、左の絵を水平に置いたものでした。この絵を正面から見ると不自然な絵に見えると思います。でも、これを時計回りに45度回転させてそれを水平な面において斜めに見下ろすと、自然な絵に見えてきます。さらに、片方の目を閉じて見ると立体感が増します。これが、今回使った立体です。後ろに鏡を立てて観察すれば、錯視の仕組みが分かってくるでしょう。

補足3.「逆を向く階段」の参考文献

K. Sugihara: Height reversal generated by rotation around a vertical axis. Journal of Mathematical Psychology, vol. 68-69 (2015), pp. 7-12.