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「第20回 不可能図形の描き方」への補足
補足1.問題の回答
1列l目の左の図形は、全体が一つにつながった立体を表しています。そのために、前後関係を一か所変更しただけで不可能図形が得られます。一方、2列目の左の図形は、二つの分離した立体を表しています。だから、絵の中で前後関係を入れ替えると、立体の前後関係が入れ替わるだけで、不可能図形にはなりません。つまり、一つ目の図形では、前後関係を入れ替える部分が同じ立体に属しているのに対して、二つ目の図形では、前後関係を入れ替える部分が異なる立体に属しているという違いがあります。この違いから、不可能図形ができるかできないかが変わるわけです。
二つの立体が離れていても、前後関係を1か所入れ替えるだけで不可能図形が作れる場合もあります。下がその例です。ただし、出来上がった不可能図形の「不可能」の意味が上と少し違います。この不可能図形は、直角を組み合わせた立体としては作れませんが、面と面を直角以外の角度で接続してもよいのなら作れます。つまり、横棒の左端は切り口が見えているので、切り口の見えていない右端より、見てる人に近いと考えるのが自然なのに、それに反した向きに隙間を通っているので、不可能と感じるのです。でも、切り口が見えているほうが近いというのは、直角立体では正しいですが、一般の角度で面を接続した立体では必ずしも成り立つ性質ではありません。ですから、直角以外の角度を使えばこの立体は作れるのです。
一方、最初の不可能立体は、面を直角に接続するか否かにかかわらず、平面で囲まれた立体として作ることができません。その意味で、「不可能性」の強さが違うと言っていいでしょう。
補足2.不可能図形の描き方に関する参考文献
杉原厚吉:「だまし絵の描き方入門」.誠文堂新光社,東京,2008.
不可能図形をはじめとするだまし絵の描き方を解説した入門書です。
補足3.だまし絵創作カード
「作って学ぶ不可能図形、だまし絵創作カード」.株式会社フォーシーズン,岡山.
ランダムに組み合わせて不可能図形を作ることのできるカードです。本講義でもこのカードを使いました。
補足4.だまし絵を使った迷路の本
杉原厚吉・永井もりいち:「トリック迷路」.幻冬舎.
だまし絵を使った迷路の本です。迷路がだまし絵で描かれていて、水平な道を進んでいるはずなのにいつの間にか垂直な壁となって進めなくなるなど、ユニークな迷路トリックが使われています。