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「第16回 不可能モーション」への補足

補足1.問題の回答

 左の1つ目の画像の不可能モーションに使われている立体は、どんな形をしているでしょうかというのが問題です。
 実際に使った立体を別の角度から見たところが、第2の画像です。この立体は4つの垂直な壁にたくさんの四角の穴があいたもので作られています。そのうち手前の二つの壁は、正方形で互いに直角に 接続されており、見た時知覚される形そのものです。一方、後ろ側の2枚の壁は平行四辺形の 形をしており、中央の稜線に沿って手前にでっぱって接続されています。その結果、この不可能モーションが実現できるわけです。


補足2.不可能モーション立体の紙工作キット

 不可能モーション立体は、展開図から紙工作で作ることができます。反重力斜面については、第2回目の講義で紹介しましたが、それ以外のモーションとしては次のものがあります。最初の4つは、厚紙に印刷してミシン目が入れてある展開図です。

立体トリックアート工作キットブック (杉原厚吉著、金の星社)
 立体4個を展開図から作る工作キットです。この中には、二つの窓に棒が通る「串刺しの技」が含まれています。


立体トリックアート工作キットブック2 (杉原厚吉著、金の星社) 
 立体4個を展開図から作る工作キットです。この中には、今回の講義の最初に紹介した「止まり木の枠くぐり1」が含まれています。


立体トリックアート工作キットブック3 (杉原厚吉著、金の星社) 
 立体4個を展開図から作る工作キットです。このなかには、二つの壁に開いた窓に同時に棒が通る「へそまがりの窓」が含まれています。


トリック立体工作キットBOOK (杉原厚吉著、永岡書店)
 プラスチック立体4個を展開図から作る工作キットです。このなかには、柱の間を縫うように棒が通る「冗談の好きな四本の柱」が含まれています。


 次のものは、通常の書籍のページに展開図を印刷したものです。コピーをとって厚紙に転写すれば紙工作ができます。


へんな立体 (杉原厚吉著、誠文堂新光社)
 立体20個の展開図が載っています。この中には、壁に開けた窓に棒が通るタイプの不可能モーション立体が4個含まれています。


すごくへんな立体 (杉原厚吉著、誠文堂新光社)
 立体20個の展開図が載っています。この中には、柱の間を棒が縫うタイプが3種類、窓に棒が貫通するタイプが3種類、輪をかけるタイプが2種類、おもりを下ろすタイプが2種類含まれています。

補足3.「不可能モーション」ビデオ

次の6本のビデオには、それぞれ10点ぐらいの不可能モーションが入っています。

補足4.「不可能モーション」に関連する参考文献

杉原厚吉:「立体イリュージョンの数理」,共立出版,東京,182頁,2006.
杉原厚吉:「だまし絵と線形代数」,共立出版,東京,142頁,2012.
K. Sugihara: A characterization of a class of anomalous solids. Interdisciplinary Information Sciences, vol. 11, no. 2 (2005), pp. 149--156.
K. Sugihara: Design of solids for antigravity motion illusion. Computational Geometry: Theory and Applications, vol. 47 (2014), pp. 675-682.
K. Sugihara: A single solid that can generate two impossible motion illusions. Perception, vol. 43, no. 9 (2014), pp. 1001-1005.