地球を旅する楽器 ルーツ・ミュージックの世界 |
「文化の交流」という言葉を聞いて、学生諸君は何を連想するであろうか? たぶん、「文化」という言葉から、文学とか思想など比較的高尚なものをイメージするのではないか。 また「交流」という言葉からは、友好的な国際交流をイメージするのではないか。 つまり、諸君は「世界平和のために、みんななかよく文化交流をしましょうね」という明るいイメージを連想するのではないか。 たしかに、そんなパラ色の文化交流もある。 だが、現実はきびしい。そもそも、食うか食われるかのシビアな現実世界では、文化の「交流」(双方向)は少なく、大半は「直流」(一方向)である。 また、世界を行きかう「文化」の大半も、高尚なものではなく、通俗的なものである。 「文化交流」が起きる原因も、貧困、悪政、戦争、棄民、飢饉など暗いものも少なくない。 本授業では、現実世界の「文化交流」の一例として、アイルランドと沖縄の民族音楽を取り上げる。 |
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ヴィブラートは不可欠のテクニックである。音色は華々しく力強い。弓使いは「縫い目」のないがごとくで、特別な効果をねらう時以外は、弓を返す時にアクセントをつけない。左手は指板の高いポジションまでくることもある。 |
ヴィブラートは使わない。音色は華々しいというより、むしろ、くつろいだものである。弓を端から端まで一杯に使って演奏することはまれである。弓を返す時は、アクセントがつく。弦を押さえる左手は基本位置に置かれている。 |
音色は金属質で、きれいな音がする。息継ぎは、それとわからず取るのを理想とする。音域は三オクターヴである。 | 音色は木質で、しわがれた音さえする。息継ぎはしばしば、意図的に強調される。音域は二オクターヴである。 |
ヴィブラートや劇的でダイナミックな表現を使う。歌詞に歌われたさまざまな感情は、顔の表情で強調される。胸声で歌われ、鼻にかかった声は使わない。歌の最後は、華やかに終わる。 |
ヴィブラートや劇的でダイナミックな表現は使わない。顔の表情で何かを表現することは少ない。頭声で歌われ、時に鼻にかかった声がする。歌の最後はさりげなく終わる。 |
アイルランドの伝統音楽において、クレッシェンドやデクレッシェンドといった概念がまったく縁のないものであるということも、一般的には事実である。 私は今までに、クラシック音楽の演奏家やリスナーたちが、伝統音楽では楽器の潜在能力を充分には生かしていない、と言うのを聞かされてきた。これは誤解である。楽器というのは、単に何かを表現するための手段に過ぎない。またある人は、ソネットという詩の形式はたった十四行しかないから可能性の限られたものだ、と言うかもしれない。逆に、アイルランドの伝統音楽の演奏家にしてみれば、クラシック音楽の演奏(特に彼らが伝統音楽を演奏しようとする時)は、大げさで、芝居じみていて、下品に聴こえる。 つまり、クラシック音楽の訓練は伝統音楽の演奏家にとって邪魔になる恐れがある。 |
十二音音階 | ド | bレ | レ | bミ | ミ | ファ | #ファ | ソ | bラ | ラ | bシ | シ | ド |
長音階 | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | |||||
ヨナヌキ長音階 | ド | レ | ミ | ソ | ラ | ド | |||||||
自然的短音階 | ラ | シ | ド | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | |||||
ヨナヌキ短音階 | ラ | シ | ド | ミ | ファ | ラ | |||||||
商調式音階 | レ | ミ | ファ | ソ | ラ | シ | ド | レ | |||||
沖縄音階 | ド | ミ | ファ | ソ | シ | ド | |||||||
わらべ歌音階 | ド | bミ | ファ | ソ | bシ | ド | |||||||
律音階 | ド | レ | ファ | ソ | ラ | ド | |||||||
都音階 | ド | bレ | ファ | ソ | bラ | ド |