鬧天宮(とうてんきゅう)Nao-tian-gong
これから見ていただくのは、鬧天宮、孫悟空が天の神さまの宮殿で大暴れする、という芝居です。
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ここは、天の神さまの宮殿のなかです。
ふたりの天使が、不老長寿の大切な桃の実を、守っています。
孫悟空が登場します。まだ三蔵法師の弟子になるまえなので、頭にワッカをはめられていません。
「(歌)神々の池を見ると
めでたい雲がたちこめている
緑の松柏(しょうはく)の木々が枝をさしかわしている」
孫悟空は、自分の毛をぬいて「ねむり虫」に変え、桃を見守っているふたりの天使を眠らせてしまいます。
孫悟空は「ごきげんだぜ」と歌いながら、桃をむさぼり食べます。
孫悟空は、食べ切れないぶんを、地上で待っている家来たちに持ち帰ってやるため、袋につめ、その場を立ち去ります。
孫悟空は、老子(ろうし)の館(やかた)を通りかかります。
老子は、古代中国の哲学者でしたが、京劇では偉大な仙人として登場します。
老子の姿は見えません。どうやら、天の神さまが主催するパーティーに行って、留守のようです。
孫悟空は、老子の館に置いてあった不老不死の薬を見つけ、まるでピーナッツのようにポリポリと食べつくしてしまいます。
孫悟空は、その場を立ち去ります。
天の神さまの命令を受けて、神々の軍隊が孫悟空を追いかけます。
孫悟空は、神の軍隊と戦います。
京劇の戦闘場面では、俳優たちは激しい打楽器の音色にあわせて、立ち回りをします。
立ち回りの途中、ときどき打楽器の音がやみ、俳優が動きをとめ、「みえ」を切るときがあります。
日本の歌舞伎で俳優が「みえ」を切るときは、観客はその役者の屋号などを呼びます。京劇の俳優が「みえ」を切るときは、中国の観客は「好(ハオ)!」と声をかけます。「ハオ」とは中国語で「良い」という意味です。
舞台のうえで俳優が「みえ」を切ったとき、日本の観客のみなさんも、拍手と同時に大きな声で「ハオ」と言ってあげてください。舞台の俳優も、心のなかで嬉しく思うことでしょう。
孫悟空は戦いに勝ち、得意の如意棒(にょいぼう)をふりまわして、悠々と地上にひきあげてゆきます。
(完)