羅成叫関(らせいきょうかん)Luo-cheng-jiao-guan
これからご覧いただくのは、羅成叫関、羅成が城の門の前で叫ぶ、というお芝居です。
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羅成が馬にのって、味方の城に帰ってきます。しかし城の門は固くとざされています。
羅成は、自分が味方に裏切られたことを悟ります。
羅成は自分の無念さを、遠くにいる主君・李世民につたえるため、手紙を書くことにします。しかし、筆も墨も紙もありません。
羅成は自分の服を刀できって、手紙の便箋のかわりにします。そして自分の指を歯で噛み切って、その血を墨のかわりにして、血の手紙をしたためます。
羅成は、自分が味方の裏切りにあって無念の最後を遂げることになったこと、この城を守るため都から援軍を送る必要があること、そして、生死をともにしてきた仲間たちへの別れの挨拶を、血の手紙に書きます。
羅成は、血で書いた手紙を、自分の本当の主人である李世民に渡すよう、城門のうえの息子に頼みます。
羅成は城門のうえの息子と、今生(こんじょう)の別れをかわします。
羅成は馬に鞭をあて、死に場所をもとめて、敵のいる戦場へと戻ってゆくのでした。
(完)
羅成の養子、羅春が登場します。
羅春は、城の門を固くまもってあけないよう、李世民の弟から厳しく命令されていました。李世民の弟は、有能な兄に嫉妬し、兄の腹心の部下を合法的に殺してしまおうと考え、こんな変な命令を出したのです。
羅成が、馬にのってやってきます。
羅成は戦場から帰ってきて、とても疲れています。
遠くの戦場で撤収(てっしゅう)の太鼓が鳴り響くのが、羅成の耳にはいります。
羅成が今まで戦っていた敵が、部下の兵隊を休ませているのです。
羅成は、敵の方がよほど部下のことを大事に思っている、と、味方であるはずの李世民の弟をうらみます。
羅成は、やっと味方の城の門まで帰ってきました。
なぜか、城の門は固くとざされています。城門のうえにいるのは、羅成の養子、羅春です。
羅春は城門の上から父親にむかって言います。
「おとうさん、この城の門をあけてはならぬ、誰も中には入れてはならぬ、という命令が出ています」
羅成は、自分が味方から裏切られたことを知ります。
不幸中のさいわい、いま城の門の上にいるのは養子の羅春だけです。
羅成は息子に頼みます。
「私はこれから、李世民さまに、血書(けっしょ)を認(したた)める。私の血で書いた手紙を、都にいる李世民さまに渡してくれ」
城のうえの羅春は、手紙を運ぶことを約束します。
羅成は自分の服を刀できって、手紙の便箋のかわりにします。そして自分の指を歯で噛み切って、その血を墨のかわりにして、血の手紙をしたためます。
羅成は、自分が味方の裏切りにあって無念の最後を遂げることになったこと、この城を守るため都から援軍を送る必要があること、そして、生死をともにしてきた仲間たちへの別れの挨拶を、血の手紙に書きます。
羅春は、いっそ親子で反乱を起こして、無能な主人(李世民の弟)を殺してしまおう、と父親に言います。
羅成は、たとえ悪くて無能な主人でも、主人は主人、反乱してはならない、と言います。
そしてこの血の手紙を、早く、自分の本当の主人である李世民に渡すよう、息子に頼みます。
羅成は城の門のうえの息子と、今生(こんじょう)の別れをかわします。
羅成は馬に鞭をあて、死に場所をもとめて、敵のいる戦場へと戻ってゆくのでした。
(完)