アレキサンダー・ポープ(1688年-1744年)
『人間論』
存在の巨大なる連鎖よ、神より始まり、 霊妙なる性質、人間的性質、天使、人間、 けだもの、鳥、魚、虫、目に見えぬもの、 目がねも及ばぬもの、無限より汝へ、 汝より無に至る。より秀れしものに我等が 迫る以上、劣れるものは我等にせまる。 さもなくば、創られし宇宙に空虚が生じ、 一段破れ、大いなる階段は崩れ落ちよう。 自然の鎖より輪を一つ打ち落とせば、 十分の一、千分の一の輪にかかわらず 鎖もこわれ落ちよう。 訳 http://tkido.com/blog/448.htmlより引用 |
Alexander Pope's An Essay on Man Vast Chain of Being! which from God began, Natures ethereal, human, angel, man, Beast, bird, fish, insect, what no eye can see, No glass can reach; from Infinite to thee, From thee to Nothing.--On superior powers Were we to press, inferior might on ours: Or in the full creation leave a void, Where, one step broken, the great scale's destroyed: From Nature's chain whatever link you strike. Tenth or ten thousandth, breaks the chain alike. (I.8.233-46) |
1995.12.10@矢来能楽堂 |
昔公牛哀転病也、七日化為虎。其兄掩戸而入覘之、則虎搏而殺之。 是故文章成獣、爪牙移易、志与心変、神与形化。方其為虎也、不知其嘗為人也。方其為人、不知其且為虎也。二者代謝舛馳、各楽其成形。 | ムカシ、コウギュウアイのテンペイするや、ナヌカにしてカしてトラとナる。 ソのアニ、トをオオいてイり、コレをウカガえば、スナワちトラ、ウちてコレをコロす。 コのユエにブンショウはケモノとナり、ソウガはイエキし、シはココロとトモにヘンじ、 シンはカタチとトモにカす。ソのトラタるにアタりては、ソのカツてヒトタりしをシらず。 ソのヒトタるにアタりては、ソのシバラくトラタりしをシらざるなり。 ニシャ、タイシャしセンチして、オノオノ、ソのナるカタチをタノしむ。 |
中島敦「山月記」 | 李景亮「人虎伝」 (『国訳漢文大成』) |
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(以下略) |
隴西李徴、皇族子、家於虢略、徴少博学、善属文、弱冠従州府貢焉、時号名士。天宝十五載春、
於尚書右丞楊元榜下登進士第。後数年、調補江南尉、徴性疎逸、恃才倨傲、不能屈跡卑僚、嘗鬱鬱不楽、
毎同舎会既酣、顧謂其群官曰「生乃与君等為伍耶」、其寮友咸側目之。及謝秩、則退帰間適、
不与人通者近歳余。後迫衣食、乃東遊呉楚間、以干郡国長吏、楚人聞其声固久矣、及至皆開館以俟之、
宴遊極歓、将去悉厚遺以実其嚢橐、徴在呉楚且歳余、所獲饋遺甚多。西帰虢略、未至、
舎於汝墳逆旅中、忽被疾発狂、鞭捶僕者、不勝其苦。於是旬余、疾益甚、無何夜狂走、莫知其適。 隴西の李徴は皇族の子なり。虢略に家す。徴、少くして博学、善く文を属す。天宝十五載の春、 尚書右丞楊元の榜下に於いて進士の第に登る。 後数年、江南尉に調補せらる。徴、性疎逸にして、才を恃み倨傲なり。卑僚に屈跡する能はず。嘗に鬱鬱として楽まず。 同舎会する毎に既に酣なれば、其の群官を顧み謂ひて曰く「生きて乃ち君等の伍と為らんや」と。 其の寮友、咸之を側目す。秩を謝するに及び、則ち退帰間適し、人と通ぜざること歳余に近し。 後に衣食に迫られ、 乃ち東のかた呉楚の間に遊び、以て郡国の長吏を干む。 楚人、其の声を聞くこと固より久し。 至るに及び、皆館を開きて以て之を俟つ。 宴遊、歓を極め、将に去らんとして、悉く 厚く遺りて以て其の嚢橐を実たす。 徴、呉楚に在ること且つ歳余ならんとし、獲る所の饋遺甚だ多し。 西のかた虢略へ帰らんとして未だ至らず。 汝墳の逆旅中に舎るに、忽ち疾に被され発狂し、 僕者を鞭捶して其の苦に勝へざらしむ。 是に於て旬余、疾益ます甚し。 何とも無く夜狂走し、其の適くところを知るなし。(以下略) |