研究内容について
福山研究室では,持続可能な社会の実現のために,スマートコミュニティ/スマートシティを実現する各種研究を行っています。対象問題は,解の探索・データ解析・大規模計算となるため,進化計算・機械/強化学習の各種手法を利用し,大規模計算を高速化するため並列・分散処理も利用しています。

具体的な研究テーマと概要を以下にあげます。
・スマートコミュニティ全体最適化[進化計算]
電気学会スマートコミュニティ実現検討特別研究グループで作成したスマートコミュニティモデルを用いて,スマートコミュニティ全体で,エネルギー消費削減,CO2排出量削減,ピークシフトを実現する運用方法を世界で初めて進化計算手法を用いて研究しています。
電気学会B部門論文誌2019年4月号 佐藤・福山・飯坂・松井,”再生可能エネルギーの不確定性を考慮したスマートコミュニティ最適計画- Multi-population
Global-best Brain Storm Optimization with Differential Evolution Strategiesの提案と適用
-” 補足資料
・エネルギープラントの運用計画[進化計算・強化学習]
工場やビルのエネルギープラントは,電力会社やガス会社などから2次エネルギーを購入し,3次エネルギーを生産ラインやビルへ提供しています。この際,必要な3次エネルギーを提供するために,適切な2次エネルギーを進化計算手法や強化学習により求める研究をしています。データセンターを多くの工場やビルを対象にオンラインで高速に計画を実行するために,並列・分散処理を適用する際に,計算プロセスから一時的に計算結果が返ってこなくとも制御が持続できるディペンダブルな方式の研究を世界で初めて行っています。
・工場の生産計画[進化計算]
特に,ディスクリート型の組立加工工場のモデルであるジョブショップ問題を対象として,様々な進化計算手法を適用を検討しています。この際,生産時間(メイクスパン)を最小化するだけでなく,エネルギープラントの最適運用も考慮し2次エネルギーの削減も行う方法を世界で初めて研究をしています。
・電力系統の電圧・無効電力制御[進化計算・安定度解析]
電力系統の中央集中型電圧・無効電力制御を混合整数非線形計画問題として定式化し,様々な進化計算手法の適用を検討しています。太陽光発電などの出力が不安定な再生可能エネルギーの大量導入や電力系統の広域運営を考慮すると,より広範囲の系統を対象に,より高速にオンライン計算を実行する必要があり,並列・分散処理を適用する際に,計算プロセスから一時的に計算結果が返ってこなくとも制御が持続できるディペンダブルな制御方式の研究を世界で初めて行っています。
・電力系統の配電系統状態推定[進化計算]
配電系統のオンライン状態推定に対し,計測値の外れ値を考慮した世界で初めての方式を検討しています。信号処理分野で開発されたコレントロピーを利用し,様々な進化計算手法を適用し検討しています。
・新電力・工場・ビル向け電力負荷予測[ニューラルネットワーク・進化計算]
新電力・工場・ビルでは,電力負荷予測に利用する実績データに多くの欠損データを含む計測値の外れ値が入っており,予測手法を適用するために,多くのエンジニアリングが必要となっています。このため,このような計測値の外れ値が入っていても,事前のエンジニアリングを行うことなく,高精度で負荷予測が可能な手法を世界で初めて研究しています。
・スーパー/コンビニのショーケースの故障判定[機械学習・ニューラルネットワーク]
スーパー/コンビニのショーケースは,着霜や冷媒漏れなどにより庫内が設定した温度に保てなくなると,食品の品質低下が発生する可能性があります。このような故障を判定する方法を研究しています。
・鉄道の乗務員スケジューリング問題
鉄道のダイヤグラムに対する列車の運行予定に対して,必要な乗務員の勤務スケジュールを決定する乗務員スケジューリング問題を対象として,各種進化計算手法の適用を研究しています。