自給自足型のファブリケーションの実現に向けたハチミツ素材の検討
生活空間の外壁に養蜂箱を設置し、ミツバチが集めた蜂蜜を室内の加工機へ直接供給するという構想の提案と、その妥当性の初期検証を行いました。
素材を購入して運び込むのではなく、生活圏で生まれた素材をその場でものづくりに使う、自給自足型のファブリケーションを目指しています。
ミツバチは送粉を通じて植物の繁殖と生態系を支える上で重要な役割を担っている一方、生息環境の減少などによって存続が脅かされる種もおり、 一説にはミツバチが絶滅した場合、人類も四年以内に滅びるという言われています。
本構想では、ミツバチから素材を一方的に搾取するだけなく、人の生活空間の近くに活動できる環境を組み込み、その営みから得られる蜂蜜を素材として利用する共生の関係を考えます。養蜂箱と加工機を都市設備の一部として接続し、ミツバチの居場所と人の制作環境をともに設計する都市デザインの提案でもあります。
養蜂箱には、レバー操作で巣枠から蜂蜜を取り出せるFlowフレームを用います。
採蜜口にチューブを接続し、チューブポンプで室内の加熱タンクへ送ることで、採取から加工機への供給までを一つの経路につなぎます。
室内では蜂蜜を加熱して流動性を調整し、保温したチューブから3Dプリンターのエクストルーダへ送ります。
そして、押し出した蜂蜜を冷却・結晶化させ、形状を保ちながら積層するといったような設計になっています。
材料を生活圏で得ることで、造形材料の調達と物流への依存を減らしつつ、 同時に、蜜源となる植物によって生じる色、香り、粘度の違いを地域や季節に由来する素材特性として扱い、規格化された工業材料とは異なるファブリケーションの可能性を提案します。