2.コーラン
イスラームにとってコーランとは何ですか?
コーランはイスラームの根本聖典で、ムスリムの生活を、心的・物的両面において規定します。他にモーセ五書、詩篇、福音書も聖典として扱われますが、最後にもたらされ、神の言葉そのものであるとされるコーランが、最重要視されています。
コーラン』という言葉の意味は何ですか?

正確にはアラビア語で「アル=クルアーン」といいます。「アル」は定冠詞で、「クルアーン」には「声に出して読むもの・こと」という意味があります。したがって、本来黙読するものではなく、読誦するべきものです。

コーランはどのようにしてできたのですか?

西暦610年、ヒラー山洞窟にいたムハンマドに、大天使ジブリール(カブリエル)を通じてアッラーの啓示が下され、それはムハンマドが死ぬ632年まで続いたとされます。この間に下された啓示を集めたものがコーランです。

誰が、いつそれを成文化したのですか?

ムハンマドの秘書を務めたザイド・イブン=サービトが、アブー=バクルが初代カリフであった時期(632〜634)に、第1回の編纂を行いました。その後写本の間に読み方の違いが出たため、第3代カリフ、ウスマーンの時代に再びザイドを中心として、人々の記憶からだけではなく、様々なものに書き留められていた啓示を編纂し、現在の形になりました。

何語で書かれているのですか?

コーランはアラビア語で神が下した啓示を一字一句忠実に記録したものと信じられています。ですから、それを翻訳したものは厳密にはコーランとは言い得ません。コーランの文体は、散文詩の形式で脚韻を踏んでおり、その韻律による響きの美しさは、神の奇跡であるとされます。

コーランの量はどのくらいですか?

文字数は約78000語から成り、ほぼ新約聖書と同じ分量です。(日本の文芸書と同じサイズで印刷すれば500ページほど)114の章(スーラ)があり、各章がさらに節(アーヤ)に分かれています。章を並べる順番は、ほぼ長い順になっており、年代順ではありません。

どのようなことが書いてあるのですか?
コーランの内容は、メッカ期とメディナ期に分けられると考えられています。メッカ期(つまりヒジュラ以前)は、警告的で文が短く、メディナ期は、共同体(ウンマ)を指導するための啓示で長い章になっています。結婚や離婚、相続に関する規定、飲食を含む生活規範、犯罪に対する処罰規定など、生活上のきまりが事細かに記されています。とはいえ、現世は永続しない、現世的価値は虚しい、来世の永遠の生こそが重要だ、とも述べられており、来世志向性も明らかです。

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